第23話 作戦
苛立ちながら、わたしはスーパーでてきとうに惣菜を買い家に帰って皿に持った。息子と食べる。夫から《遅くなる》というメールが来る。
でも女は東京。会えないだろう。どちらかが会いに来ないと。とりあえず、夫にさぐりをいれるか。
息子の風呂を済ませ、遊んだあとぐずったので風呂に連れて行き、そのあと寝かしつける。夜10時を過ぎて夫が帰って来た。息子に気遣ってかなにも言わず。わたしは台所へ向かう。
「あ、起こした?」
「ううん」
「いいよ、自分でやるから」
夫は置いてあった味噌汁、ごはん、惣菜を食べる。向いの椅子にわたしは座る。
「そうそう、今日さ、ゆりさんのところ散歩してたら、また明がお花ぐちゃぐちゃにしちゃって。謝ろうと思ったらさ、ゆりさんいなくって。お母さんが出てきたの」
「そうなんや」
「東京やってさ」
「あー結婚するとか言ってたなあ」
「申し訳ないなってーお世話になったのに。明も遊んでもらったり」
「そっか」
「類ちゃんたちは会いに行くの?」
「まあ、すぐにはあっちも忙しいだろうから、まだ先やけど」
「その時さ、明も喜ぶやろうから、一緒に行ってもいい?」
「一緒に?」
「うん、東京ってわたし全然行ったことないし、観光もしたいからさ」
「まあ、奏也とかに相談するわ。あかんとは言わないやろうけど……」
「ありがとう、楽しみ」
楽しみ。楽しみ。女の焦る顔。てか、AOIにも会える? 直接さ、やり取りできたら最高ちゃう? お互いにってなってさ。作戦たてられるかも。
それから、わたしは息子の慣らし保育期間も終わって働くことになった。やっぱり疲れる。だけど、夫の収入だけじゃやってけない。化粧に時間がかかるから、起きるのは朝5時。だるい。洗濯物も朝ご飯作りも。
就業時間は決まっているから、それに間に合うように息子を急かす。保育園の準備は夫も手伝ってくれるし、送迎できるときはしてくれる。なんかすぐに、ママの友達も出来てるし、先生とも仲良くなってる夫。あんまり送迎してほしくないなって思ってしまうわたし。
お金を貯めて東京に行かないと。それだけだったモチベーションは。知らないことだらけなのに、ミスしたら怒られる。へとへとになりながら、息子を迎えに行く。全然自転車に乗ってくれない。園庭を走り回る。追いかけないと、なんだよあの親って思われそうなのでわたしは追いかけて怒っているフリをする。可愛いママの仮面をつけて。
転けて大泣きしたので、抱き上げる。そしてそのまま自転車に乗せる。仕事が終わっても仕事以上に大変でわからないことが続いている。いつまでも。いやいやされることが多過ぎて嫌になる。
アパートについたので自転車から降ろそうとしたら次は降りたくないと言って泣く。勘弁してくれ。




