第13話 宿命
毎日は長いようであっという間で、わたしは保育園探しと仕事探しを同時で進めてた。母に預けながら仕事探しと保育園の見学をして、パートだけど事務の仕事も見つかった。保育園も運良くアパート近くのところに4月から入れる内定通知が届いた。
明斗は最近わがままで、泣いたらとまらなくてこっちまで頭がおかしくなりそうになる。周りは遊んでいるというのに。SNSではテーマパークに出かけた話などで持ちきりだ。ラーのライブに行っている友達もいた。そんな中、わたしは息子の写真をアップする。もちろんサッカーをするかっこいい夫も。
いいねがたくさんつくと嬉しくて、たくさん投稿してしまう。
「ごめんやけど、行ってくるわ」
夫は車に乗り、でかける。最近、いつにも増して出かける回数が増えた。地元に戻ってきたし、仕方ないか。こういうので怒ると、夫の気持ちも離れていくような気がする。それになによりも、夫が幸せそうな顔をしているからわたしは嬉しかった。
戻れる家庭があり、子供もいる。そんな中友人と会う。これ以上の幸せはないだろう。縛り付けたらだめだ。だけど反面、それに感謝してほしいという気持ちもあった。
わたしは、夫を玄関まで見送る。夫はジャージ姿。ボールでも蹴るのだろう。きっとすぐに戻ってくる。
それなのに……祥子からメールがきていた。
《お疲れー。実はこの間、咲良の旦那さんが女の人と仲良さそうに歩いてるのみたんやけど……》
メールを開いて頭がフリーズする。
夫がまさか。ありえない。わたしの呼吸が苦しくなる。え? 壊れる幸せな家庭。しかもその現場を祥子に見られただなんて。
《見間違えやったらごめんねー》
続いてメールが届いた。
《類ちゃんがそんなことありえないで!!笑 まあまた情報あったら教えて》
ああ、絶対口外しないでほしい。崩れる幸せな家庭のイメージ。完璧な夫。
まず証拠、証拠を集めないと。でもそんなの目の当たりにできる? 寝ていたはずの息子が起きて泣いている。わたしはケータイ片手に駆け寄って、座ったまま抱っこする。バチが当たったのかもしれない。どんどん恵吾に似ていく息子を見てわたしは思った。そして、夫も気づいてるのでは? わたしの浅はかな計画が崩れていく気がした。
いやだめ、命をかけて家庭を守るの。幸せな家庭を。軌道修正したらいい。嘘を重ねてもいい。命をかけて、夫と生涯を共にするんだから。
でも女っていったいだれ? だれが……? 地元の女? まあ、女友達ぐらいいるだろう、仲良く見えることもるだろう。だってあんなにイケメンな夫、モテないわけない。
そうそう、不倫ぐらい結婚のいいスパイス。そんなのでいちいちオドオドしたらあかん。イケメン夫を持った宿命。
夫が戻ってきたのは、出発して2時間ほど経ってからだった。寝室から覗き見た夫の顔は満ち足りたような表情をしている。静かに風呂に入って行った。まさか、女と会ってた?
わたしは洗面台に置かれた夫のケータイを見る。静かに開く。
《今度いつ蹴れる?》
奏也くんからのメールだけだった。ゴミ箱も見たけどなにもない。着信履歴に名前もない。え? なんだ、そんなことないよねって思ってケータイを閉じる。




