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忍者刀 バリバリ

拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。

 

【 ユリウスside 】




 チヨが隣に寝ている。

 最近何かと物騒だからな。

 寝ている間に何かあったら思うより、もう一緒にと思ったんだ。

 チヨの少し高い体温の心が癒される。

 規則正しい寝息にホッとする。

 今日はいろんなことがあった。

 周りの雰囲気も変わった。そして実感する。

 俺はなにげに、気にしていたのだ。

 訳がわからないままに、意味のわからない噂による自分印象。

 何もしてないのにどういう事だよ、と始めは憤慨をしていた。

 それを乳母達は「ハルアナ王女が怒るので騒がないでください」と乳母達が困った様に言っていた。

 今ならわかる。母が怒っていたのは俺ではなく、乳母達に怒っていたのだ。

 俺はホントに、全く気づきもしなかった。

 何故って、何でだろうな?

 当時はそれが、当たら前だったからだろうか?

 はっきり言えば、つい最近迄それに近い状態だった気がする。

 それだけ周りはどうでもよく、興味がなかったのか。

 でもそれが乳母達アマラ親子を増長させた。

 いろんなところで好き勝手やって、俺の名前を勝手に使っていた様だ。

 だか、もうそんな事はできない。

 今度はどんな手で来るのかわらないが、絶対チヨを守って見せる。

 手には今日ドラノア侯爵から貰ったハルアナの紙飛行機がある。


 ”ガサガサ”


「ツッ?!」


 ホント俺はなんにもわかっていなかった。

 知らないうちにたくさんの人に守られて、今の俺があるのに、俺は………

 いや、チヨさえいればそれでいいと思っていたのだ。心の奥底では………


「なるほど、二人の世界はどこまでも美しいか…… 」


 俺の心の底に眠る仄暗い願望。

 そしてそれを植え付け、己の欲望を成熟しようとしたボクワイ。


「ホント好き勝手しやがって……… 」


 何処までもコケにするアマラ親子とボクワイ。


 ”絶対これまでの報復は最大級にして返してやるから待ってろ!!!”


 俺は精神(こころ)を落ちるかせようとチヨを見る。

 チヨは相変わらずスピースピーと、健やかな寝息を立てていた。


「フフフ…… 鼻笛が鳴っているよ。可愛いな」


 たったそれだけで、精神(こころ)は癒される。

 俺は横になりチヨを見て、静かに目を閉じた。


 ”母上、確かに願い受け取りました。俺は広い世界を見て参ります。”



『 ユリウスへ 

 どうか閉じこもらないで、まわりをよく見てちょうだい。

 貴方は一人じゃない。沢山の人が貴方を支えている。

 世界はとても広く、たくさんのモノで彩り輝いているのよ。

 ユリウスと貴方の愛した人が幸せであることを、心から願っているわ。

 二人の世界はどこまでも美しくても、とても寂しく侘しいモノよ。


 これが貴方の助けになる事を願って。


  貴方の母であり、貴方の大ファンである ハルアナより』







 今俺の部屋は作業場へと変わった。

 チヨの部屋は、俺とチヨのプライベート部屋に変わる。

 仕方ないよな。俺としては大歓迎な状態だ。

 マーベルから凄く冷たい目で見られてるけどな。

 でも俺が望んだ訳ではない、状況的に仕方ないのだ。


「ユリウス、チヨは5歳だ。わかっているよな。もう一度言おう。5歳だ!わかったな!!」


 目を座らせ真剣に表情で、俺に言い募る。

 お前、俺に言えた義理かよ!

 ……… と思ったが、ここは我慢が必要なとこだろう。

 俺も成長したのだ。

 素直にうんうんと頷いて、作業を続けている。



 今やっている作業は、ガウェイン依頼の通信機と監視カメラの製作だ。

 3人ぐらい魔術塔から人が来るようで、今から二人で準備している。

 チヨと護衛と世話役のショウエイとハンナは、少し離れたテーブルに待機している。

 テーブルでは、紙飛行機をチヨが教えている様だ。

 ショウエイも興味を持ったのか、何度も折って飛ばしている。


 ”アイツちゃんと護衛してるんだよな?”


 すっかり懐いたチヨはショウエイの膝に座り、紙飛行機を教えているのだ。


 ”なんか腹立つよな”


 何か納得いかないものを感じながら、作業を進める。

 ハンナは静かにそれを見ている。

 どこか懐かしげな表情が、ハルアナを思い起こさせる。

 ハンナにハルアナの事を聞いた。

 すると返ってきた言葉は


「とても礼儀正しい正義感の強い方でした。ちょっと抜けた所がありましたけど、そこはドラノア侯爵が渋々フォローされていました。ええ、振り回されていましたね。よくブツブツいら立って文句を言われ、怒鳴り込んでこられた事もあります。その度に逃げ回って、よく庇っていました。」


 可笑しそうに、懐かしそうに話すハンナ。


「だから大っ嫌いなのですよ。あの親子が……… 。そんな穏やかな時間を平気で踏みにじり、当たり前の様に壊して行く。何度か文句言ってやろうしましたが、ハルアナ王女達に止められて…… そして私は解雇されました。ドラノア侯爵からどんな事があろうとも、近づかず潜める様に言われました。」


 淡々と憎らく、時には哀し気に当時の話をするハンナ。

 そんな事も知らずに、俺は一体なにをしていたのだろうか?

 実は当時の記憶が曖昧なのだ。


「あの二人に長時間関わると、よくそんな事があるそうですよ。それこそ()()()でも使っていたのじゃないですか。」


 そう言って話すハンナ。

 ハンナが言うには、俺はいつも寝てるか本を読んでるか、冷めた目で人を見てるか。

 ただそれだけだったそうだ。


「だから側近の話が出た時、ハルアナ王女は、楽しみにされていたのです。ユリウスに友達が出来ると……… 、なのにあの親子が変な噂を流し、またユリウス殿下もいらないと言われ、ハルアナ王女は…… 。今の殿下を見られたら、それはそれはお喜びになったでしょう。私もとても嬉しく思います。」


 優し気な慈しみの籠った眼差しで俺を見るハンナ。


「お前も紙飛行機をハルアナから習ったのか?」


 何だか恥ずかしく、そんな訳のわからない質問をする。


「殿下……… ハルアナではございません。お母上様です。よろしいですか?」


 一気に目を眇め言い募るハンナ。俺は即座に言い直す。

 すると満足げな表情になり、とても嬉しそうだ。


「ハルアナ王女が聞かれたら、小躍りされていたでしょう。そしてドラノア侯爵から怒られて……… 。フフフ…… 殿下確かに私も、紙飛行機の作り方を幾つか習いましたよ。」


 あれから時々ハルアナ、母上の事を聞く。

 俺の中にあった母上の印象は、だいぶ変わっていった。

 そう考えると、あの親子はまわりの印象を操作して、いろんな策を巡らせているのだろう。

 老獪な策略家だ。

 素直に母国に引っ込んでいるとは思えない。


 俺は、俺達は黙々と作業を進める。

 少しでも早く、少しでも多く。


 ”ガチャ!!”


「手伝いに来たわよ。ユリウス殿下、マーベル」


 どうやら俺達のボスが来たようだ(笑)


 奇抜なアイデアを期待しているよ、リディアーヌ。




 *****************




 私は今、ハンナに土下座する様に頭を下げている。

 ホントに申し訳ない。


「いいのです。おかげで私も今の状況です。ある意味ラッキーてことです。」


 ユーモア交じりで言うハンナ。

 貴女はホントにいい人や~~……… 。


「ハンナ、何か困った事があったら私に行って。直ぐ助けるわ」


 私はガシッと手を握り言い募る。

 困った笑顔で頷くハンナ。

 そんな私をキョトンとした顔で見るチヨちゃん。

 今日のチヨちゃんもプリティーですわ。

 そして何故に執事の膝に座っているのかしら………

 ジロジロと見る私。

 そんな私を苦笑して紹介するハンナ。


「カスタネエ令「リディアーヌでいいですわ」」


 そう、ここでは名前でいいのですわ。


「リディアーヌ様、こちらは護衛を担当しているショウエイと言います。元は暗部所属で、普段は執事としてこちら配属になりました。」


 そう言うと、ショウエイはスッと頭を下げた。

 なるほど…… 

 それなら仕方ないのですわ。

 あんな状態でも暗部ですもの、逆に安全なのかもしれない。


 だって暗部って、要は忍者よね!!!

 こうしてはいられませんわ!!


「ねぇ、マーベル鍛冶師も来るのよね?」


 私はマーベルを呼んだ。

 すると、マーベルはすこぶる不機嫌ですって顔をしていた。

 そんな私達を可笑しそうに見ているユリウス殿下。


「リディアーヌ、お前まず初めにマーベルに声掛けしないとダメじゃないのか?実際は俺にだけどなw」


 そう言って笑った。その横には、二人の使用人がいた。


「リディアーヌ様、あちらの二人は身元確かな者達です。私どもの友人です。」


「初めましてカスタネエ公爵令嬢、ジュリアと申します。よろしくお願いいたします。」


「お初にお目にかかります。私はクローといいます。ショウエイとはコンビを組んでいました」


 なるほど総勢4人の専属使用人兼護衛?


「あのハンナとジュリアも護衛できるの?」


 気になる凄く、自衛ぐらいできないと、今から特に危険になるのはず。


「一応嗜み程度には、身につけています」


 と応えるハンナとジュリア。


「いや、騎士たちの話では、かなりの手誰だという話だ」


 と言うユリウス殿下。

 二人のメイドはフフフ……と笑っている。


 底の見えない二人だった。





「ごめんねマーベル。機嫌治してよ」


 つむじを曲げたマーベル。

 ハッキリ言ってめんどくさい。


「どうせ俺な便利な道具屋ですよ」


 ツンと横を向いて、いじけている。


「マーベル、お前だってハンナに合った時、謝っていたじゃないか。同じ状況なんだから、わかるだろう」


 そう言って、取りなしてくれるユリウス殿下。

 なんか最近、ユリウス殿下の成長が著しいな。

 部屋にはさらに魔道具の人員が3名来ている。

 だからか、まわりによく目を配り、指示を出している。

 ホント初日とは思えない連携だし、的確な指示をしている。

 なるほど、すれば優秀な人なんだわ。

 ホントいろんな意味で勿体ない人だ、ユリウス殿下。


 生暖かい目で思わず見てしまう私。


「リディアーヌ、お前、俺はフォローしてやっているのに…… その目はなんだ?」


 ああ、ユリウス殿下まで不機嫌になった。

 今日の私は、邪魔をしている状態になっている。

 うん、それならサッサと退散しようかな。

 でもその前に忍者道具を話さなくては!!

 手裏剣とか撒菱とか仕込み刀とか………

 絶対役に立てるはず、よし、この際マーベルはいいや。

 めんどくさいし、使用人4人に聞いてみよう。

 良さげなら、うちの知り合いの鍛冶屋にでも頼めばいいんだ♪

 懐から紙飛行機用の紙を取り出す。

 それに書き書きと忍者道具を書いていく。

 始めに興味を示したのはショウエイ。

 ショウエイがクローを呼ぶ。

 ハンナもジュリアを呼んだ。


「これはどういう風に使うのですか?」


「これはマリエ夫人が折り紙を使って果物を落としたモノですね」


「なるほど、これは面白い♪」


「へえ、これをバラまくだけなのですね。でも効果覿面じゃないですか♪」


 チヨちゃんもキラキラした目で見ている。

 目は仕込み刀に釘付けだった。

 チヨちゃんは、護身用をたくさん持っている。

 というか、ユリウス殿下によって、おもちゃとして使っている。

 バチバチなる玉とか魔法棒とか。

 でも仕込み刀に興味ありありだ。

 そう言えば、刺したら刃が中に入るおもちゃがあったな。

 仕込み刀ならぬ、仕込み刃だ。

 うん、でボタンを押すとバリバリの電気が流れるスタンガン使用にしたらどうかしら。

 急遽思いついたチヨちゃん専用の忍者刀バリバリ。

 なんかいいんじゃないかしら。

 思わずニンマリする私。マーベルは未だすねすねだ。

 でもこれはチヨちゃん専用。私はユリウス殿下を見た。

 そして言うのだ。


「チヨちゃん、これ気になるの?」


 チヨちゃんはうんと頷いて、欲しそうに私を見た。

 だから私もユリウス殿下を再度見る。

 ユリウス殿下は気になった様で、こちらに向かってくる。


 ”釣れたわ”


 私は思わず心の中でガッツポーズをした。


「これはチヨちゃんに危ないと思うんだ。でも刀の形のおもちゃに、刃を差すと中に引っ込む仕掛けをしたら面白いと思わない。」


 チヨちゃんに説明していくと、チヨちゃんは楽しそうな顔をした。

 そして………


「チヨ、ほしい……… 」


 始めてチヨちゃんとおしゃべり出来た。

 私、感無量ですわ。

 プルプルしている私に、ユリウス殿下は頭をポンポンとして一言。


「良かったな、リディアーヌ」


 とほほ笑んだ。

 私がどんなに嬉しいか判っているからね。


「チヨ、それじゃ後で俺が作ってやる。」


 そう言ってチヨちゃんの頭をナデナデする、ユリウス殿下。


 そう、一瞬にして自分の手柄に変えたのだ。

 なんか納得いかない私。

 でもスタンガン使用にする事も、ついでに伝える。

 これには使用人も面白と興味を持ち、電力の出力は私が考える事になった。



 その頃マーベルは、恨みがましい目で、見ていたと見てなかったとか、私は知らない。







 

読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)

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