未来を見据える
拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。
【 ユリウスside 】
ドラノア侯爵が教えて貰った紙飛行機。
飛ばすと微かに羽ばたく。
「ワイバーン紙飛行機です」
ドラノア侯爵は、いつもの厳めしい顔ではない。
多分あれが本来のドラノア侯爵なのだろう。
目がとても優しくはにかんだ笑顔だった。
そして皆が飛ばして遊んでいる時、ドラノア侯爵が私に紙飛行機を渡す。
それはだいぶ前に折られた紙飛行機だった。
「これはハルアナ王女が殿下にと折っていたモノです。よかったら貰って下さい。」
そう言って渡されたこれまた変わった紙飛行機。
「ホントいろんな種類あるんだな…… 」
少し空の王者に似ている。
「飛ばすと面白いですよ。また違った動きをする」
哀し気な笑えみを湛えて言った。
一体、ハルアナはドラノア侯爵とどんな間柄なのだろうか?
「これが殿下たちの助けになればと思います」
どういう意味かわからないが、そう言って紙飛行機を見るドラノア侯爵。
「母はどんな人だったのだ?」
いつもしかめっ面か、乳母達を困らせている姿ばかり見ていた。
今ならわかる。何か理由があったのだろう。
「抗い続け、足搔き続ける人でした。そしてとても騒がしかった。」
確かに……… 騒がしかった記憶はある。
「それでは、陛下に報告がございますので……… 」
そう言って離れて行った。
カロリーナは、慌てて追いかける。
ホント訳のわからない夫婦だな。
手元にはハルアナが折ったといういう紙飛行機。
よく見ると文字が書いてあった。
「なあ、何話したんだ?」
マーベルが心配そうに俺に聞く。
目はハルアナの紙飛行機にくぎ付けだ。
「それどうしたんだ?偉く古びてるな?」
そう言って指でツンツンと突く。
俺はそれを慌てて胸に入れる。隠すように………
そして誤魔化す様にマーベルに話しかける。
「お前ここ最近落ち着いたな」
以前はこの世は終わりの様の目で荒んでたからな。
「うん、実は通信システムの魔道具を作ってさ。いつでも話せる様にしたんだ♪」
ニコニコしながら、晴れやかな笑顔で言うマーベル。
そっか煮詰まってたもんな。
「そっか、良かったな」
俺は生暖かい目でマーベルを見る。
「ああ、それよりさ…… 後でガウェインが部屋に来て欲しいって」
意にもかけないで用件を伝える。
嫌だな……… アイツと話すとホント疲れるんだよな。
「待っていたよ。」
相変わらず何を考えているのかわからない笑顔で、俺達の席に誘う。
「今日はハラハラドキドキな日だったね(笑)」
「俺達はいつも通りだったな。普通に折り方を習ったよ。ユリウスは少し話をしてたなあ」
二人が俺を見る。俺はため息を一つ付いて話す。
「ハルアナの話を聞いていた。ガウェイン、ドラノア侯爵はハルアナとどんな間柄なんだ?」
なんかコイツなら知ってそうに思って聞いた。
「うん?ぼくはわからないよ。だって当時僕3歳だよ。そりゃ猫をくれって強請ったけど…… でも、ドラノア侯爵がハルアナ王女を抱いて来たんだよね。最後を看取ったのはドラノア侯爵だよ。」
「ええ、そうなのか?!」
「うん。母上は医者を呼んだり、状況収集でバタバタしていたのを記憶しているよ。ハルアナ王女の最後を付き添っていたのは彼だよ」
俺はホントに何も知らないんだな………
「ガウェイン、ハルアナが紙飛行機を折れる事知ってたな?」
妙に興味を示したガウェイン。
それに対していつもの様にニコニコしながら………
「うん、知ってたよ。ドラノア侯爵に教えていた頃、僕もたまたま居たんだ。ハルアナ王女から紙飛行機を貰ったよ。その時言ってたよ。ユリウスが興味を示してくれないから、貴方に上げるわって。ホント兄上はいろんな事に興味なかったものね。これからは止めてね。今回の事で判ったでしょ?」
思わず目を逸らす俺。
ホントに痛い腹を突くガウェイン。嫌いだ………
「一応、俺ユリウスの側近扱いらしいぜ」
そんな中マーベルが言う。
「側近らしい仕事、全くしてないのにね」
そして突かれる第二弾。
「わかってるよ。少しは考える。」
だから俺は慌てて間に入る。
チヨを守る為にも、周りに信頼する者を置いたい方が確かにいい。
「うん、よろしくね。母上にも伝えておく。」
側近が部屋に入ってきて、目の前にホントサンドと飲み物が置かれた。
「この前作って貰った物だよ。食べてみてよ。美味しいよ」
そう言うと、自分はさっさと取り食べている。
確かに表面を焼いたサンドイッチは、美味しかった。
「それでね、呼んだのは僕の立太子の件なんだ。」
ガウェインがおもむろに言った。
遂に決まったらしい。
「今までの不調和音を完全に取り除く目的もあるんだ。一旦僕の10歳の誕生日パーティーで報告する事になる。だから、その時に何かが起こると思うんだ。向こうも何か動きを見せるはず、待つより待ち伏せしたいからね。いろいろと今までやってくれたし、お返しは必要じゃない。」
うっすらとほほ笑みを湛えて言うガウェイン。
やっぱりコイツは苦手だ。
今までの無邪気な様子も演技か本気かわからない。
”コイツの本心はどこにあるんだ。”
ホントいろいろと疲れるヤツた。
「俺達はどうしたらいいんだ?今まで通りみんなと仲良く紙飛行機をすればいいのかよ」
マーベルはとにかく早く退室したいのだろう。
話を先に進めて用件をサッサと聞きたい様だ。
「マーベル、そんなに急がなくても君たちの逢引の邪魔はしないよ」
ガウェインはニヤニヤしながら言っている。
マーベルは睨み付け、イライラしているのが手の取るようにわかる。
俺もサッサと終わらせてチヨのいるところへ帰りたい。
今は心底癒しが欲しい。
「ガウェイン、言いたい事があるならサッサと言え」
前置きが毎度長すぎてイライラする。
「兄上も今日はお疲れの様子だね。うん、それじゃあマーベル。リディアーヌ嬢に渡した通信機のアレを至急大量に用意して欲しいんだけどできる?」
大体コイツの口から出る言葉は、疲れる事しかないのだ。
わかっていた。わかっていたが………
「何でいるんだ?」
ブス暮れ顔のマーベル。
だろうな、みんなが似た物付けたら、目印(おれの女)の意味がなくなる。
もちろんそんな事わかって言ってるガウェイン。
もともとがサド気質だ。
ニヤニヤ笑ってとても楽しそうだ。
「アレはとても有用だと思うよマーベル。いつでもどこでも連絡し放題。それこそどんな時でもだ。」
そう言って、表情を真面目なものに変えた。
「ボクワイの動きが活発になって来たのか?」
俺は聞いた。今日ドラノア侯爵も帰ってきた。
「フフフ……カロリーナ凄くリディアーヌ嬢とマーベルの事聞いて来たよ。」
マーベルを見ながらガウェインは言う。
先日までの行いがどう出るのか………
マーベルも青ざめてガウェインを見ている。
「もちろん大丈夫だったよ。それどころか怖れた顔をしていたくらいだ」
何でそうなるのかな?俺は頭を捻る。
それはマーベルも同じだろう。
「ウフフ、リディアーヌ嬢は二人のボスだ。と教えて上げたんだ。蹴り上げる、怒鳴った事もあると教えてね。今では従順に言う事聞いていると。それにマリエ夫人も乗っていたからね。とても恐ろしい人物の思えたようだ」
哀れだ………
この二人の手に乗せられたリディアーヌ、お前大変だったな。
「リディアーヌが俺のボス…… 」
違った意味で嬉し気なマーベル。
ホントこいつリディアーヌと婚約してから変わったな。
「とにかくその時のカロリーナの様子からして、また何か仕掛けるのは間違いない。それからリディアーヌ嬢には直接関わらないと思う。カロリーナにはリディアーヌ嬢はとても我儘なお子様令嬢に想えただろうからね。自分を偽装しているほど、幼子の存在は恐怖の対象だもの」
「どうしてだ?」
リディアーヌが安全と知ってホッとしたマーベルは聞く。
「うん、子供って幼い程人間の本質を見抜くんだと思うよ。自分の身を幼いながら守る為の、本能と言ってもいい。だから自分を偽装している、人間ほど怖れるんだ。誤魔化せないからね」
そう言うガウェイン。お前はどうなんだよと思う俺。
「兄上、僕はどちらも本質ですから、怖れる意味がありません。ついでに僕まだ子供です」
ヘラッと抜け抜けと言う………ハァ………
「マーベル、あの通信機は複雑なのか?」
とにかく早急に準備が必要なのはわかる。
やりたくないけどな………
「前に渡した物より簡単だよ。先の分は動力の部分で複雑だったけど、今回その必要がないからね。ホント声と写真だけ」
「ガウェイン、2日で50セットなら大丈夫か?」
マーベルの目を見て言う。
マーベルも頷いているから大丈夫だろう。
「それじゃよろしくね。できればもう少し多めにしてほしいかな?というのもアチラさん、国そのものをめちゃくちゃしていい、と思っている人達だからね。城ばかり見ていてもダメだろう。変な噂市井にバラまかれるのも嫌だしね。できたら監視カメラを市井の方にも取り付けたいんだ。忙しくなるね兄上。」
俺とマーベルはプルプルと怒りに震える。
何で仕事が増えているんだ。
「兄上、市井を守るのは王族としての当然のぎ「わかっている。作ればいいんだろ!作れば!!」」
ああ、そうだよ義務だよな。わかってるよ!!
「それじゃ、よろしくね。できれば5日以内でお願いしたい。カロリーナ達がどんな動くするかわからないからね。そうだね………」
ガウェインは少し考え込んで、側近に何かを言う。
側近が応えて部屋を出て行った。
「あともう一つ伝える事があるんだ。兄上、専属の使用人を付ける事に承諾したんだよね?」
俺に確認する様に聞くガウェイン。
そう言えば、騎士団長から側近の事とかそこら辺考えろと言われて頷いたな。
「ああ、確かに側近の事とか使用人も必要だと思っている」
俺一人でどうにもできないしな。と言うか信用できる人はホントに必要だ。
「そうよかった。実際今までいないのがおかしいんだけどね。どうしても持ち回りだと優先順位がブレるんだ。専属だと主人がトップだ。それだけ信頼できるっと事だよね。今兄上にとって必要だと思うんだ。チヨちゃんを守る為にもね。」
俺も判っているから静かに頷いた。
それに俺もできれば欲しい人材がいる。
「ガウェイン、できれば魔道具の造詣の深い人材が欲しい。何人か」
そうすれば、作業効率も上がるだろう。
他にもいろいろと考え作りたい。
「ユリウスできれば鍛冶が出来るヤツも」
俺はガウェインの目を見る。
「わかった。どちらも早急に用意しよう。こちらとしても技術伝達は必要だからね。」
ニッコリと晴れやか笑っている。
何だかんだといつもガウェインの手の内だ。
頭ごなしじゃない分始末が悪い。
”できた弟がいると兄としてはやるせないがな”
俺はヤレヤレと言う風に頭を振った。
”コンコン”
「失礼いたします。ガウェイン殿下、お連れしました」
部屋に入って来たのは、側近と二人の使用人。
20代半ばのやせ型の男性と同じくらいの茶色の女性。
「アッ?!」
マーベルは知り合いなのか指を差して驚いている。
「ああ、マーベルは知り合いだったね。紹介するよ。男性はもと暗部所属のショウエイ。情報収集は得意だし護衛にもなるよ。女性はハンナ。上級メイドで女官の心得もあるから役立つと思うよ。」
ニコニコしながら紹介するガウェイン。
使用人二人は静かに頭を下げて挨拶をした。
ハッキリ言ってとても影の薄い二人。
俺は戸惑ったように返事を返す。
そんな中マーベルはハンナに謝っている。
ハンナは笑いながら気にするなと言っている様だ。
「フフフ……ハンナはリディアーヌとマーベルが城の情報を仕入る為、難癖を付けて連れて来たメイドだからね。ついでに今までの広報活動を提案したのも彼女だ。そしショウエイは影から捕縛を、迅速に対応している。だから兄上の助けに絶対なるよ。特にハンナはアマラ親子が大っ嫌いと聞いている。そう言った意味でも信頼できるでしょ。」
彼女があのアイデアを考えたのか………
俺達とは違った視点を持っている。
その有用性は計り知れない。
それにショウエイ、護衛としては最高だった。
情報と言うのもありがたい。
「ガウェイン、ありがとう。できれば後二人ほど欲しいかな使用人。」
俺はこの際欲張る事にした。もう二人は必要だった。
「フウン、いいよ。似た感じがいいの?」
「適性はな。性格はどうでもいい」
「ユリウス大所帯になるな♪」
マーベルはとても楽しそうにしている。
いままで二人三脚でやっていたからな。
だからだろうか。
楽しい未来が待っていそうな、そんな気がした。
「アッ、それから兄上。彼女は一時期ハルアナ王女に付いてた事があるんだ。さっき気にしていたでしょ。彼女なら知っているかもね。」
ガウェインの爆弾投下はいつもの事だった。
読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)




