光と闇の神
ザカリィがぶん投げた魔神さまの核が元教皇の泥状の体にヒットした。
「いやああぁぁぁっっ!!」
「ちょっとザカリィ!!あわわ、女神さましっかりしてください~~~っ!!!」
「惚れた女くらい意地張ってないで自分で守れ!ふんっ!!」
ざ、ザカリィったら!
「ほ、惚れたってっ!!」
め、女神さまが照れててかわいい。
すると魔神さまの核が黒く光りながら、その核を中心としてその中から黒い髪に黒ずくめの男性が現れる。その長い睫毛の下から覗くのは、ザカリィと同じような朱色の瞳。ザカリィに似ているなぁと思って見つめていれば。
『マ、マジン、ナゼ』
「・・・」
あれが魔神さま!?漆黒の闇の神は静かにその液状化し見るも無残な姿になったそれを見降ろす。
『おまえなど、フタタビ、ホフッテクレル!!』
「ならぬ」
『ワアアアアァァァァァァッッ!!!』
泥状元教皇が魔神さまに襲い掛かる!?
「きゃああぁぁぁぁっっ!!!」
女神さま―――っ!!!しっかりぃ―――っ!!!
「えぇいっ!しつこい!!」
ガッ
そこに神々しい剣が突き立てられる。
『ウ、グ、ア、ナゼッ』
「超越した転生者が自分だけだと思ったか?」
女神さまと同じ夜の色を宿したその人は、淡々とそう語る。
『ア‶、ア‶ァ‶―――っっ!!!』
液状化した元教皇は、苦しみもがきながらも光の粒となる。
そしてその一つを魔神さまが掌で掴んだ。
「神を超越しても、この状態になってしまえば造作もない。消滅せよ」
『―――っっ!!!』
声にならない叫びと共に、そこにあっただろうものが消滅した。
「リヒュィテ」
闇の色をした神は、女神さまを古の音で呼ぶ。
「うっ、私っ」
「言いたいことは言った方がいいですよ。この際」
潤む女神さまの背中をそっと押してあげる。
「私、私のせいであなたが、封じられてしまって」
「違う」
「違う?」
「闇の存在が、お前の神子を狂わせた。私がいなくなればいいと思った」
「バカ!そんなのバカでしかないじゃない!!」
女神さまが魔神さまの胸にトンっと拳をぶつける。
「あなたがいなくなったから」
「まさかあんな風に感情のコントロールが効かなくなって、世界の均衡が崩れるとは思わなかった」
「違うの!哀しかったの!寂しかったの!」
「リヒュィテ」
「もう、離れたくないの。一緒に、一緒にいて」
女神さまが魔神さまに抱き着く。
「ちょっ、いい雰囲気!」
「全く。俺なら何があっても放さないのに」
あっはは。ザカリィならわかるかも。
でも、きっとこれからは。
「わかった。一緒に」
「えぇ、一緒に」
その瞬間、周囲が光輝いたと思えば、闇夜に輝かんばかりの星が瞬いていた。
「だから星だったんだ」
笑顔でそんな星空の中を手をつないで歩いていく二柱の神を見送りながら、私は呟いた。
あの星形の遺跡群が訴えていたのは、光と闇の神が一緒になれることを願った祈りのようなものだったのかもしれない。
「なかなかいいものだな。兄上たちの色だ」
「そうだね。あ、てか、その!陛下は何でここに!?」
そうだ、そうだよ。あの二柱の門出を和やかに見送っていたら、不意にひとり去ろうとするその人物、ラーシュ=エリク・シュリュッセル陛下を振り返る。
「ん?新婚旅行の邪魔はできないから。じゃぁな」
「うん、兄上」
「いや、ザカリィはそれでいいの!?」
「内緒だぞ、リューリ嬢」
え、何で私だけに?
えっと、今までの流れでは陛下も、転生者?しかもチートの方。
もしかして私の方も知っていたのだろうか。
私が、転生者だと。
呑気に陛下に手を振るザカリィに手を振れば、すっとどこかへ陛下は行ってしまった。お城に帰られたんだろうか?




