女神の嘆き
※少し短めです※
長いミルクブラウンの髪のとても美しい髪の女性が泣いている。
その瞳は、星が輝く群青色の夜空のような色だが、その瞳の中に星はない。
誰かが歌っている。
古の部落の神子は彼女の嘆きを歌っている。
そして、彼女の嘆きがいかにして訪れたかを、彼らは残した。
時が経ち、かつて罪を犯した神子が世界を制して再び女神を手に入れようとした時、迫害された異教の巫女たちはその迫害を逃れその地を離れた。
罪の神子によって古の部落の神子の歌は失われてしまった。
けれど異教の巫女たちは残していた。
遠い未来、再び彼女たちの子孫がこの地を訪れた時。
彼女らの神子が荒れ狂う闇から引き上げられた時。
再び女神の嘆きと魔神の哀しみを鎮めるための、とある仕掛けを。
―――女神が魔神に恋をした
―――女神に恋したとある部落の女神の神子は
―――魔神の糧たる魔物の核を滅ぼし、魔神を屠った。
―――しかし、そのなれの果ての魔神の核を完全に滅ぼすことができず、
―――分散して魔晶石として穴に閉じ込め鍵を掛けた。
―――魔神の巫女は怒り、その女神の神子を追放した。
―――他の部落の女神の神子は女神の哀しみを癒すため、ロッホの跡地に番人を置いた。
―――しかし、分かたれた魔神は怒りと悲しみで我を忘れ、度々荒れ狂い、その眷属である魔物が我を忘れて女神の信徒である人間に襲い掛かる
―――悲しんだ女神は信徒に聖なる信徒である聖女と聖者を与えた。
―――そして、魔神の哀しみを鎮めるために与えられた魔神の巫女の地に赦しを与えた
***
「・・・り」
誰かが読んでいる。
「リューリ!」
重い瞼を押し上げれば、そこには大好きな顔があった。
「ザカリィ!」
思わず飛びついたら、ザカリィは驚きつつも抱きしめ返してくれた。
「あの、ここは?」
「わからない」
「どうなったのだっけ」
「あぁ、リューリが石板を持った時に聴いた声の訳を読んでくれて、恋愛小説を読んでいて、それはざまぁシーンだったはずだ」
「その途中で眠ってしまったのかな。何か、頭の中に鮮明に聞こえた気がして」
「女神と魔神の話か」
「それ!ザカリィにも聞こえたの?」
「リューリが、寝る前に訳を読んでくれたからかもしれない。リューリの訳と、ほぼ変わらない。そして、わかったこともたくさんあるな」
「うん。何故あの文章の中でキドゥーシュが出てきたのか、何故女神さまが魔神の地を赦したのか」
「あの魔物の大規模討伐は、人為的に引き起こされたんだな」
「そうだね。でも、それが分かったところでどうすれば」
「進むしかないか」
「進む?」
ザカリィが横を向けばその先に白い階段がある。
「行こう。何があっても俺が守る」
「わかった。一緒に行こう」
「うん」
私はザカリィから差し出された手を取って、ともに白い階段を一段一段登り始めた。




