表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】最強王弟殿下の花嫁  作者: 瓊紗(旧:夕凪.com)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/54

事件のその後

※会話にのみですが、残虐な表現が含まれます※


「そう言えば、あの後すっぽかしたパーティーはどうなったの?」


さすがに今夜はあの後ザカリィとアレンは絶対安静を言いつけられ、アレンも自身の寝室で休み、あちらはアリシアがてくれている。


私は当然のようにザカリィに抱き寄せられながらベッドの上で休んでいるのだが。こちらにはお父さまが付いてくれている。


「あぁ。俺たちがいない間は、宰相と甥っ子と異母弟にぶん投げしてきた。最後は色々あったが陛下と王妃が無事締めた」

おぉ。なんつー、重鎮たちに投げてきたんだお父さま。

宰相閣下は確か伯爵家出身の?あれ、エルンストの実家じゃなかったっけ?いや、まぁそこは今はおいておいて。甥っ子=皇太子、異母弟=公王なわけで。お父さまったら。


「ザカリィはいなかったけれど平気?」

さすがに一番の功労者なわけだし。


「新婚ほやほやなのだから仕方がないと王妃が微笑んだらみんな納得していたな。まぁ、副団長はいたわけだし」

さすがは初代魔王の圧っ!!各国の重鎮や皇族貴族がいる場ですごすぎる。

それに、代わりにシーザーさんもあの後行ってくれたらしい。


「それでも、公国から来た使節団の一員である教皇一派が問題を起こしたことは重大なのでは?」


「確かに。だからこそ公王アイツは性格が悪いんだ」

お父さまの目が鋭く光る。


「恐らく、教皇をこの場に連れてきてザックとの密会を行わせるつもりだったのだろう」


「そんなっ」

わざと公王陛下はこの一件を野放しにしたの?


「まさか教皇の手首から先がなくなっているとは思わず、爆笑していたが」

爆笑って。本当にちょっと読めないな、公王陛下。


「とはいえそれが帝国との計画であると言われれば、属国の王の身で皇弟でもある公王に大きな顔はできん」

まぁ、教皇相手なら違ったわけだけど。さすがは皇弟。


「やつはその場で教皇や事件に加担したやつらの首を斬り落とした」

うげっ。


「そ、それじゃぁ、真実がうやむやになるのでは?」

まだ、確かめないといけないことがたくさんあるのでは。


「アイツは頭がおかしい」

性悪の上にさらにトンでも称号がついたぁ―――。


「証拠は全て揃ったからこそ、最期におあつらえ向きの舞台を用意したのだろう。恐らく公国では既に教皇一族は捕らえられているだろうしな」


「奥方さまとその御子もその血を引いているのでは?」


「伴侶は一生幽閉させるそうだ。子に関しては皇族の血を引いている以上は公子、公女として扱うそうだ。だがそれも執着深いあの頭のおかしいアイツが仕組んだことだ」

執着深くて一生幽閉って。何だか本当に頭がおかしいというか病んでるような気がしてきました、おとうさま。


「ぬっ抜け目がないのですね。つまり、シュリュッセル王国の戦勝祝いパーティーをだしに使ったんですね」

性格が悪いってか本当に頭がおかしい。


「あぁ、何でも帝国への手土産に教皇一族の魔晶の扱い方に関する性能の調査報告をまとめるとかでな」


「では公王はこれから、魔晶を使って何かをするつもりなんじゃ」

魔晶を埋め込まれたザカリィを、魔王としてこの世界を蹂躙するこまにしようとした教皇。そしてその力を見定めた公王。


「それはないな」


「それはどう言うことで?」


「アイツが持ってきた報告書をぶんどって読んだ限りは」

ぶんどったんだ、お父さま。


「教皇が使った手は、魔晶石の共鳴と言う手らしい」


「魔晶石の共鳴、ですか」


「ザック、あの教皇に石を向けられた時、どう感じた」

お父さまがザカリィを見やれば、ザカリィは一瞬考えこむようにして口を開く。


「体の中から何かが沸き上がって、吐き気がすると思った」


「そうだな。魔物の巣から飛び出した魔物が狂暴化しひとを襲うのと同じ原理だ。ザックの中に根付いた魔晶の核はカリュグロッホの魔晶石を利用したものと知っていた教皇が、そのあまりで狂暴化させようとした。アレンもそれで異常がでた以上は、恐らくカリュグロッホの魔晶石が核に使われているのだろう。だが、それだけだ。魔物についての被害に於いては更に助長させるようなものはいらないと排除する気らしい」

ふたりとも、同じ魔晶石の影響を受けたんだ。やっぱりアレンもザカリィと同じようにして産まれたってこと?

まぁ、公王がそれを排除する目的なら利用される心配はないのだけど。


「でも、どうやってカリュグロッホの魔晶石を手に入れたのですか?魔物の大量発生でもない限り、無理ですよね」

魔物の大量発生の時のみ開くというその穴・魔物の巣。


「それなんだが。20年前の大量発生は予兆もなく突如として発生したんだ。少なくとも2年前は兆候があった」

魔物の大量発生の兆候。ある一点に魔力の高まりを感じ取ること。つまりパワースポット化するのだ。だが、この世界では決して面白半分でパワースポットを見に行ってはいけない。


魔物の巣はある日突然ぽかりと開くのだ。だからそのようなことをすれば自殺行為にもなりかねない。


魔物の巣の発生ポイントが、各地のロッホの中で起きるとわかっているシュリュッセル王国では、常にロッホを中心として魔力観測所がある。そこで魔力の高まりを感知するとその来たるべき発生に備えて準備を行う。


「2年前、俺が修業を終えたのを兄上はギリギリだったと言っていた。まぁ、戻ってきたらあらかた準備は終わっていたが」

そ、そうなんだ。さすがに陛下はしっかり準備を整えてくれたらしい。


「だが、20年前は違った。カリュグロッホがひと晩にして陥落したんだ」

20年前は特にひどいいくさだったという。急に陛下と神官長さまが碌な支援もないまま出陣した。


「そしてそれを皮切りに、世界各地で魔物の巣が発生した」

お父さまもそのいくさにも出向いていたんだよね。

どこかひとつの魔物の巣が発生したなら、他も警戒しなくてはならない。


「恐らく、元王太子と元教皇が絡んでいる。20年前にラーシュが奇妙な資料を見たという」

陛下が?


「カリュグロッホの鉱山採掘だ。だが、いくさが終わり、復興支援に赴いた際にカリュグロッホの鉱山を探してもその手掛かりはなかった。恐らくは、魔晶石が沸く巣を強制的に掘ろうとしたのだろう」

それが20年前の魔物の巣が突如として発生した原因。


「ラーシュが戦から帰れば既に全ての資料が破棄され、先代正妃が魔晶を植え付けられ、ザックを産んで自死、元王太子と元聖女が悪政で国を傾かせていた」


「だが、何故元王太子はそんなことをした?」


「あぁ、それだけどな」

私たちが話していると、不意に陛下が扉から入ってきた。


「兄上、もういいのか?」


「あぁ、あらかた片づけは終わったからな。そうだな。まだお前には話していなかったか。あのバカアニキはな、人一倍プライドが高かったんだよ。帝国よりも自分が上に立ちたいなんて言うバカな思想がな。それでキドゥーシュ教皇に付け込まれたんだろう。そして帝国から嫁いできた母上を慕う先代正妃を帝国に寝返った裏切り者だとひどく憎んでいた。カリュグロッホが陥落して、俺が戦地に赴いている間に、手に入れた魔晶を先代正妃に取り込ませた」


「俺は魔物の子どもじゃなかったのか」


「俺が確信に近づいたのは、アレンを保護して南部を徹底的に洗った時だな。お前が修業に出ていて不在だったころだ。アレンの母親は東にキドゥーシュとの国境を構えるテッサロッホの出身だった。その彼女がテッサロッホで魔物の血を引くとされたアレンと隠れて暮らしていた。そしてアレンが産まれたとしに遡って発生していたのは、婦人の誘拐事件だ。どうやらキドゥーシュに売り渡されていたというところまでは掴んだが、そこから先は公王を頼るしかなかった」

確かに、表立ってシュリュッセル王国がキドゥーシュ公国に乗り込み捜査することはできない。


「ラントカルテ帝国を通じ公王に探ってもらうくらいしかできなくてな。その調査も長らくかかった。そして、テッサロッホの誘拐事件は、アレンが産まれる前から度々行われていたんだ」


「何のために」

ザカリィが眉をしかめる。


「テッサロッホを抱えるエンゲルガルデン領は、“天使の庭”と言う意味だ。古来聖者や聖女が多く生まれる部落があった場所。その場所からその血筋のものを連れてくることで、キドゥーシュに聖女を産まれさせようとした。けれどキドゥーシュは聖女も聖者も得られなかった。だから狙いを変えてその中から聖女と聖者を直接手に入れようとした。だが、シュリュッセル王国に手を出せば帝国に潰されるし、更に帝国の皇族が代々公王として国を治めている。滅多なことはできない」


「それで俺のような生態兵器が生み出されたのか」

―――生態兵器だなんて、嫌な言葉だ。

ザカリィは淡々と話しているけれど。


「あぁ。まぁ、俺はお前のことを兵器だなんて思っていないが。お前は俺の弟だ」


「わかってる、兄上」

淡々と答えながらも、何だか陛下のその言葉にザカリィが安心しているように思えた。


「話を続けるが、そうして生み出したお前を使ってキドゥーシュは世界を手に入れようとした。その計画にまんまと乗らされたのがバカアニキだったってわけだ。更に一度成功した実験だ。欲を出してまたひとを攫って実験を再開したんだろう。ま、公王が言うには全て失敗に終わったそうだが、一例だけ成功したアレンの母は、どういうわけか逃げ出すことに成功したのだろう。教皇も知らぬ間にな」


「けど、どうしてカリュグロッホの魔晶が狙われたんですか?普通ならばすぐ隣のテッサロッホですよね」


「あぁ、それは多分、魔晶を手に入れる手はずを整える役目のバカアニキに手が出しやすいのが王家の直轄地だったカリュグロッホだったからだ。あそこは昔から魔物の被害が多くてな。そこを突かれた」

確かに、テッサロッホで大規模な採掘をやるとしたら、他国が容易に手を出すのは不可能だ。それならば、中から有力な協力者を得た方がいいってことで選ばれ、利用されたんだ。


「だが、やっぱりあの公王は性悪で頭がおかしい」

「あぁ、その通りだ」

いや、陛下までお父さまの意見に乗っちゃったっ!そしてそうだと頷くお父さま。


「俺が公国に探りを入れて返ってきた答えが何だったと思う?


―やっと気が付いたか、シュリュッセル王国にもまともで期待のできる国王が産まれて何よりだ。そうでなければ、異母兄あに上がラントカルテ帝国皇帝からシュリュッセル王国を与えられていただろう―


―――だ」

んなっ!?一歩間違えれば、シュリュッセル王国もキドゥーシュ公国と同じ道を歩んでいたってことか。そして、その異母兄あに上と言うのは当然ながらお父さまのことで。


「その上、その頃になってあの公王は、魔晶を植え付けられた実験に関する資料を渡してきた」

それって?陛下が内心憤っているのがわかる。


「俺や父上、あとみながお前のことを父上の実子だと断言できなかったのは、先代王妃の妊娠期間なんだよ」


「え?」

ザカリィが目を丸くしている。恐らく初めて聞く話だったのだろう。


「先代王妃の妊娠時期じゃない。産まれるのが明らかに早すぎた。早産なんてレベルではなかった。幸い、あのバカアニキはお前の出生に関する資料は捨てておらず、産まれた時期や、牢に閉じ込めた時期、お前を殺そうとして騎士を放ち、ことごとく失敗して放置することにしたなんていう資料だ」

陛下が表情を歪ませている。陛下はその元王太子の残したザカリィの出生の記録を見て心底辛かっただろう。ザカリィを牢から救い出した陛下は、先王の実子で異母弟ということを長らく確信できなかったけれど弟として育てた。それはザカリィが陛下に向ける親愛の情でわかる。


「魔晶を植え付けられた魔物の中で核は急速に発達する。そしてある日魔物の巣が現れ魔物たちが大量に放たれるんだ。そして、それはひとに植え付けられたときも同じだ。だが、その急激な変化にほとんどのものは耐えられず、ザカリィとアレン以外は生き残れなかったんだ。その資料を公王から渡されてやっとわかった。ザカリィは間違いなく先王の実子で、俺の異母弟おとうとだ」


「わかっていた。兄上は、いつでも兄上だった。あとお父さん代わり?」


「あぁ、そうだな」

クスッと陛下が苦笑する。

本当にこの仲のいい兄弟の絆を壊すような嘘を言って陛下を悪者にしようとした教皇は信じられないが。


「しかし、もう少しでシュリュッセル王国が帝国の信頼を損なうことになるところだった」

「ラーシュが生き残り、王になっていなければ、俺が行かされていただろうな」

そうだよね。公王からの返事は陛下がいらっしゃらなかったら今頃、シュリュッセル王国は。

そうなったら、お母さまとお父さまは出会えていただろうか?

ザカリィは今ひとりぼっちになっていたかもしれないのだ。

やっぱりあの公王、お父さまの言う通り性悪で頭がおかしいのかも!!


「でも俺が国を治めているのに、お前が娘かわいさに乗り込んでくるとは思わなかった」

「うっさい。そんなものは俺の自由だ」

しかし目の前ではふたりが仲良く悪態をついていて。


「やっぱりザカリィと陛下って似てるね」

「え」

そう苦笑すれば、ザカリィがきょとんとした表情を向けてきた。


「そうか」

でも、何だか嬉しそうに見えた。


※今日の更新はここまでです(`・ω・´)ゞ※

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ