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【完結】最強王弟殿下の花嫁  作者: 瓊紗(旧:夕凪.com)


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マジックセーフティーボックスの中身

※少々長めです<(_ _)>


―――王城


「それでは解錠しますね」

王城のシーザーさんの執務室の程近くに用意された部屋でマジックセーフティーボックスの中身を取り出すことになった。


私の魔力を箱全体に流せば、その中身が・・・―――


どばっ


ごちゃっ


「これは?」

「す、すみませんシーザーさん。夢中でぶち込んだもので」


「ぶっ」

お父さま!?何故吹き出して・・・


「いや、フェリに似ている。使い終わった資料などをまとめてマジックバッグなどにぶち込んでいた。片付けが楽だと言って」

ぐぅっ。


それはお母さま直伝、すぐにでも他の研究にとりかかりたくて時間がない時の必殺奥義なのだけど。


「えっと、一応後で片づけますよ?これは片づける暇がなかっただけなので」

監禁されていたしね。しょうがない、しょうがない。


「片付けは得意なので任せてください。ソート魔法で分類できるので」

「ん、私も。いらないものは燃やし尽くす」

うわぁ、アレンとアリシアが頼もしすぎるっ!!アリシアの発言はちょっと恐いけど!てか、神官だよね!?ヒーラーなんだよね、アリシア!?


「それじゃぁ早速分類しましょうか」


「わぁ、アレンがいてくれて助かった~」


「俺だって」

と、ザカリィも出てくるのだが。


「団長はそこでリューリさまと見ていてください。探索魔法を掛けるといいつつ辺り一面丸焦げにしたひとが何言ってんですか」


「うぐっ、探索もしたっ!!」


「その代わりお肉の丸焼きがたくさん手に入った」

「低級・中級魔物も巻き添えですけど、その後怒った上級魔物がいきなり飛び出してきたじゃないですか」

お肉の丸焼き大量生産魔法!?何と贅沢な。いや、魔物とは言え巻き込まれた魔物たちが哀れ。でも。


「その、その後どうなったの!?まさか何かっ」

ザカリィやみんなの身にっ。


「私のお肉をろうとしたから、真っ二つにしてやった」

きらりっ。そう、アリシアがピースサインを見せてくれる。アリシアって神官だよね?神官なのにっ!いや、神官長さまのお話を聞いてもあまり実感がわかなかったけれど、マジでそこら辺の騎士よりも強そう。

因みに神殿の聖騎士は、神官よりも弱いものは正式な神殿の聖騎士になれないそうだ。いや、じゃぁむしろ神殿の聖騎士って必要なのかと思ってしまうけれど、神官の本来の役割はヒーラーなのである。そう、ヒーラー。


「でも、その後往生際が悪くて分裂して襲ってきた」

うええぇぇぇっ!?


「だ、大丈夫だったの!?」


「ん。団長が」

アリシアがザカリィを見やる。


「足元にレア級の丸焼きがあったんだ。すぐに肉の一片も残さずに殲滅してくれた」

「あの時私は、団長に一生ついていこうと思った」

しきりに頷くザカリィとアリシア。

お肉の怨み、恐ろしや。


「今は団長が心もとないからリューリさまを私が飾り立てる」

そう、アリシアが微笑んでくれる。


「それは、その、ありがと」


「俺のどこが心もとない!リューリのことならば俺はなんだってっ!」

ザカリィが負けじと前に出る。


「じゃぁ、女子の髪はどこからかす?」

「はぁ?上」

「ダメ。団長は大人しく私に任せてイチャイチャだけしといて」

「うぐっ、まぁいいだろう、リューリとイチャイチャするのは俺の特権だっ!」

いや、そのー。アリシアに完全に尻に敷かれてない?そしてザカリィを乗せるのが上手い!さすがはアリシア。私もアリシアに全て身を任そうかな。

まぁ、今はザカリィが後ろに回してくる腕に身を任せているけど~。


「いや、仕事もしろ」

と、至極まっとうな意見がシーザーさんから出た時。


「分類終わりましたよ」

さらりとそう教えてくれるアレン。お父さまは早速それらをシーザーさんと確認していた。


―――あれ、待てよ?


原作でのラスボス・ザカリィは孤高の存在で、周りにシーザーさん、アレンとアリシアも当然いなかった。むしろ原作で登場していたのは敵対関係にあったアレンだけ。


それじゃぁ、原作のザカリィは一体どうやって一人で生活できていたんだ?色々と世話を焼いてくれる頼もしい仲間の団員さんたちもいない、陛下と神官長さまもいない。無論初代魔王の王妃さまもいない。―――となれば、原作の孤高の魔王・ザカリィの生活能力はほぼ0に等しいのでは!?


今更ながら、とんでもない事実に気が付いてしまった。あぁ、ザカリィがみんなに囲まれていて良かったぁ。


「リューリ、何を考えている?」


「ザカリィのことだよ」

嘘は言っていない。


「ん、ならいい。リューリが物思いにふけっているのが俺のこと以外だったら、思わずその物思いの根源たるものを抹殺したくなってしまう」

そう言って、ザカリィが私をそっと抱きしめる。

えええぇぇぇっ!?も、物思いにふけっただけで抹殺って。今日も絶賛、病んでる―――。


「貴様、いつまでリューリにベタベタしている」


ごごごごご。


あ、やばっ。いつの間にかお父さまがザカリィの後ろでめらめらと闘志を煮えたぎらせていた。


「ふんっ、これは夫である俺の権利だ」

「そんな権利を認めた覚えはないわぁっ!」


「いや、取り敢えずリューリ嬢はこちらにくれ。確認を頼む」


「なら俺も行く」

「抜け駆けはするなっ」

取り敢えず過保護なふたり付きでアレンが分類してくれた物品の確認に移る。


「これはお母さまの研究資料をまとめたマジックバッグですね」

お母さまの生前の奥義が功を称して、あの時はマジックバッグごとぶち込めたのでとても便利だった。


「だが、これは所有者にしか取り出せないはずだな。それ以外だと魔法師団に手続きを踏んで解錠してもらうしかない」

確かにシーザーさんの言う通りだ。本来ならばお母さまにしか取り出せない。


「私にも好きな時に見られるようにと所有権を分けてくださったので大丈夫ですよ」


「そうか。それは助かるな」


「ですが取り出すとかなりの分量になるので」


「いや、君とお母君にしか取り出せない以上、こちらで中をあらためる必要はない。むしろマジックセーフティーボックスの方も、その仕組みを聞く限りは此度の件とは無関係と言っていいな。しかし、ここにあるのが前女伯爵の貴重な研究資料だと聞けば、少し興味が沸いてしまう」

まぁ、それはわからなくもないかも。シーザーさんは騎士でもあり、魔法使いでもあるのだ。


「あ、そうだお父さま。この中身ですけど、多分私が全てを理解するのはまだ難しいと思うんです。こう見えてまだまだ半人前の魔法使いですし」

多分、ザカリィの足元にも及ばないだろうな。


「だから、この中身を理解できて、活かせるんじゃないかと思う方を思いつきました!」


「それは誰だ?」

お父さまは意外そうに私を見つめる。


「はい!王妃さまです!」

王妃さま、もといお義姉さまであれば、理解できるんじゃないかと思う。何故なら天才的な魔法使いで、正式な史実には乗っていないものの、世界各地の魔法使いたちから初代魔王とまで呼ばれたお方である。


「げほっ」

「ぐはっ」

いや、どうしてお父さまもシーザーさんも同時に吹き出す。

いい案だと思ったんだけどな。


「まぁ、俺としてもそれほど安全な場所はないと思う。王妃殿下は信頼のおけるお方だ。恐らくこの中にはマジックセーフティーボックスの資料やその他国外においそれと漏らせない資料もあるだろう。その魔法の危険性などもあの方なら正確に判断できる」

「そうだな。まぁわからんでもない」

シーザーさんもお父さまも納得してくださった。


「後で王妃殿下に頼んでみようか」

「はい。ありがとうございます、シーザーさん」


「いや。構わない。次は・・・」


「ここら辺は魔動具ですね」


「これも王妃殿下と一緒に仕分けた方がよさそうだな」

確かに。貴重な魔道具も含まれるし、万が一誤作動した時に偉大な魔ぉっ、いや魔法使いである王妃さまがついていてくださった方が安心だと思う。因みに付与魔法を仕込んである日用品なども含まれている。


「こちらは我が家に代々伝わるアクセサリーやよくわからない置物です」

アクセサリーはお母さまからいただいたおさがり。あまり華美なものを好まず、派手に着飾ることを好まなかったのは、研究者肌の家系だったからかもしれない。だから本当に必要なものだけを付与魔法を掛けて代々受け継いできたのだ。


因みに、ダミーの高価に見える付与魔法を掛けている偽物はセーフティボックスに入れずに放ったらかしておいたのだけど。偽物と気が付いただろうか。それとも今も高価なものだと信じて大事に取っていたのだろうか。


まぁ、大事なものは手元に無事戻ってきたので今はいいだろう。

他にも家令からのアドバイスでぶち込んでおいた元伯爵家に関わる資料などの数々だ。ここら辺はお父さまが整理してくれるという。もしかしたら捜査の役に立つかもしれないので、そう言ったものはシーザーさんと共有してもらうことにした。

そして最後は。


「ここら辺は魔法書、古代の文献などですね」

「魔法書はわかるが、古代の文献?こちらも先代女伯爵の私物か?」

シーザーさんを始め、お父さまやザカリィもそれをしげしげと見やり、中身を不思議そうに確認していた。


「魔法書はお母さまが管理していたもので、元伯爵家に代々伝わるものもありますね」

魔法書に関しては王妃さまに見ていただいた方がいいだろうか?


「古代の文献などは私の、私物です」


「リューリの?」

ザカリィが呆気にとられたような表情をしていた。


「えっと、古代魔法や古代の伝承に昔から興味があって、お母さまが資料になるものを揃えてくださったんです」

因みに私が初めておねだりしたのは古代語辞典であった。


「リューリの興味をそそる古代文献か」

ザカリィが文献を見つめながら意味深に呟く。何だろう?何かまずかったかな?


「リューリが俺以外に興味をそそられるなんて納得できない」


ごごごごごっ


「お前心狭すぎるぞ」

「紙に嫉妬しないでください」

「紙はお肉と違って食べられない」

「さすがにどうかと思うぞ」

うわぁ、シーザーさん、アレン、アリシア、お父さまからの総口撃。アリシアの発言は若干ずれている気もしなくはないのだけど。


「それじゃぁ、ザカリィも一緒に読む?」

私は読んでいて楽しいのだけど、ザカリィはどうかな?やっぱりつまらないだろうか。


「それはいいな」

ぱああぁぁぁっっ。ザカリィの表情が一気に明るくなり、イケメンオーラがキラキラ輝きを放つ。うぐおおぉぉ。眩しっ!!


「うん。リューリと一緒に過ごせる時間は何よりだ。この古代の文献どもも大いに褒めてやろう」

あはははは。無事に和解できたみたいで何よりである。


「王城の書庫にもそう言った文献があるだろう?」

「そうですよ。一度リューリさまをご案内してみては?」

そうシーザーさんとアレンが勧めてくれる。

王城の書庫かぁ。考えるだけでもすごそうだけど。


「ん、そうだな。今度一緒に行こうか。リューリ」

「うんっ、ザカリィ」

えへへ。何だかデートの誘いみたい。いや、行き先は王城の書庫だからデートとはちょっと違うのかな?


「ふんっ、王城の書庫だからと言って油断しないことだな」

「望むところだ戦神っ!」

しかし、そこもやはりお父さまの過保護からは逃れられないようで。

う~む、せめて書庫の中では静かにしてくれることを願おう。うん。





※本日の更新はこれにて終了です(/・ω・)/※

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