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【完結】最強王弟殿下の花嫁  作者: 瓊紗(旧:夕凪.com)


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25/54

翌朝


んんっ


何か、あったかい。


―――ここは?


誰かに、抱きしめられて。

腕の中に、いる?


そうだ、私っ!


ハッとして顔を上げれば、そこには闇色の艶髪に美しい顔立ちの美青年がすやすやと寝息を立てていた。


そうだ。私昨日、ザカリィとけ、けけけ結婚したんだっ!!


やだ。心臓がバクバク言ってるっ!


い、今更!?


昨日は疲れすぎていてそこまで気が回らなかったのか。

いや、気が回るとかそう言う問題でもない気が。


―――それでも。


だ、抱きしめられて寝ている私。

眼前に広がるイケメン顔。

前世の推し。いや、今も断然推し。そして、夫。


おわあああぁぁぁぁっっ!!!


今更すっごい状況にいることに気が付いたぁ―――っ!!!


どうしよう、これ。


そうだ、目をらそう。


すっと見上げていた顔を元の位置に戻せば。


―――ぐはっ


寝巻のシャツの間から、はだけた人肌。

本当に、雪のように白い陶器のような肌。わぁ、ザカリィって肌きれ~い!


―――ってそうじゃなくって!見上げても見上げなくてもこれは心臓に、悪いいぃぃっ!!


この場でとれる最善の策、それはっ!!


よし、まぶたを閉じよう。これで解決だ。

でもこれはこれで、今度は何も見えない分体を包み込んでいるザカリィの腕の温もり、胸元の体温をより一層感じてしまう。


これはこれで心臓に悪いわぁぁっ!


けれど離れがたいと思ってしまうのは、何故っ!!


「リューリ」

何だかとろけるような甘い声で、自分の名前を呼ばれれば。俯いたままついつい瞼を開けてしまう。背中に回された腕がぐいっと私の体をザカリィの胸元に引き寄せ、もう一方の手で髪を優しくくように撫でられる。


「リューリ、もっと俺を見つめていい」


―――え?


「どうして、目をらすの?」


まさか、じっと私が寝顔を見つめていたことに気が付いていた!?

何故っ!!目を閉じていても分かる超常的能力でもあるのかこのひとっ!!


「あのっ」

つい、見上げてみれば。


ぐはっ。


物憂い気にわずかに開いたまぶたから輝くような明けの色の瞳が覗く。更には長い睫毛がより一層そのあかを引き立てているようで。


―――き、キレイすぎるわぁっ!!


本当にザカリィが、私の旦那さまになったんだよね?

何だか急に夢なんじゃないかと思えてしまう。


「リューリ。おはよう」


「お、おはよう。ザカリィ」

ザカリィの手が私の頬に伸びる。最初は少しひんやりしていたけれど、すぐに熱を帯びて頬が温まる。

これはザカリィの魔法のおかげなのか、私の頬が火照っているだけなのか。顔が真っ赤だったらどうしよう。そんな風に感じると、ついつい視線をらしそうになる。


「リューリ。目が覚めたら腕の中にリューリがいることがとても幸せだな」


がはっ。


き、キラキラオーラヤバすぎるっ!ど、どうしよう。この状況はどうしよう。しかしながらこの状況で一度使った必殺奥義・瞼強制シャットダウンはさすがにもう一度使うわけにはいかないか。


「何だか、いい朝だね」


―――いい答えが浮かばないっ!!


「あぁ、最高の朝だな」

そんなキラキラオーラで返してくれるザカリィ。


「もう少し、こうしてようか」

そう言うと、再びザカリィの胸元に顔をうずめるように抱きしめられる。

これはこれで、キラキラ顔にドキドキしなくてOKかもしれない。ちょっとドキドキするけれど。うん、この体勢は楽だ。心臓のバクバク以外は!よし、この隙に心頭を滅却すれば何とやら~。


『ほぅ?朝からそこまで見せつけてくれるとはいい度胸だな、クソガキ』


―――ごごごごごっ


こ、この声はっ!


ちらっと上を見やれば。


お、お父さま~~~っ!!?


何故かお父さまがベッドの脇で仁王立ちしながら覇気を放っているのだけど!?


「ふっ」

ザカリィの嘲るような短い苦笑が漏れる。


「貴様こそいい度胸だ!俺とリューリの爽やかな朝の目覚めを無視するとはなっ!」

いや目覚めと言うか、今まさにもう一度寝入ろうとしていなかったっけ?


そして、ぐわりっと後ろを振り返ったザカリィが、私を抱き上げながらどす黒オーラを全開にしてお父さまに黒い稲妻をき放ったっ!?

ちょっと、ザカリィ!?


しまったお父さまが!そう思ったのも束の間。


お父さまは一瞬にして吹き去ったスノーストームのごとく雪のように真っ白い髪を華麗になびかせながら、涼しい顔でザカリィを見降ろしている。


「ふんっ、その程度で威嚇のつもりか、笑わせる」

「ほぅ?いいだろう。少し本気でやるか、戦神っ!」

やばいやばいやばい。何かやばくなってきているんだけどっ!これ、止めた方がいいの?てか止まるの!?一応今から起きる以上、昨日の強制シャットダウン就寝と言う手は使えない。


「みなさん、今日は朝イチで執務室に来るように副団長から呼ばれているので仕度に移りますよ」

そこで冷静な声が響く。

ザカリィの侍従を務めるアレンであった。

その隣にはアリシアもいる。


「ほら、ふたりとも!早く朝の準備をしないとっ!」

アレンとアリシアを困らせるわけにはいかないし!それに副団長さんだって困るから!


「俺は既に終えている」

確かにお父さまは着替えてますね。


「う~ん、あと5分、リューリを堪能してから。あと5分だけ。むにゃぁ~」

そう言って私をぎゅむ~っと抱きしめるザカリィ。お父さまの視線が恐い。それに何だか二度寝の常套句みたいになってない!?


―――5分後。


ザカリィをベッドから連行し、アレンに引き渡せば早速アレンがザカリィの朝の準備を始めてくれる。

私はアリシアと一緒に隣の部屋で着替えだ。


「今日は髪を軽く結ってみる?」

「うん、そうする」

アリシアは髪を結ぶのもうまくて、本日は編み込みハーフアップにしてもらった。アリシアってなんでもできてすごいなぁ。私にはもったいないくらいで、派遣してくださった神官長さまに申し訳ないような。


因みに今日は白いブラウスに胸元には赤いリボン。明るい朱色のスカートを穿いている。何だか今日もザカリィの色である。これって事前に準備をしていたんだろうか。でもサイズは私にぴったりだし。う~ん、謎だ。


しかしながらかわいらしい服を着せてもらえるのはなんだかんだで嬉しいかも。


「さぁ、行こうか」

「うん、アリシア」

アリシアの手を取って朝食用のダイニングに移動すれば、既にザカリィも準備を終えていた。


「今日は騎士服なんだ」


「あぁ。仕事に行かねばならない」

しゅーんと悲しそうな顔をするザカリィ。


「お仕事、がんばってね」

「うん」


「けど、今日は団長だけではなくリューリさまも呼ばれているので、行きはご一緒ですよ」

と、アレン。


「そうなの?」


「えぇ。なんでも少し打ち合わせをしたいとかで副団長が」


「リューリと一緒。うん、いいかも」

ザカリィがコクリと頷くが。


「調子にのるなよ?」

相変わらずお父さまとにらみ合っているし。


朝食は私とザカリィが並んで座り、正面にお父さまが座っている。


「何故戦神まで一緒なんだ」


「俺は貴様の監視だからな」

確かにお父さまはザカリィの監視も含めてこちらにいらしたのだけど。


「俺とリューリのふたりの時間をっ!」

「貴様のようなガキにはまだまだリューリは任せられんっ!!」

「うぐぐっ」

結婚はしたものの、お父さまって過保護なのかもしれない。

いや、慣れてくると単にザカリィとじゃれ合っているようにも見えるけども。

しかしまぁ、せっかくの朝食が冷めてはもったいないのでふたりは悪態をつきながらも渋々食べていた。何だろう。やっぱりケンカするほど仲がいい部類に入るのかな?





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