楽しい楽しい晩餐会
―――さて、王室一家との晩餐会。私の席は、まさかの王妃さまの前である。
私の左側がザカリィで、右側がお父さま。ザカリィの正面が神官長であるルークさま、そしてお父さまの正面が国王陛下である。国王陛下の逆隣にはシャルル殿下、キララ姫殿下が座っていらっしゃる。
シャルル殿下の正面(※お父さまの逆隣)がヴィーダーシュプルフ公爵の副団長さんである。
「まずは結婚おめでとう、ザック」
国王陛下がザカリィにそう告げる。
「あぁ、兄上」
ザカリィはそう答えて私の腰に手を回す。
「・・・っ!」
昨日の今日でずっとこんな調子なのだが、やはり国王陛下の前と言うか王妃さまの前では緊張する~~~っ!!!
にこにこにこ。
王妃さまは相変わらずにこやかにこちらに微笑んでいてくださるんだけども。先ほどの話を聞いた限りではやはりビビる。
そしてやはり反対側を・・・
がしっ
お、お父さままでやめて、その何だかわからない不毛な争いっ!!
「あらあら、モテモテね」
と、王妃さま。
「お、おかげさまで」
「私のこともどうぞ“お姉さま”って呼んでね。ザックちゃんのお嫁さんなんだから」
「はっ、はいぃぃっ!まおっ、お姉さまっ!!」
あ、危なあぁぁ~~~。これ、セーフ!?セーフだよねセーフって誰か言ってえぇぇ~~~っ!!!
「あらあら。リューリちゃんって本当にかわいいのね」
「当たり前だ、俺のリューリなのだから」
本当にザカリィは空気を読まないというか、どちらかと言うと論点がずれている気がする。
「そうね。昔からぞっこんだったものね。でも・・・」
―――ビクッ
でも、何だろう?
や、やっぱり怒られる!?しょっぱなから王妃さまから嫌われるとかないよね!?
「リューリちゃんに余計なことを吹き込んだのは誰かしら?ねぇ、戦神さま?」
にっこぉっ
ひいいぃぃっ!?
お、お父さまっ!?慌ててお父さまを見やれば。
―――優雅にワインを飲んでるし。
「俺は娘に包み隠さず話しただけだが?何か問題あるか?」
さすがは戦神、軍神、そして魔神の異名まで持っているらしいお父さまはケロッとしていた。やはり魔王よりも魔神の方が強いんだ。そうなんだ。
「ううん、後で3人でお話しましょ?ね、ラーシュ」
「あ、あぁ、そうだな?」
国王陛下も王妃さまと笑顔で会話しているけれど、何だか笑みがひくついているのは気のせいだろうか。
「お話って何ですか?父上」
シャルル殿下の無邪気な笑顔に救われつつも、そこはツッコんではいけない気がするー。
「あぁ、大人の話だよ。お前にはまだ早いから」
「え~」
ぷく~っと頬を膨らませるシャルル殿下はめっちゃかわいいんだけど。
陛下、逃げたっ!!
「リューリ」
「ザカリィ?」
ふとザカリィに呼ばれて振り向けば。
「シャルルの方ばかり見るな」
こちらはこちらでむっとしておる。
「いや、微笑まし~く眺めていただけなのだけど」
「リューリが見つめるのは、俺だけでいいと思う」
え。え~と。
腰に回した腕とは反対の手で華麗なる顎くいを決めてイケメン顔を近づけてくるザカリィ。
「ねぇねぇ、見て。いい感じじゃない?」
「さすがは新婚だよね~、義姉上~!」
ちゃかさんといて~、そこのおふたりっ!!
「ほぅ?俺の前でいい度胸だクソガキ。今夜は夜通しで叩きのめしてやろうかぁ?」
お父さままでやめて―――っ!!!
「ねぇねぇ、こうしゃくー」
「はい、姫さま」
「リューリさまはモテモテだねー」
「はい、微笑ましいですよね、姫さま」
あぁ、あっちのヴィーダーシュプルフ公爵こと副団長さんとキララ姫殿下の会話の方に混ざりたい。ふと、そう思った私である。
「ふふ、でも安心したわ。ザックちゃんにもリューリちゃんのようなステキなお嫁さんができたんだもの」
「は、はい。王妃さま。いえ、お義姉さま」
「そんなに緊張しないで。私もかわいい義妹ができてとても嬉しいの」
「は、はい。私は一人っ子だったので、私も嬉しいです!」
「今度女同士でお茶会でもどうかしら?」
「え、えっと。私がお義姉さまと、いいのですか!?」
相手は王妃さま。何故か初代魔王とか呼ばれる偉大な魔法使い。私のようなぺーぺーな魔法使いが共にお茶をしてもいいのだろうか。
「だってこれから義理の姉妹になるんですもの。当然よ。リューリちゃんは魔法のお勉強もしているんでしょう?魔法のお話もできるから楽しみだわ」
「わ、私の方こそ光栄です!」
偉大な魔法使いである王妃さま、いやお義姉さまと魔法の話ができるなんて。他の高名な魔法使いの方々に何だか悪い気もするのだけど。
「リューリが行くなら俺も」
と、ザカリィが負けじとお義姉さまに告げる。ざ、ザカリィ!!それはいくら何でも無謀ではっ!?
「ザックちゃんは、事後処理があるでしょう?さっさと終わらせてらっしゃい」
「うぐっ」
ザカリィが悔し気に表情を歪ませる。やっぱり最恐なのは王妃さまなんだろうか。私、王妃さまとのお茶会が不安でならないのだけど。
「助かります。王妃殿下」
「あら、いいのよ。ヴィーダーシュプルフ公。ザックちゃんのことで困ったことがあったら、またいつでも仰ってね」
「えぇ、王妃殿下のありがたい心遣いに大変感謝いたします」
いや、違う!そうした状況を見事に利用して団長のザカリィを華麗に働かせる副団長さんが一番の策士なのでは!?
何にも関係ないようにキララ姫殿下と和やかに会話していた副団長さんが最後に勝利を手にした瞬間であった。いや、何の戦いだよこれ。
「やはりシュリュッセルは食文化が豊かでうまいな」
なお、お父さまはお父さまで悠々と食事に舌鼓を打っていた。さすがは戦神。どんなときにも揺るがない。
~補足~
因みにリューリはまお・・・王妃さまの計らいで胃に優しい料理を出してもらっています。胃もたれ注意ですからね(〃´∪`〃)ゞ
王妃「今なんか言いかけなかった?」|д゜)チラッ
びっくぅ―――(;''∀'')




