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【完結】最強王弟殿下の花嫁  作者: 瓊紗(旧:夕凪.com)


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王室一家との晩餐会


無事にザカリィが叙任式を終えて、私たちは国王陛下一家と共に晩餐を囲むことになった。とはいえ内輪の集まりなのでドレスコードは気にしなくていいとの国王陛下からのお達し。

しかし、そんなこと言われても相手は国王陛下一家なのである!!


「大丈夫だ、リューリ。兄上もそんなに着飾っては来ない」

と、最初に現われた時のような黒ずくめ簡略版でやってきたザカリィ。マジで簡略版である。黒い長そでのタートルネックに黒いズボンに黒い靴。そして私の瞳を思わせるローズレッドの宝石が付いたペンダント。

ラフすぎる。宝石以外。

本当にこれでいいのだろうか。


そして私は胸元に白いレースの襟とかわいらしいリボンのついた黒いワンピース。スカートの下からもレースのひらひらが見えていてかわいい。相変わらずのザカリィカラーで、リボンを止めるブローチはローズレッドよりも明るいザカリィの瞳の色である朱に近い色の宝石だ。


晩餐の間傍に控えてくれるアリシアとアレンは騎士団の服装。そしてお父さまは。


おぅ、何故かザカリィと同じような趣味なんだけども。黒いタートルネックにズボン。一応黒い背広は着ているものの、ラフに近いっ!!


「戦場での服よりはキレイにしている」

「あぁ、そうだな」

と、納得し合う戦神とラスボス。

いや、本当にいいのかこれで。


「ほら、行くぞ。国王陛下夫妻がお待ちだ」

そして、今回はヴィーダーシュプルフ公爵として同席してくださる副団長さんは普通の礼服だ。あの、いくらラフと言ってもこれくらいはした方がいいのでは?と思いつつびくびくしながら晩餐会の会場に向かえば。


お城の中とはいえ何だかアットホーム感を漂わせる空間。私たちが同席しても余裕はあるのだがそれでいて、アリシアやアレン、王室の側付きの方々が控えていても窮屈ではないほどの広すぎない部屋だった。


「あぁ、来たか。早速座れ」

そう、告げたのは国王陛下だ。

国王陛下は昼間のマントなどを身に着けた正装とはかけ離れた黒のタートルネックに白いズボンと言うラフな・・・。ザカリィの趣味はこの方の遺伝!?そうなのか!?じゃぁお父さまはどう言うこと!?


そしてその隣の王妃さまも上品なワンピースを着ていらして、それほど豪華なドレスと言うほどではない。陛下に合わせていらっしゃるのかな。王妃さまを挟んで逆隣の神官長さまは相変わらず神官服だったけど。そしてその場には、前世の日本で言う小学生くらいの子どもたちも同席していた。


「オーヴェ殿とリューリ嬢は初めてだったな。長男のシャルルと長女のキララだ」

おぉっ!この子たちが王子さまと王女さまか。


因みに“シャルル”と言う名の王子さまは原作の小説にも出てくるのだが、その年齢や見た目は本当に違う。ただ偶然名前が同じと言うだけで。更に原作には王女さまは出てこないのだ。原作のシャルル王子はあくまでも原作の国王陛下の一人っ子と言う設定だった。


いや、一人っ子だったら後継者なのによくヒロインの討伐に同行させたなぁと言いたいが。でも国王陛下である英雄王陛下も有事の際は陣頭に立って自ら出陣していたし原作の国王陛下にも何か考えがあったのかもしれない。まぁ、原作の国王陛下はお若かった気がするし、他に兄弟がいたという記述はなかったから、もし何かあっても後継者問題に困らない何かがあったのだと思う。


まぁ、現実としては後継者のシャルル殿下がいらっしゃる以上は後継者問題は解決するし、むしろザカリィとお父さまが最前線で戦っている以上、国内の他の場所で英雄王陛下が自ら出陣しなければ魔物被害が抑えきれないような状況になって英雄王陛下が出陣しなければそもそも国の存続が危ぶまれる危険性がある。そうなれば滅亡の危機にもなりかねない。後継のシャルル殿下がいらっしゃったとしても、国が存続しなければ何の意味もないのだ。


そんな状況で英雄王陛下が出陣されたことは、国民感情としては複雑なのだ。英雄王陛下が出陣されればとても頼もしくある。


20年前のいくさで国を守ってくださった英雄陛下が自ら貴族、平民に関わらず命を守ってくれることは、民にとっては心強いことだし、陛下が来てくださらなければ最悪魔物に敗北してしまうような状況。


けれど陛下自身の御身に何かあってはその後に国を守るいしずえを失うし、後に残されたまだ幼いシャルル殿下にとっても酷だ。


まぁ、王妃さまが初代魔王と聞いた以上、王妃さまがいれば何とかなりそうではあるが。英雄王陛下がいらっしゃらなくなればおのずと王妃さまが再び戦場に立つことになるのだろうか。

それはそれで、シャルル殿下を近くで守る存在がいなくなってしまう。


ヴィーダーシュプルフ公爵はザカリィの副官として同行しているから側にいるのは難しい。宰相閣下は優秀な方だと聞くし神官長さまもいる。けれど英雄王陛下と呼ばれる陛下がいなくなる穴は大きい。まだ子どものシャルル殿下の身には重いはずだ。


だからこそこの大規模ないくさが終息したことは国としても、帝国としても、世界としても喜ばしいことなのだろう。これからも小規模な魔物討伐は必要になるだろうけどね。


まぁ前置きが長くはなったが、国王陛下に続いてシャルル殿下とキララ姫殿下がかわいらしく挨拶してくれた。


「第1王子のシャルル・シュリュッセルと申します」

シャルル殿下は国王陛下に似た銀色の髪に群青色の瞳を持っている。御年10歳でまだまだ子どもだからかかわいらしいお顔立ちがめっちゃキュート。

原作では金髪碧眼で17歳の美青年だったので名前しか一致していない。むしろ名前が一致したのは偶然だろう。そもそも両親が別人なのだから。

シャルル殿下はシャツとハーパンタイツ、そして胸元にリボンを結んだかわいらしいいでたちだ。


「第1王女のキララ・シュリュッセルと申します」

キララ姫殿下はまだ8歳だが、とてもしっかりした子のようだ。見た目は王妃さま似。ダークブラウンのロングヘアーにブラウンのまんまるい瞳がめちゃくちゃキュートである。本日は桃色にリボンやレースをあしらったかわいらしいワンピースを着ていらっしゃる。


わぁ、かわいいなぁ。将来はきっと王妃さま似の美人にな・・・なるよねっ!一瞬王妃さま=ある意味魔王が脳裏によぎったのは気のせいだ。だってこんなにかわいいんだもの。


そして、国王陛下が私とお父さまを紹介してくださった。シャルル殿下とキララ姫殿下はザカリィ相手に恐がったりはしていないようで“結婚できない男卒業できてよかったねー”“妄想じゃなかったんだー”と、子どもながらの素直な言葉をもらっていた。


「・・・ふんっ」

そんな言葉に顔を背けて何故か私を抱き寄せるザカリィ。ひょっとして、子どもの相手が苦手なんだろうかこのひと。むしろ人付き合いは大丈夫なんだろうか。

アレンはザカリィに忠誠を誓っているようだけど、唐突に不安になってきた。

何せ、アリシア曰はく“空気を読まない”いや、むしろぶち壊しそうな勢いだもの!


「ねぇ、戦神は母上よりも強いの?」

と、シャルル殿下がお父さまに問う。え?陛下おとうさんの方じゃなくて何故王妃さまの方?


「あぁ、もちろんだ」

と、何の躊躇いもなく答えるお父さま。


「あらあら、頼もしいわねー、ラーシュ」

バシンと国王陛下の肩に手を乗せた王妃さま。その笑顔が何だか恐い。陛下の笑顔も引きつっているのは気のせいだろうか。


「あのねっ、私ねっ、将来はお母さまみたいなまおっ、ステキな魔法使いさまになるのーっ!」

いや、キララ姫殿下かわいい!超かわいいんだけど今王妃さまのことを“魔王”って言いかけなかった!?王女のキララ姫殿下まで王妃さまの異名を知っていると!?


「そうか、ステキな魔王3世になれるといいな」

お父さま―――っ!!?それ、禁句では!?それは禁句では!?王妃さまはっ!!

ハッとして王妃さまを見やれば。


「ふふふ、キララもステキな魔法使いになれるといいわね。あと戦神さま?後でウチの夫を交えてちょっとお話しません?私たち夫婦はザックちゃんの親代わりのようなものですもの。親同士、一度しっかり話をしませんこと?」

やばいやばいやばいっ!!王妃さまの笑顔がこえぇ~~~っ!!!


「みなさん、料理が冷めてしまいますよ?」

と、ここで神官長さまがひとこと。

この戦々恐々とした王妃さまとお父さまの会話を断ち斬るその勇気はすごいけれど、でも一番空気読んでないのは多分、神官長さまだ。


―――そう言えば神官長さまも王妃さまと国王陛下と同じくザカリィの親代わりだったなぁと思い出す。



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