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〜顔面国宝の引きこもりとナンバーワンホストと女子高生が悪のホワイト企業と戦うそうです〜  作者: 虹の箸


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我、堂々と退職す

「私、怪人やめさせてもらいます」

悪の組織『株式会社ミアズマ』の薄暗い地下アジト。

かつて天才柔道少女と呼ばれた黒いセーラー服の少女は、幹部たちの前で堂々と退職願を叩きつけた。

アジト内は騒然となった。無理もない。

つい先ほどまで彼女が纏っていたはずのドス黒い『悪のプラーナ』が、綺麗さっぱり消え失せていたからだ。

代わりに彼女の全身から立ち上っているのは……善? 悪? いや、なんだか桃色で、異様にネットリとした、湿度100%の謎のプラーナだった。

任務に向かったわずかな時間で、彼女の身に『何か』があったのは誰の目にも明白だった。

「ふざけるな。ミアズマは終身雇用だ。裏切り者には死を!」

幹部の非情な号令とともに、周囲を取り囲んでいた戦闘員や怪人たちが一斉に少女へと襲いかかる。

「ふんっ、上等よ!」

少女は身構え、襲い来る戦闘員の腕を掴むと、鮮やかな一本背負いで次々と床に叩きつけていく。

元・日本女子柔道界のホープ。その体術は健在だったが、悪のプラーナを失い怪人に変身できなくなった今の彼女は、ただの(ちょっと強い)女子高生に過ぎない。

「くっ……!」

多勢に無勢。次第に息が上がり、巨漢の怪人の凶悪な拳が彼女をすり潰そうと迫った、その時。

『キャハハハハ! この子、アタイにピッタリやな!』

突如、アジトの天井をすり抜けて、眩い『ピンク色』の光の球体が乱入してきた。

第3の精霊だ。

『なんやこのプラーナ! めっさ湿ってて、あっつくて最高やんな! このネットリした感じ……たまらんわぁ!』

ピンクの精霊は、怪人の拳を光のバリアで弾き返すと、少女の周りを嬉しそうに飛び回った。

『なあなあ、アンタ! 一目惚れした好きな奴がおるんやろ? アタイがその男探すの手伝ったるから、代わり「ハイ」に精霊戦士の『ピンク』になってや!』

少女は、すっごい食い気味に返事した。

『えっ、決断早ッ!?』

『ウソやろ!? もうちょい「私の運命って……」とか「今までの私って……」とか悩むとかないん!?』

「彼を探すのに便利な力なんでしょ? なら迷う理由なんてないわ!」

少女はピンクの精霊を両手でガシッと掴み取った。

「さあ、さっさとここを抜け出すわよ! レッド……が待ってるんだから!」

少女から溢れ出す、ネットリとした情念のプラーナがピンクの精霊の光と見事に共鳴し、凄まじいエネルギーの奔流となってアジトの天井を吹き飛ばした。

「きゃはははは! おもろい娘や! 行くでぇっ!」

唖然として崩れ落ちる怪人たちを置き去りにし、少女とピンクの精霊は夜の街へと飛び出した。

「待っててね、湊……。絶対に、絶対に見つけ出して……デート…とか、キャッ!」

こうして、正義や世界平和など知ったことではない、愛に生きる最強ヒロイン『ピンク』が誕生した。

彼女は愛しのレッドを探すべく、夜の街を彷徨い始めるのだった。


お読みいただきありがとうございました。

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