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オンラインゲームで知り合った友達が同じ高校のTOP4美少女達だったけど、僕は本当に友達のままでいていいの?  作者: しょぼん(´・ω・`)
第五章:変わり始めた学校生活

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第3話:宣戦布告

 廊下から食事スペースに入ってきたTOP4のみんな。

 周囲の生徒達の視線を集める中、沙和さんがきょろきょろと辺りを見回す。


 なるべく自然に。自然に……。

 いざとなるとやっぱり緊張するけれど、それでも気後れまではしてないし、大丈夫だと思う。

 僕は座っていた場所から、食事スペースのテーブルの間にある広い通路部分に歩み出た。


「あっ! みーっけっ!」


 その瞬間、沙和さんが彼女らしい快活な声と笑顔を向けてくると、金髪のポニーテールを揺らしながら走ってきた。

 周囲の視線がこっちに集まったような気がするけど、僕は敢えてそれらを無視し、その場で歩みを止める。


「やっほー!」

「あ、その。こんにちは」


 思わずおずおずとしちゃったのは、もう癖だと思う。

 だけど、急に堂々とするよりは自然だよね?

 とにかく、ここからはどれだけうまく演技できるかにかかってる。頑張れ、俺!


「みんなー! こっちこっちー!」


 心の中で自分を鼓舞していると、後ろを振り返った沙和さんが、立ち止まっていたを呼び寄せる。

 その呼びかけに応え、瑠音(ると)さんは澄まし顔で。千麻(ちあさ)さんは落ち着いた表情で。喜世(きよ)さんはそっけない感じを見せながら、それぞれゆっくりと歩み寄ってきた。


 みんなが横に並ぶのと同時に、また沙和さんがくるりとこっちに向き直る。


「ほらー。この子が昨日話してた、弁当カメラマンだよ!」


 べ、弁当カメラマン?

 あまりに予想外過ぎる切り出され方に、僕が本気で唖然とすると、それを見た喜世(きよ)さんが呆れ顔をする。


「おい、沙和。そんな戦場カメラマンみたいな呼び方は酷いだろ。こいつもびっくりしてるじゃねえか」

「本当ですわ。私達(わたくしたち)の時間を奪ってまで会わせるなら、ちゃんと紹介なさい」

「えへへっ。ごめんごめーん」


 喜世(きよ)さんと瑠音るとさんが苦言を呈すると、てへっと舌を出し愛想笑いを見せた。


「うっわーっ! 武氏(たけうし)さん可愛すぎんだろ!」

「今ので心臓打ち抜かれたわ。俺、駄目かも……」


 直後。男子生徒が一気に盛り上がり一気に騒がしくなったけど、目の前の四人が動じてないのは、やっぱり慣れっこなんだと思う。


「でもさー、今日の包み、なーんか子供っぽくなーい?」


 と。再びこっちを見た沙和さんが僕に近づくと、前屈みになって手に持ったお弁当箱の包みを覗き込んでくる。

 それを見て、ギクリとした喜世(きよ)さん。

 勿論、僕もそうだ。

 さ、流石にそのまま真実を伝えるわけにいかない。と、とりあえず……。


「じ、実は、いつもよくしてくれている近所のおばあちゃんが、孫にお弁当を持たせるの忘れちゃったらしくって。それで、代わりに食べないかって言ってくれたから、お言葉に甘えたんだ」

「へー。いいおばあちゃんっているもんだねー」


 僕の咄嗟の嘘に、沙和さんはにこにこでそう返してくれる。

 でも、あんな嘘の()き方でごまかせてるかな?

 ちょっと不安になっていると。


「だけどよ。子供向けの味付けとか、合わなかったんじゃねーか?」


 喜世(きよ)さん自ら、お弁当の味を確認してきた。

 周りの生徒が気づいているかわからないけど、片目を閉じこっちを見てる顔には、普段の彼女らしからぬ不安そうな顔が見え隠れしてる。

 でも、僕の感想は勿論こうだ。


「全然。懐かしさもあったけど、凄く美味しかったよ」

「ほ、本当か?」

「うん。特にそぼろとか特に丁寧に作られてて、ほんと凄くよかったし。また食べたいくらいだったよ」


 僕が誇張なしの褒め言葉を口にすると、喜世(きよ)さんの頬が緩みかける。

 あ。それは流石にバレちゃうんじゃ!?


「そうなのですか。有内(ありうち)君が唸るほどの味。どんなものか非常に興味がありますね」


 焦りが顔に出たのに気づいたのか。

 喜世(きよ)さんの前に出た千麻(ちあさ)さんが、僕に小さく微笑んできた。


「こんにちは」

「こ、こんにちは。長月さん」

「あっれー? 二人って知り合いー?」

「はい。去年からずっと同じクラスですから。ね? 有内(ありうち)君」

「う、うん」


 僕が沙和さんと千麻(ちあさ)さんに返事をすると。


「マジかよ!? あいつ、羨ましすぎだろ!」

「ほんとだぜ。俺なんてTOP4と同じクラスにすらなったことないってのに……」


 そんな男子の嫉妬にも似た声がする。

 まあ、きっと彼女達のファンであれば、クラスメイトになるのは念願みたいなものだし、そう思われるのも仕方ないのかな。

 あれ? そういえば、僕達の学校での接点を作ろうとしているのはいいんだけど。


「あ、あの、武氏(たけうし)さん」

「ん?なーに?」

「あ、あの。なんでTOP4のみんなを連れてきたの?」


 僕のそんな疑問を聞くと、沙和さんは相変わらず屈託のない笑顔で、びしっとこっちを指差した。


「もちっ! 宣戦布告でーっす!」

「……え?」


 宣戦布告?

 この言葉には、周囲の生徒も同じ気持ちになったのか。みんながほぼ同時に首を傾げた。

 でも、そんな空気なんて関係なしに、沙和さんは笑顔で話を続ける。


「ありうっち! 次の文化祭には、ぜーったいあーしに票入れてもらうかんね!」


 あー。あの話か。

 シャインズ・ゲートで互いに正体を知った時、こんな話になったっけ。


「あら。沙和。(わたくし)を差し置いて、そのような結果を得られるとでも?」


 沙和さんの宣言を聞いた瑠音(ると)さんは、ピンクの髪を払い自信ありげに腕を組む。


「おいおい、お前等。票を強制なんかする奴なんかがモテるわけねえだろ。な? 千麻(ちあさ)

「そうですね。もしかすると、今年も同じクラスになった縁で、私を選んでくれる可能性はあるかもしれませんが。それもまた有内(ありうち)君の気持ち次第。心を動かせるかは、これからのお話かと」


 喜世(きよ)さんの僕を庇うような言葉に、千麻(ちあさ)さんがまた眼鏡を直しそうフォローを──あれ? これからのお話?


「ちっちー。それってー、あーし達に勝てるよーって言ってる?」

「勝てるとは言っておりませんが、負けるとも言っておりません」


 沙和さんの問いかけに、千麻(ちあさ)さんが落ち着きを払いさらりとそう口にしたけど、なんかこういう反応ってちょっと珍しいよな……。

 ただ、あまりにはっきりとそう言い切ったせいで、喜世(きよ)さんが赤髪をガシガシと掻き呆れ顔をする。


千麻(ちあさ)。お前、それこそ宣戦布告じゃねえか」

「あら。貴女(あなた)も彼に気を遣う振りをして、票を稼ぐ気ではありませんこと?」

「そ、そんなことあるわけねえだろ! ったく……」


 なんかこのやり取り、演技にしても真剣さをひしひしと感じるのは気のせいかな。

 ただ、僕に絡むための理由付けとしては正当だし、周囲を信じ込ませるには十分かもしれないけど。


 とはいえ、TOP4の予想外のやり取りは、周囲をにわかに騒がしくしてる。

 流石にこのまま話を続けるのも……そうだ。


「あ、あの。僕、今日日直だから、そろそろ戻らないとなんで」


 僕はまるで他人の事のように、四人のやり取りそっちのけでそう口にすると、彼女達が思わずこっちを見た。


「マ!? タイミング悪くてごっめーん!」

「う、ううん。気にしないで。それじゃ、悪いけど先に──」

有内(ありうち)君。私は沙和にあなたを紹介したいと案内されただけですので、一緒に戻りましょう」

「え?」

「ま、俺も同じだ。どうせだし一緒に行こうぜ」


 ……あれ? ここは素直に解放してくれないの?

 もしかして、僕がTOP4の標的にされてるってより強調したいのかな?


「じゃーあーしももーどろっ! るとっちは?」

「愚問ね。教室までの間に、(わたくし)の魅力を存分にお話いたしますわ」


 なんか、瑠音(ると)さんなら実際にやりかねないかも。

 そんな事を思い自然と苦笑してしまう。


「えっと、じゃあ、行く?」

「おっけー!」

「よろしくてよ」

「ああ」

「では、参りましょう」


 僕が歩きだすと、その脇に四人が並び歩き出した。


 周囲の生徒達はあまりに予想外の展開に、声も出せず驚愕してる。

 この中で、貴堂君みたいな相手が出てきたりしないか。そんな不安に身を震わせそうになったけど、僕はそれを無理矢理気持ちで抑え込んだ。


 TOP4と友達でいるんだったら、この先きっとそういった覚悟もいる。

 勿論、周りからすれば、今の状況はTOP4の気まぐれに見えるはず。

 僕が周囲にTOP4の友達って認めてもらうには、まだまだ沢山ハードルがあるけれど、少しずつでもそれを超えていこう。


 僕は彼女達に囲まれ気まずそうな振りをしながら、一人そう決意を固めたんだ。

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