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オンラインゲームで知り合った友達が同じ高校のTOP4美少女達だったけど、僕は本当に友達のままでいていいの?  作者: しょぼん(´・ω・`)
第六章:注目の的

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第23話:自分語り

「ゆ、優汰(ゆうた)様!?」


 僕の言葉を聞き、瑠音(ると)さんがはっきりと戸惑いの声を上げる。

 だけど、僕は敢えてそっちに視線を向けることなく、彼女の前に左手だけを伸ばした。


 或人(あると)さんから笑顔が消え、瑠音(ると)さんに険しい顔を向ける。


『……どういうことだ?』

「そ、それは……」


 お父さんからの圧ある言葉に、瑠音(ると)さんがしどろもどろになり言葉を失う。

 なんとなく脇を見なくてもわかる。今の彼女はどうしていいのかわからなくなってるって。


 だけど、それでよかった。

 瑠音(ると)さんには悪いけれど、僕が信じる道をいくには、これしかなかったから。 


「僕が或人(あると)さんに会うため、彼女に嘘を()いてもらいました」

『ほう。何故そんなことをした?』


 ギロリとこちらを睨む或人(あると)さん。

 不満を隠そうともしない表情とともに、低く圧のある声が僕の心を押しつぶそうとしてきた。


 背筋が寒くなり、緊張が一気に押し寄せる。

 でも、言葉を失っちゃ駄目だ。僕にできることなんて、話すことだけなんだから。


 緊張感を唾とともにごくりと飲みこんだ僕は、できる限り平常心のまま、問いかけに答えた。


「あなたと話をしたかったからです」

『俺と?』

「はい」


 大画面で首を傾げた彼を見ながら、僕は右手を胸に当て一度だけ深呼吸を挟むと、目を逸らさず話を続ける。


「あの。瑠音(ると)さんから聞きました。或人(あると)さんが、彼女に縁談の話を持ちかけていていると」

『ああ。そうだが』

「でも、瑠音(ると)さんはそれが嫌だったそうです。政略も絡んだ家同士の思惑に巻き込まれ、好きでもない相手の婚約者となりいつか結婚する。そんな状況が」

『……それは本当か? 瑠音(ると)


 或人(あると)さんの視線が隣に移ると、


「……は、はい……」


 彼女は弱々しい返事をした。


『ふむ。お前から聞いたのは、付き合っている恋人がいるから縁談はしたくない。それだけだったと思うが……』

「は、はい……」


 瑠音(ると)さん、そこまで話さず咄嗟に嘘を()いたのか。

 でも、お父さんはこれだけの威圧感がある相手だし、彼女だって麗杜(うららと)家を背負ってる自負はあった。

 そんな中で父親の意見を曲げるため何か言うのなんて、土台無理な話かもしれない。


 ただ、最初から瑠音(ると)さんの願いを一蹴されているわけじゃないなら、もしかしたら話し合いで何とかできる可能性もある。


或人(あると)さん。縁談って、誰のためにするんですか?」

『……決まっておろう。瑠音(ると)のため。しいては麗杜(うららと)家のためだ』

「そうですか。例えばなんですけど。縁談をせず瑠音(ると)さんが自由に恋愛をすることは、許されないですか?」

『そう考えているというのなら、瑠音(ると)の思いを無碍にするつもりはない』

「それじゃあ──」

『ただし』


 期待に表情を崩しかけた瞬間、まるでそれを戒めるかのように或人(あると)さんは真顔のまま僕の言葉を遮った。


『その先。結婚となれば話は別だ。瑠音(ると)麗杜(うららと)家の一人娘。次代の会長となる者。我が娘の隣に立つのに相応しい相手でなければならない。地位、身分、立ち振舞。それらを兼ね備えていない相手と婚約し、結婚するなど許されるはずもない』


 それまで普通にソファに座っていた或人(あると)さんが、背もたれに深くもたれると肘掛けを使い頬杖を突く。


瑠音(ると)の普段の生活の中で、そこまでの素養を持つものがどこまでいる? まずいないだろう。であれば、私が知る家の者の御曹司と縁談したほうが余程ましではないか?』


 ……駄目だ。

 この人はやっぱり、瑠音(ると)さんのことなんて考えてない。

 なんとなく、希望が絶望に裏返った気がした。

 だけど、ここで折れたら何も変わらない。


 僕は奥歯をぎゅっと噛んだ後、胸に当てていた手を強く握る。

 或人(あると)さんに負けないために。


「本当に、そうでしょうか?」

『ああ。少なくとも我が家は安泰だ』

「……僕は、そう思いません」

『……ほう』


 冷たい目を向けていた或人(あると)さんが、口答えをした僕に眉を動かす。


『何故そう思う?』

「……それじゃ、瑠音(ると)さんが辛いから」

『辛い?』

「はい」


 嘲笑われようと、けなされようと。

 絶対に目を逸らすな。絶対に曲げるな。絶対に負けるな。


 僕にとって特別で、大切な友達のために。

 瑠音(ると)さんの……ううん。TOP4の未来のために。

 ちゃんと伝えるんだ。そこにある絶望を。


「僕は、中学校の時にいじめられてました」

『ふん。なにかと思えば。何故君の身の上話に付き合わねば──』

「僕は、瑠音(ると)さんを思って話すんです。あなたが財閥の会長に相応しい人間だというのなら。娘が本当に大事だと言うのなら。くだらなかろうと聞いてください。それすらできないというのなら、あなたは財閥の会長としても、親としてもただの薄っぺらい人間です」


 高校生にこんな事を言われるなんて思っていなかったんだろう。

 或人(あると)さんは少しだけ目を瞠ると、より深くソファにもたれた。


『生意気な。だが、いいだろう。君の言葉も一理ある』


 一度大きく息を吸い、息を吐く。

 ……いくぞ。


「中学二年の時から、学校の生徒みんなから無視された二年間の中で、僕は感じました。誰かに無視されることの辛さを。そして、そんな相手と一緒にいなきゃいけなくなった時の気まずさを」

『……それで?』

「きっと、瑠音(ると)さんにとっての縁談も、そういう部分があると思うんです。親の言葉に従って始まった婚約関係は、確かに良家同士としての繋がりであったり、地位や名誉であったりといった面ではいいかもしれない。でも、互いに恋をし、相手を理解して付き合い出す恋愛とは違います。どこかで気まずい関係になったり、それこそ上辺(うわべ)だけの付き合いをされ冷たくされたら、きっと瑠音(ると)さんは悲しみます。だけど、お父さんのまとめた縁談。それを反故にすれば麗杜(うららと)家にも、或人(あると)さんにも傷をつける。そのせいで、ただ耐えるしかないってことも起こってしまうと思うんです」

『そうかもしれん。が、それもあくまで可能性。そうならないこともあろう?』

「はい。ですが、自ら恋をし付き合うほうが、きっと納得感はあります」


 過去の思い出と緊張で、ちょっと気分が悪くなってきている。

 だけど、それでも僕は言葉を止めなかった。


「自分が認め、好きになったからこそ、何かあっても自分のせいだって納得できます。だけど、縁談からさっき話したような関係になったら、きっと瑠音(ると)さんはお父さんを恨むはずです」

『私を恨む……』

「はい。同じ後悔をするにしても、瑠音(ると)さんが自分で選んだほうが納得できるし、きっと自由にさせてくれた或人(あると)さんに感謝してくれる。きっとそう思うんです。中学時代、無視されてでも学校に通うと決めた僕の意見を、両親は尊重し見守ってくれました。僕は今でもその時の事を感謝してます。お母さんはよく『辛いなら無理しなくていいんだよ。転校したっていいんだよ』とい言ってくれたけど。それでも、僕にが選んだ道を受け入れてくれて、一緒に寄り添って暮らしてくれた。だから僕は救われたし、両親の子で良かったと思えましたから」


 こんな話、本当に通じるんだろうか?

 変な話をしているただの若造。そう思われないだろうか?

 正直、頭がふわふわして上手く話せてる気がまったくしない。

 だけど、伝えたい気持ちだけは忘れちゃ駄目だ。


「僕は瑠音(ると)さんがお父さんのことをそう思ってほしいし、或人(あると)さんが本当に彼女を大事だと思ってるなら、そういう気持ちで接してほしいって思ってます。間違いなく或人(あると)さんは色々経験してるし、僕のしている話が夢物語だとわかってるかもしれないけど。……それでも、そう思ってあげてほしいんです」


 一度言葉を切り、僕は改めて深呼吸すると或人(あると)さんにこう願いでた。


「きっと、瑠音(ると)さんが納得した相手と結婚した方が、未来の会長の為にもなる。だから、瑠音(ると)さんに、自由に恋をさせてあげてくれませんか? 彼女の友達も、そう思ってますし」

瑠音(ると)の友達……荒井家、武氏(たけうし)家、長月家の令嬢達か?』

「はい。みんなも今回の件は同情してましたし、不安にもなってました。急に婚約者(フィアンセ)ができたりしたら、友達関係も変わってしまうんじゃって」

『ふむ……』


 僕の言葉に対し、じっとこっちを見つめる或人(あると)さん。

 ただ、僕の願いを聞いても表情はあまり変わってないし、納得したような空気も感じない。

 ……やっぱり、僕みたいな部外者の言葉なんて伝わらないのかな。


「お父様。優汰(ゆうた)様の言葉は全て真実。ですから、どうか彼の言葉を信じてくださいまし!」


 僕の弱気に割り込むように、瑠音(ると)さんの悲痛な声がする。

 だけど。


瑠音(ると)。今は彼と俺との会話の最中。口を出すな』

「っ……」


 或人(あると)さんの冷たい言葉に、彼女はそれ以上何も言えなくなった。

 ちらりとだけ横を見ると、瑠音(ると)さんは歯痒さをはっきりと顔に出している。


優汰(ゆうた)と言ったな。君の熱意と気持ちは分からんでもない。だが、君本人のことは調べれば真偽などすぐわかるであろうが、瑠音(ると)の友達の話はどうだ? 娘を騙しここに来た君の言葉。それを信じるに値する何かはあるのかね?』


 ……あ。しまった……。

 或人(あると)さんの言葉を聞いた瞬間、僕は絶望した。

 そうだ。僕は自分を偽らずに行動した。だけど、その為に嘘を()いたじゃないか。

 それで僕の言葉を信じてもらおうなんて、流石に虫が良すぎる。


 あの人に信じてもらえる可能性を自ら潰しちゃったんだ。

 これじゃ、もう……。


 心の中で何かが崩れる音がして、思わず俯きかけた、その瞬間。


 バンッと勢いよく部屋のドアが開いた音と共に。


「頼もぉー!」


 聞き覚えのある声で、誰かがそう叫んだんだ。

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