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オンラインゲームで知り合った友達が同じ高校のTOP4美少女達だったけど、僕は本当に友達のままでいていいの?  作者: しょぼん(´・ω・`)
第六章:注目の的

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第22話:偽りの心

 これで三度目となる、瑠音(ると)さんの別宅への訪問。

 面条さんとマンションのエレベーターに乗り目的の階まで移動すると、彼の案内で部屋の中に入った。


「こんばんは」

「いらっしゃい」


 そこで待っていたのは、僕と同じ制服姿の瑠音(ると)さん。

 心なしか表情が固く見えるのは、多分気のせいじゃないと思う。


「ごめんなさいね。このような時間からで」

「大丈夫だよ。明日は休みだし」

「時間までもう少しあるわ。少しお茶でもしましょうか」

「うん。わかった」


 踵を返し歩き出す彼女に続き、僕もマンションの奥に歩いていく。

 そして、最近座り慣れてきた窓際のソファに、向かい合って腰を下ろした。


「えっと、お父さんはここに来てるの?」

「いいえ。仕事で出張先からリモートで顔合わせになるわ」

「そうなんだ」

「失礼致します」


 座ってすぐに状況を確認していると、面条さんが側にやってきた。

 手慣れた動きで紅茶のセットを置き、僕と瑠音(ると)さんのティーカップに注いでいく。


「では、失礼致します」


 余計なことは何も言わず、普段通りに会釈をした彼が去っていくと、瑠音(ると)さんは一口紅茶に口をつけると、じっと僕の方を見た。


「……改めて言う事ではありませんけれど。優汰(ゆうた)様は今日、(わたくし)の恋人。よろしくて?」

「……うん」


 そう。僕は()()()()()()()()()

 短く返事をした後、僕も紅茶を口にすると、ほっと一息()く。


「別に緊張して構わないし、堂々とする必要もないわ。説明などは(わたくし)がするから、優汰(ゆうた)様は優汰(ゆうた)様らしく振る舞ってもらえば大丈夫よ」

「うん。わかったよ」


 しっかりと頷くと、瑠音(ると)さんが少しだけ不思議そうな表情をする。


「……優汰(ゆうた)様。随分落ち着いてますわね」

「そうかな? さっきから心臓がバクバク言ってるけど」

「あら。そのようには見えませんけれど」

「だとしたら、きっと瑠音(ると)さんのほうが緊張してるから、そう見えちゃうんじゃないかな」


 軽く微笑んであげると、彼女はちょっと驚いた後、ふっと微笑む。


「やはり優汰(ゆうた)様は頼もしいですわね」

「そうかな?」

「ええ。(わたくし)が見込んだ通り。婚約者(フィアンセ)役としても適任だわ」


 その表情に少しだけ普段通りの瑠音(ると)さんっぽさが見て取れる。

 僕は少しだけ安心すると、もう一口だけ紅茶を飲むとティーカップを皿の上に戻す。


 紅茶に映る自分の顔は、確かに思ったより落ち着いて見える。

 うん。これならきっと大丈夫。きっと。


「お嬢様。或人(あると)様の準備が整いました」


 ふぅっと大きく息を吐いた直後。面条さんが瑠音(ると)さんにそう声を掛けてくる。

 多分、或人(あると)っていうのがお父さんの名前かな?


「では、優汰(ゆうた)様。参りますわよ」

「うん」


 僕は彼女と共にゆっくりと立ち上がると、面条さんに続き歩き出した。


      ◆   ◇   ◆


 僕達が案内されたのは、一度別宅の部屋を出て、廊下を渡って入った別の部屋だった。

 床は柔らかなグレーのカーペットのようなものが一面に敷き詰められ、白い壁には幾つかの絵画が飾られている。でも、それ以外にテーブルや椅子もないどこか殺風景な部屋。

 部屋の奥には大きなディスプレイと思わしき画面と、天井からぶらさげられた大きなスピーカーがある。


 扉の脇に逸れた面条さんをそのままに、瑠音(ると)さんは部屋の中に入っていく。

 それに続くと、彼女は部屋の中央付近で歩みを止めた。

 並んで足を止めた僕は、ごくりと唾を飲み込む。

 さっきまで落ち着いていたつもりだったけど、いざ本番となると一気に緊張感が襲ってくる。


「では、失礼致します」


 面条さんが背後でそう挨拶すると、少しして扉が閉まる音がした。


 ……そろそろだよね。

 もう一度胸に手を当て、大きく深呼吸をする。


優汰(ゆうた)様。よろしいかしら」

「……うん」


 瑠音(ると)さんの確認に一泊おいて応えると、彼女も小さく頷く。

 と。それを合図にして、部屋の照明が落ち、変わりにディスプレイの電源が入った。


 画面に映ったのは、どこか瑠音(ると)さんに似たスーツ姿の金髪の中年男性。

 なんとなく見た目に結構若く見えるけど、僕はそんなことがどうでもよくなるくらいの緊張感に襲われた。


 壁一面のディスプレイの大きく映った瑠音(ると)さんのお父さんが、目を細め鋭い視線でこちらを見つめている。

 直接会っていたってきっと緊張したと思う。だけど、やっぱり大画面に映っているという圧はそれ以上。 

 瑠音(ると)さんに劣らない高貴さと威圧感に、僕は緊張で思わずもう一度唾を飲み込んだ。


「お父様。約束通り彼をお連れしましたわ」

『うむ』


 瑠音(ると)さんに頷いた画面先の彼の目が、ギロリとこっちに向けられる。


『このような形で顔合わせとなってしまい済まない。私は瑠音(ると)の父、麗杜(うららと)或人(あると)だ』

「え、えっと、有内(ありうち)優汰(ゆうた)です。よろしくお願いします」


 想像するより低く厚みのある声。

 或人(あると)さんの表情も相まって、軽く頭を下げた僕の背筋を一気に伸ばさせた。


 や、やっぱり財閥を束ねている人って、なんていうかオーラとかが全然違う。

 瑠音(ると)さんだってそういう一面はあったけど、その比じゃない。

 そんな現実が、改めて彼女が良家のお嬢様だって再認識させる。


 ……ふぅ……気負っちゃ駄目。目を逸らしたら駄目。

 僕は僕らしくいくんだ。だからこそ、今この現実を直視するんだ。


 緊張は拭えない。

 だけど、それでも僕はじっとディスプレイに映る或人(あると)さんを見つめていると、彼が「ほう」と感心したような声を出す。


『中々肝の座っている青年じゃないか』

(わたくし)が選んだ相手ですもの。麗杜(うららと)家にふさわしい胆力は持ち合わせておりますわ」


 瑠音(ると)さんが正対したままそう口にすると、或人(あると)さんは少しだけ笑みを浮かべる。


『そうか。お前も少しは男を見る目はある、と』

「あ、当たり前ですわ。馬鹿にしないでくださいまし」


 褒められたのが恥ずかしかったのか。それとも或人(あると)さんの顔を見て嘲笑と捉えたかはわからないけど、瑠音(ると)さんは両腕を組むと少しふてくされた顔をする。


 ……財閥の会長とその娘であっても、やっぱり家族は家族なのかな。

 さっきまでの雰囲気から少しだけ空気が変わったのを感じて、僕も肩に入っていた力が少しだけ抜ける。

 そんな中、或人(あると)さんは再び笑みをしまうと僕のことを見た。


『それで。娘から聞いているが、君が娘と付き合っているというのは本当かね?』


 ……きた。

 絶対聞かれるであろう質問。心構えをしていたからこそ、僕はそこでビクつくことはない。


 ……よし。ここからだ。

 ここからはもう、僕は僕を()()()()

 心に決めた思いを改めて確認した僕は、じっと或人(あると)さんを見つめたまま、しっかりとこう口にしたんだ。


「いいえ。違います」


 って。

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