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オンラインゲームで知り合った友達が同じ高校のTOP4美少女達だったけど、僕は本当に友達のままでいていいの?  作者: しょぼん(´・ω・`)
第六章:注目の的

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幕間:瑠音の悩み

 まったく。一体どこから漏れたのかしら。

 まさか面条が……いえ。彼は私の忠実なる執事。いくらお父様相手とはいえ、(わたくし)が話していないことを伝えるなどしないわね。


 夜。薄暗い部屋の中で、私はパジャマ姿のまま自分の部屋の窓際にある一人掛けソファに座ると、ため息を()き夜空を見上げたの。


 所々薄雲がかかる星空。

 折角の満月もその姿を半分隠されている。

 まるで(わたくし)の心の写し鏡のように。


 もう少しで、優汰(ゆうた)様からの電話が掛かってくる。

 どんな会話であれ、それは間違いなく(わたくし)を幸せな気持ちにしてくださるのは間違いない。だけれど、普段であればときめきと興奮の中電話を待つところだけれど、今の(わたくし)はそこまでの気持ちになれなかった。


 憂鬱な気分になっているのは、少し前のお父様との会話が原因。

 結局、遅かれ早かれの問題ではあったのだけれど。にしても、早過ぎですわ。

 何故この時期なのよ……。


 (わたくし)の悩みを遮るかのように、目の前のテーブルの上に置いていたスマホが震えだす。

 勿論そこに表示された相手の名は優汰(ゆうた)様。


 ……とりあえず、一旦この話は置いておきましょう。

 (わたくし)はすっとスマホを手に取ると、気持ちを切り替え掛かってきた電話に出た──はずでしたのに。


『もしもし』

『あ、えっと。有内(ありうち)ですけど。瑠音(ると)さん、かな?』


 まったく。何をやっているの、(わたくし)は。

 普段他の者に電話を掛けるような声で出れば、優汰(ゆうた)様だって戸惑うに決まっているじゃない。


「ええ。(わたくし)ですわ」

『そっか。良かった。間違って別の所に電話しちゃったかって焦っちゃった』


 電話越し。顔が見えないはずなのに、既に(わたくし)の脳内では苦笑する優汰(ゆうた)様のお姿が思い浮かぶ。

 ほんと。いつもならば、これだけで十分(わたくし)の胸は高鳴るというのに。もう。全てお父様のせいだわ。


「それで。(わたくし)に何をお話いただけるのかしら?」

『あ、うん。その、朝の全校集会の話なんだけど。……あの、全校集会で話題に上がったのストーカーの加害者って、やっぱり貴堂君のこと?』


 少し真面目な声色(こわいろ)になる優汰(ゆうた)様。

 流石に貴堂一吾の一件は、笑い話で片付けられないものね。


「ええ。そうね」

『そっか。わざわざ全校集会でその話をしたのは何で?』

(わたくし)としてはどちらかと言えば他の生徒への牽制のつもりだったのだけど。結果として貴堂一吾が被害者だと広まっているようね」

『やっぱりそうだったんだ。でも、既に家は引き払ってるっていうのは……』

「あれは麗杜(うららと)家の指示ね」

『え? 瑠音(ると)さんの家の?』


 少し驚いた声を出す優汰(ゆうた)様。

 ……こんな話をすれば、(わたくし)が嫌われるかしら。でも、真実は話しておくべきね。


「そう。実はあの男の父親は、麗杜(うららと)財閥傘下の会社の取締役の息子だったのよ」

『え? そんなお金持ちだったの?』

「ええ。で、貴堂家のご両親に、優汰(ゆうた)様や(わたくし)を狙った殺人未遂の罪を伝えた所、酷くショックを受けたみたいね。このまま家から離れて暮らさせるわけにはいかないと、早々に学校に退学手続きを出して、一人暮らしの家を引き払ったそうよ」

『そうだったんだ。ちなみに、貴堂君は……』

「今は留置所で勾留中よ。一度脱走を図ろうとしたみたいで、結構長くなるそうよ」

『そっか……』


 優汰(ゆうた)様のどこか気落ちした声は、きっと彼に温情を与えても良かったんじゃとでも思っているのでしょうね。


優汰(ゆうた)様。前にも言ったけれど──」

『あ、うん。大丈夫。割り切れてはいるから。ただ……』

「ただ?」

『その……瑠音(ると)さんは大丈夫?』

「え?」


 (わたくし)が大丈夫?


「どういうことですの?」

『あ、うん。その、普段より声が暗いから。実は瑠音(ると)さんのほうが貴堂君の事で心痛めたり、あの日のことを思い出して嫌な気持ちになってないかなって』


 ……まったく。

 (わたくし)は顔が見えないことをいい事に、その場で自然に微笑んでしまったわ。

 ちゃんと(わたくし)のことを考えてくれている。それをはっきりと感じたんだもの。


「大丈夫よ。こういう経験が全く無いわけではないし。あの日怖い思いをした気持ちも、既に優汰(ゆうた)様に癒してもらえてるわ。だから安心なさって」

『そっか。それならいいんだけど』

「それより、優汰(ゆうた)様こそショックはございませんの?」


 (わたくし)の心配の声を聞いた優汰(ゆうた)様は。


『うん。大丈夫だよ』


 そう気丈に仰ったわ。

 でも、強がっているだけということはないのかしら。


「本当ですの?」


 思わず念押しする(わたくし)に対し、あの方はこんな言葉を返してくださったの。


『本当に大丈夫だよ。()()()()()()()

「え? みんなとは……私達(わたくしたち)の事?」

『うん』


 優汰(ゆうた)様の声はどこか明るい。

 確かにそれだけを聞けば、問題はなさそうに感じるけれど、私達(わたくしたち)のお陰とは何かしら?


優汰(ゆうた)様。それはどういう意味ですの?」

『うん。事件以降もTOP4のみんなと色々経験したり、話をしたりしたでしょ。広い話かもしれないけど、実はそのお陰であの日の出来事をすっかり忘れてて。で、今日の一件で思い出しはしたんだけど、それでも落ち着いていられたのはきっと、僕の中ではたった数日なのに、既に過去にできてるからかなって思って。だから、みんなのお陰かなって』


 優汰(ゆうた)様が少し気恥ずかしそうな声で、ちゃんと思いを伝えてくれる。


『勿論、瑠音(ると)さんにも感謝してるよ。ありがとう』


 ……嗚呼、優汰(ゆうた)様……。

 春風のような優しい言葉が、(わたくし)の心を暖かくしてくれる。

 それはとても嬉しい気持ちと共に、とても()()()()()気持ちにもなる。



「いいのよ。(わたくし)が落ち着いた気持ちでいられるのも、優汰(ゆうた)様のお陰だもの。お互い様よ」

『そっか。役に立ててるなら良かった』


 優汰(ゆうた)様のほっとした声が、(わたくし)にも届く。

 それを聞き、(わたくし)は少し罪悪感を覚える。

 この先、彼に迷惑をかけてしまう日が来る。それを知ってしまったから。


『ごめんね。こんな話のために時間取らせちゃって』

「構わないわよ。私達(わたくしたち)は特別な友達だもの。気軽に頼りなさい」

『そうだね。もし瑠音(ると)さんも僕を頼りたくなったら言ってね。少しでも力になるから』


 ……本当にお優しいわ。

 もし優汰(ゆうた)様に話をし協力を求めたら、きっと(わたくし)のために体を張ってくださる。


「……優汰(ゆうた)様」


 思わず、彼の名前が(わたくし)の口から漏れる。


『どうしたの?』


 突然呼ばれて戸惑ったのか。疑問の声を返した優汰(ゆうた)様。

 今、ここで相談してしまうことも……いえ。やはり時期尚早ね。それは絶対に優汰(ゆうた)様の迷惑になってしまう。


「……いいえ。なんでもないわ。それじゃ、今日はここまでにしましょう」

『う、うん。わかった。それじゃ、お休みなさい』

「ええ。お休みなさい」


 互いに挨拶を交わすと、(わたくし)は自ら通話を切ると、立ち上がり窓から再び夜空を見た。

 薄い雲に完全に隠れてしまった満月は、雲の裏で淡い光だけを発している。

 考えれば考えるほど陰る気持ち。


 お父様は猶予をくれたわ。

 だからこそ急ぐ必要はないけれど……でも……。


 優汰(ゆうた)様と言葉を交わせた喜びも、不安に覆われ気持ちを高ぶらせることはない。

 ……とにかく。学校では普段通りでなくてはね。今のうちに色々考えておきましょう。この先どうすればいいのかを。


 未だ晴れない気持ちのまま、(わたくし)はテスト勉強をすることもなく、そのままベッドに横になると、しばらくこの先の事についてずっと悩んでいた。

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