敏麗とスカーレット
「敏麗さん、この女って。」
スカーレットが背中合わせになった敏麗に尋ねる。
「そうね、魔物だわ。あの呪い師が呼び出した。」
この屋敷に留まっていたのは成仏できない幽霊ではなく魔物であった。魔物は自分の棲み家に足を踏み入れられ怒っているのだ。
「やつらは仲間を引き寄せて力を吸収しているのだわ。」
「やられてしまうの?私達。」
スカーレットが敏麗に弱音を吐く。
「気をしっかり持ちなさい!!霊能者でしょ?!この勝負わたくし達に負けはありませんわ。」
敏麗は思い出した。プリティーズ淑女 go!!のクライマックスを。仲間が倒れヒロインのローズマリーが途中から仲間になったスカーレットと二人になってラスボスを倒すのだ。
「スカーレットさん、貴女ダンスはできて?」
「ええ、フラメンコなら。」
スカーレットは薔薇の香水をつけ赤いスカートを翻しながら徐霊するんだ。
「でしたらデュエットダンスはいかがかしら?」
敏麗は香水を付けるとスカーレットの手を握り腰に手を回す。肩手には徐霊で使う鈴を持っている。
「ちょっとこんな時にダンスなんて。」
「こんな時だからですわ。魔物達を見て。」
敏麗とスカーレットがターンしたりポーズを決めたりする度鈴がシャンシャンと音を立てる。その度魔物の姿が1人、また1人と消えていく。
「敏麗さんの鈴の力で魔物達が浄化されているのですね。」
「スカーレットさん、それは違うわ。勿論わたくしの鈴でもある。だけど貴女の霊力がなければ鈴もここまでの力発揮できませんわ。」
スカーレットは敏麗の言葉を聞き頷く。
「一気に決めましょう。」
敏麗とスカーレットは一緒に鈴を手にし頭上に掲げる。
「咲き薫れ!!気高き花よ!!」
敏麗はプリティーズのヒロインローズマリーの台詞を叫ぶ。
「敏麗さん、それ何ですか?」
スカーレットが尋ねる。
「えっと、これは決め台詞ですわ。」
その時
「敏麗さん!!」
本棚が急に倒れてくる。二人は間一髪で避ける。少しでも遅れていたら確実に本棚の引き出しになっていただろう。その姿を見て魔物はケタケタと笑っている。
「きゃあ!!」
今度は反対の本棚が倒れてくる。
「スカーレットさん!!」
敏麗は素早くスカーレットの手を引き机の上に登る。
「敏麗さん、ありがとう。」
「お気になさらないで。」
床には本棚が倒れ二人の道を塞いでいる。扉は開いているが魔物が扉の前に立ち塞がっている。
「いや!!」
スカーレットが敏麗に抱き付く。今度は本が飛んで来た。二人は身体を寄せ合いながら飛んでくる本を次々にかわす。
二人の顔面目掛けて図鑑が飛んで来た時敏麗は覚悟を決めて目を瞑る。
バーン!!
銃声がどこからか聞こえてきた。敏麗は恐る恐る目を開ける。そこには銃で撃ち抜かれた図鑑があった。
「敏麗ちゃん、お待たせ。」




