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JKなのに乙女ゲーの皇子様に転生しました  作者: 涼瑚
第一章、転生先の環境改善
16/20

16、ごみ回収車になった覚えは無いんだが

更新おそくなりがちですみません……。


ブックマーク&評価及び感想、ありがとうございます!

「殿下、今からでも引き返す事はできます。やはり身代わりを立てては……」

「却下します。ノブレス・オブリージュを旨とする王候貴族の長たる皇族(わたし)がそのような事をするわけにはいきません」


 騎士団の詰め所で馬車に乗り込み、護衛の二人と向かい合わせになる形で座る。

 一方はすっかり顔見知りになったハラルドで、もう片方は第一騎士団ーー近衛騎士団ーー長のアルフレート・フォン・ガーネット……ジュエリーラブの攻略対象の1人であるルーファスの兄だ。年齢は二十歳と、ルーファスとはかなり離れていながらも騎士団長というには若すぎる様な気がしなくもないが、バランスのとれた筋肉のつき方や隙の無い雰囲気が彼の実力を示している。

 因みに、冒頭の申し出はアルフレートのものである。

 うーん、私としても呼び出しなんかに応じたくないよ?でも、手紙に書いてあった魔術の保有者の件が本当だったらその身代わりが殺されて、屑親父(皇帝陛下)も殺される。

 そうなったら最悪内戦が勃発し、不特定多数の死者が出る。それだけは絶対に避けるべき。


「それに、私が赴(おもむ)けば陛下の命は助けられるようですし。仮に私に何かあったとして、まだアレクシスが居ます。さらに陛下さえ居れば新たに皇子を望む事も可能。替えが効くわけです」


 少し言い過ぎたような気がしなくもないが、まあ嘘は言っていない。そもそもまだ私が「クラウス」として生活を始めてから一年も経っていないわけだし、そこまで重大な心残りが有るわけでもないし。

 うーん、強いて言うならこの後の執務状況が心配かな? あと母上の治療が半端なんだよね。まあ最たる物は「ジュエリー帝国史」をまだ読破してないことなんだが。あ、改革も終わってなかったじゃん…………私、結構心残りあるわ。


 だが、まだ死ぬと決まった訳でもない。希望的観測も時には必要だろう。


 大丈夫。きっと、大丈夫。多分おそらく明日の朝にはまたジュリアに起こされて、お気に入りのミルクティを飲んでいるはず。今は、屑を連れ帰る事だけを考えるべき。


 そこまで考え、私はひとまず放っておくと止まらなくなりがちな思考を止めた。この後到着し、犯人と対峙すれば嫌でも対応策を捻り出さねばならないのだ。そのための思考力は少しでも残しておいた方がいい。


 そう思って目蓋を下ろし、強制的に睡眠状態に入った。



「殿下、着きました」


 革手袋をはめた(戦闘仕様の)ハラルドの手で揺り起こされ、そのまま抱き上げられる。どうやら道が悪く、私(二歳児)では歩行困難となっているらしい。

 馬車を出る直前にぱさりとポンチョ型の外套についたフードを下ろす。本当に向こう側に術者がいるのなら、顔を見せずとも私がその「血縁者」だと気付くはず。もしも術者の情報がでたらめだったとすれば、騎士の二人がそれ(血縁者)っぽく振る舞ってくれる事になっている。向こう側が要求している血縁者の人数が明記されていなかった以上、二人のうちどちらかが、もしくは両方と私が屑親父の血縁者だと言い張っても大丈夫なはず。


 あらかじめ住所の特定をしていた騎士の先導に従い、生ゴミなのか何なのか判別不能な悪臭が漂う、薄暗い路地を歩くこと数分。


「こちらでございます」

 到着したのは、今にも崩れそうな空き家。

 ……一体全体あいつ(屑親父)は何をやらかしたんだ?


「案内ありがとうございます。……それでは」


 にこ、と微笑み、ハラルドとアルフレートにのみ見えるよう、僅かにフードをまくる。


「屑(ごみ)回収と、洒落こみましょう」


 正念場は、ここからだ。

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