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第20話 事件は終息して

 事件からだいぶ日にちが経った。

 私たちは事件の後処理に追われていた。未遂とはいえ、他国の侯爵令嬢が逮捕され、殺されかけたのだ。重大な問題だ。

 フィラルド王国の跡目争いは、二カ国間の問題にまで発展した。


 フィラルド王国の跡目争いは、ルスフ王子が自ら王位継承権を放棄し、リューン王子が次期国王になる事で終息を迎えた。

 ルスフ王子は、バリャード侯爵の事を知った時に、放棄する事を考えていたそうだ。

 今後はリューン王子を支えていくそうだ。この二人ならこの国の未来も安泰ね。


 私の方は両親が、そんな危ない国から早く帰ってきなさいと言われている。

 一年後の事件を思ってこの国に逃げてきたが、式典後すぐに戻ることとなった。


 フィラルド国王からは、式典の前にどちらを選ぶかって話を以前されたが、この事件でその話も立ち消えた。

 私の婚約話は、白紙に戻ったのだった。

 メイルディーン王国に戻ったら、カイナス王子と婚約するのかしら?私はこれからどうなるのだろう。


「はあ……」


 私は溜息をついた。明日の式典が終われば帰国し、来月には当初予定されていた通り、学園に入学する。今度こそ無事に学園生活を送れるのだろうか。不安しかない。

 リューン王子は、王位を継承することが確定したから、学園に入学するのかも怪しいし。リューン王子がいなかったら、私……。


「アデルリア」


 振り向くと、そこにはリューン王子がいた。


「リューン王子……」


「なんだか、こうやって話すのも久しぶりだな」


「そうですね」


「スグルドは王位継承権剥奪され、国内の辺境の地に流刑となった。見張りがついて、その敷地内から出ることは一生叶わないだろう」


「そう、ですか……」


 まあ、事が事だけに当然の結果だろう。


「母上もな、一緒に行くそうだ」


「えっ⁈」


「次期国王の生母なのだから、国王としては城に残って欲しかったみたいだが、息子の罪を一緒に償いたいそうだ。昔から母上は、スグルドに弱いからな」


「寂しくなりますね」


「でも、一生会えないわけじゃないからね。でも国王の正妃が不在になるから、次期国王のオレに早く婚約者をと言う声が強くてね」


「えっ⁈」


 リューン王子が、誰かと結婚するって事⁈そんなの……


「いや……」


「えっ?」


「いやです、そんなの……」


 私は、ハッとした。なにを言っているの私。そんなこと言ったって、リューン王子を困らせるだけじゃない。


「今のは本当?」


 リューン王子は、私を後ろから抱きしめた。


「君もオレと同じ気持ちと思っても良いのかな?」


「ええと……その……」


「アデルリア」


 リューン王子は、私と向かい合って、私の目をじっと見た。

 そして跪いて私の手を取りキスをした。


「アデルリア=ウェルメール。君に結婚を申し込みたい。私の妻になってくれるだろうか?」


 私は嬉しくてボロボロと泣いた。


「はい」


 私は今度こそ、心の底から答えた。


 まだ、17歳の誕生日は来ていない。私が生き残れる保証もない。でも、今は……この幸せを噛み締めても良いだろうか。

 私は幸せになっても良いだろうか。


「ありがとう。君となら幸せになれるよ」


 私もそう思います。リューン王子となら、幸せな未来が描ける気がします。


 こうして、私は明日、リューン王子の婚約者となるのだった。



 これは私、ウェルメール侯爵家の令嬢、アルデリア=ウェルメールの新たな物語への第一歩。


 そして、闇に突き落とされる前の、束の間の幸せな時なのでした。

取り敢えず、この話で一区切りつきました。第2章更新は暫くお時間いただきます。


本日「悪役令嬢は婚約破棄を夢にみる」という話を新連載しました。こちらはラブコメですが、第2章開始までこちらを連載していく予定です。

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