第21話 婚約は保留になりました
華々しい式典。
国民の皆が祝福し、国中が幸せに包まれる。
リューン王子は皆の中心にいて、次期国王として祝福された。そして私はその傍でにこりと微笑んで……
……微笑んでいるものと勝手に思っていた。
そう、私は今日リューン王子の婚約者になると思っていた。
ああぁあああ、恥ずかしい。穴があったら入りたいくらいだ。
プロポーズされて舞い上がって、私が勝手に勘違いしてしまったのだ。
まだ、自国でのカイナス王子との問題も片付いていないので無理な話なのだ。
取り敢えず明日帰国するので、帰国したら話をしなくては。
リューン王子は次期国王になるので、国王様も婚約者はいた方がいいとお考えではあるようだ。
ただ、もうすぐ学園に留学するので卒業までに婚約者を決めるという方針に決定したと、先ほど伝えられた。
私が婚約者になれなくて、すぐに誰か別の人をとならなくて、私は心底ホッとしたのだった。
私はカイナス王子と共に来賓席にて、式典を見守っていた。
「はぁー。疲れた」
式典の後はパーティーがあり、色々な国の人と話したりして私は疲れ切っていた。リューン王子もカイナス王子も楽々こなしていて凄いわ。でも婚約者になったら、これからこういった機会は沢山あるのよね。
……頑張らないと。
私はバルコニーで夜風に当たり、暫く休憩していた。今夜は月が綺麗だ。
私はペンダントを手に取り眺めていた。
黒魔水晶のペンダント。昨日、リューン王子にいただいだものだ。
黒魔水晶は魔力を溜め込む性質を持つ水晶。昔から魔除けのお守りとして用いられてきた。
しかしこれはかなり純度が高く、大きい。かなり高価な品である。流石リューン王子。
黒魔水晶は月の力で、中に魔力を溜め込む。私はペンダントを月にかざした。
黒魔水晶がうっすら光る。
『…………。……は……だ』
「?」
何処からか声が聞こえたような気がした。
私は辺りを見渡した。するとそこにはカイナス王子がいた。
「カイナス王子」
「アデルリア……」
「今何か言いましたか?」
「?いや……今来たばかりだよ」
そう言い、カイナス王子は私の側へと来た。
「何をしているんだ?」
「少し人に酔ってしまいましたので、ここで涼んでいました」
「そうか。アデルリアは昔から苦手だったものな」
「はい。そうなんです」
「そのペンダントは?」
「こっ、これはその……」
言っても良いのだろうか?まだカイナス王子との婚約話は本国に帰らないとどうなるか分からない。
カイナス王子も白紙に戻すよう進言してくださると言っていたが、それを国が受け入れるかどうかはまた別の話だ。
しまった。つい浮かれて付けてしまったが、まだ付けるべきではなかったのかもしれない。軽率だった。
私が困っていると、カイナス王子はふっと笑った。
「リューン王子からだろう?確かに本国に戻る際は外した方が良いかもしれないが、俺の前では気にしなくて良い。……アデルリアの事はまだ好きだが、君が幸せになってくれる事が一番だから」
「カイナス王子……」
『見つけた。適合者……』
「「⁈」」
何処からともなく声が聞こえた。私たちは身構えた。しかし、何処にも姿が見えない。
するとペンダントが突然光り出した。
「きゃあっ……‼︎」
「アデルリア‼︎」
カイナス王子は私の方を振り向いた。その瞬間、光はカイナス王子に向かって発射された。
光は止んだ……。
「カイナス……王子?」
私は恐る恐る近く。カイナス王子は立ったまま、顔を片手で覆い俯いている。
あの光がカイナス王子に向かって入っていったけど、お体は大丈夫なのだろうか?
暫く経つとカイナス王子は私の方を向いた。
「カイナス王子?」
しかし、カイナス王子は動こうとしない。喋らない。一体どうしたのか?
「大丈夫ですか。カイナス王子?」
私はカイナス王子に一歩近づいた。するとカイナス王子は、私の背中に手を回し抱きしめた。
そして顎に手を添え私の口を口で塞ぐ。
きっ……キス⁈
私は両手でカイナス王子の体から離れようと押すが、ビクともしない。
強引な口づけは、次第にエスカレートしていき、舌を絡ませてきた。
だっ……誰か助けてっ‼︎
口を塞がれている私は、涙目になりながら心の中で目一杯叫んだ。
お待たせ致しました。連載を再開しました。
今回連載再開にあたって、アデルリアの前世の話を考えていたら、話が違う方向に向かい別の作品が出来ました(笑)
なので昨日から新連載を始めました。
「元聖女は普通に暮らしたい 〜今世は侯爵令嬢ですが、平穏な暮らしを得るために魔王を討伐致します〜」
https://ncode.syosetu.com/n9734fl/
なのでこれも前世聖女、今世悪役令嬢のお話です。




