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第11話 海の都エレメア

 デートから数日後、私たちはカイナス王子の各領土の訪問に同行していた。


 メイルディーン王国の外交官たちと共に周る仕事だったので私は本来なら留守番をする予定だった。

 しかしリューン王子の生母であられる、ユーナリア様の出身のエレメア領だけは、リューン王子も同行することになっており、その間二人が王宮に不在になる。

 それを二人が心配したので、私もエレメア領だけは同行することになったのだ。


 フィラルド王国、エレメア領。国の南側にあり、海に面した土地で暖かな気候。港では各国との貿易が盛んであり、とても栄えている。

 私たちは早速エレメア領主である、ウォーレル=エレメア侯爵に会うこととなった。


 白と水色を基調とした爽やかな色合いの屋敷。海が近いから風に乗って潮の匂いがする。


 案内された部屋は、綺麗な青の絨毯が敷かれており、明るい木目の机と相性がいい。そのとても長い机には細部にわたってお洒落な模様が彫られており、ところどころ青い石が埋め込まれている。


 私たちはそれぞれ椅子に腰掛け、領主の到着を待つことにした。


「あの、エレメア侯爵様はどのような方なのですか?」


「オレの叔父にあたる人でね、気さくな方だからそんなに堅くならなくても大丈夫だよ」


 リューン王子は小さな声で教えてくれた。


 暫くすると扉が開いた。深い緑の髪に茶色の瞳。髪は短く前髪はなく、後ろ髪と一緒にしている。ガタイはよく、男前な顔立ちだ。


「メイルディーン王国の皆様。遠いところをご足労ありがとうございます。リューン王子もわざわざありがとうございます。私はウォーレル=エレメア。このエレメア領の領主です」


「こちらこそお招きいただきありがとうございます。メイルディーン王国、第一王子カイナスと申します。エレメア領の首都は貿易が盛んと聞いています。色々な品を見られるのを楽しみにしてきました」


 こうして会談は始まった。まあ、私はただ座っているだけだが。


 会談は両国にとって有意義な時間となった。カイナス王子の仕事をしている姿を初めて見たが、いつもよりキリッとしていてかっこよさ二割増しであった。


 会談の後は歓迎のパーティーが催される。

私は支度のために一旦用意してもらった部屋へ戻った。


「お疲れ様です、アデルリア様」


「あっ、ありがとうミーニャさん」


 ミーニャは笑顔で私に飲み物を差し出した。ミーニャには私付きのメイドとして今回の訪問に同行してもらった。


「そろそろ呼び捨てで呼んでいただけると嬉しいのですが。さん付けはなんだかこそばゆくて」


 私は手渡された飲み物を飲み一息つく。本当に疲れた。今まで公務なんてないに等しく、王宮や屋敷に招待された他国の方とお話しはしたことはあるが、会談に参加するようなことはなかった。

 場違いもいいとこだと思う。私って療養中って事になってなかったっけ?カイナス王子と婚約してないしなんで私が……。

 本当に謎だ。まあ、他の地域には私は行かないし、それがせめてもの救いだ。

 一箇所だけで本当に良かった。


「アデルリア様、ご休憩しているところ申し訳ないのですが、そろそろお支度をしませんと」


「そうね、支度の手伝いお願いね」


「はい、うんと綺麗にしてみせますね」


 支度が終わりパーティーの時間が近づくと、扉をノックする音が聞こえた。


「アデルリア、迎えにきたよ」


「リューン王子」


 リューン王子は膝をつき私の手の甲に口づけをする。


「アデルリア嬢。本日は私のエスコートを受けていただけないでしょうか?」


 こんなの反則です‼︎まるで絵本から出てきた王子様みたい。そう、私の16歳の誕生日の日に私に結婚を申し込んでくださった時と同じだ。

 リューン王子にはいつもドキドキさせられる。

 私は"はい"と答えようとすると、カイナス王子が入ってきた。


「ちょっと待ってくれ、アデルリアのエスコートならオレが……‼︎」


「カイナス王子⁈」


 カイナス王子は息を切らせて入ってきた。


「リューン王子はこの領土とは縁があり知り合いも多いはず。エスコートする相手ならたくさんいるでしょう。しかしオレは違う国ゆえ知り合いもいません。アデルリアのエスコート、譲っていただけませんか」


「私はアデルリアをエスコートしたいのです。もしエスコートするお相手がいなくてお困りなら紹介しますよ。まあ、カイナス王子はエスコートするお相手がいなくても、今回の場合は問題ないかと思いますが」


 二人の間に火花が散っている。今日のパーティーが不安でたまらなくなったアデルリアであった。




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