小話 デートその後 リューン王子VSカイナス王子
※3/14 第5話の最後の部分から大幅改稿しました。
第5話の最後の部分から第10話は以前と全く違う話になっています。
リューン王子とのデートの翌日、二人の王子はリューン王子の私室でお茶をしていた。
しかし、それはただの楽しいお茶会ではなく……。
シンとした室内でカップを置く音だけが響く。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
リューン王子は紅茶を淹れ終えると、椅子に腰掛けた。
「ーーで、カイナス王子はアデルリアとどんなデートをしたのですか?」
「わざわざ聞かなくてもメイドたちの噂で色々知っているのではないのですか?」
「そうですね、ミーニャはお喋りですからね。色々噂は聞きましたよ」
しかし、リューン王子が聞きたいのはそういう事ではない。アデルリアとの仲がどの程度進展したかだ。
「そういうリューン王子の方こそ、どんなデートをしたのですか?」
「カイナス王子も、噂で聞いているのではないですか?」
リューン王子とのデートは昨日の話だが、朝からおしゃべりなミーニャが騒いでいたので、もちろんカイナス王子も知っている。
二人とも牽制しているのだ。確かにアデルリアとの仲はこのデートで前よりは良くなったと二人とも思っている。
しかし、自分が相手より仲が進展したかは分からない。相手の情報は知りたいが、自分の情報を先にさらけ出して、相手の方が進展していたらと思うと……。
そんなわけで、お互いに言えずにいた。
するとヘアのドアをノックする音がした。
ドアを開けると、アデルリアがいた。
「あの、今よろしいでしょうか?」
「いいよ。なんだい?」
「分厚い本を貸していただきたいのです。この花を押し花にしたくて」
アデルリアの手には、先日のデートで渡した一夜草があった。
「ああ、押し花にするほど大事にしてくれていたなんて……。とても嬉しいよ」
「いっ、いえ……。私もこの花をいただけて嬉しかったです」
カイナス王子は、二人のやりとりを椅子に座って眺めていた。
なんだかアデルリアの様子がいつもと違う。
頬を染め、恥ずかしがっている。
一体昨日何があったんだ⁈とカイナス王子は焦っていた。
アデルリアは、リューン王子から分厚い本を受け取ろうとした。
だが、リューン王子はその手を止める。
「いや、この本はオレが運ぶよ。重たいしね」
「大丈夫ですよ、これくらい運べます」
「オレが君と少しでも一緒にいたいだけなんだ。……ダメ、かい?」
「いっ、いえ。そんなことはないです」
アデルリアは耳元でリューン王子に囁かれて真っ赤になっている。そして左頬を手で押さえていた。
「?どうしたんだい?」
「あっ、えっと。その……昨日の事を思い出して……」
アデルリアは恥ずかしそうに話している。
昨日の?何があったんだ?カイナス王子気になって聞き耳を立てていた。
「ああ、頬にキスした事を思い出したのかい?こんなに真っ赤になって。可愛いね、アデルリアは」
頬にキス⁈カイナス王子は驚き過ぎて、開いた口が塞がらなかった。
「リッ……リューン王子‼︎」
声に出して言わないでと、アデルリアはリューン王子に目で訴えている。アデルリアはカイナス王子をチラッと見て恥ずかしそうに俯いた。
「では、アデルリア。この本を運びに部屋まで行こうか。カイナス王子、すみませんが今日のお茶会はこれにて終了という事でよろしいでしょうか?」
「あっ、ああ……」
リューン王子とアデルリアが出ていった部屋で、カイナス王子は一人呆然としていた。
「……部屋に戻るか」
そう言い、カイナス王子は部屋から出た。廊下を歩く姿は哀愁が漂っている。
まだ諦めてはいないが、ほんのちょっぴり戦意喪失したカイナス王子であった。




