Ⅳ 彼の日々
2025年8月11日
「いらっしゃい。」
いつも通り、神崎くんが出迎える
「お邪魔します。」
当たり前の日々である
私は智也から聞いたあの件を再び聞く
「あのさ、高梨さんのことなんだけど、どこまで話せる?」
以前の私だったら、「高梨さんの事が知りたい!」などと何も考えずに聞いたんだろうか
今の私はそこまで考えなしではない
えっへん
「高梨さんね。」
何だろう、少し遠い目をしたような
それに、寂しそう
そんな顔できるんだ、神崎くんって
「話せる範囲でなら。」
「お、ぜひぜひ!」
「高梨さんはね、1年生の時に交流があった。」
「あの時は結構話したかな。今はもう、話す機会も理由もなくなったって感じ。クラスも違うし。」
「、、、、、、、。」
「それだけ!?」
「話せる範囲で話したよ。」
少な!
でも、確かに
高梨さんはあんまり教室にいなかったかも
神崎くんと話してたんだ
「高梨さんってさ、1年の秋、10月の途中から11月くらいまで、1か月くらいかな。学校に来てなかったんだよね。神崎くんは何か知ってる?」
「知ってる。」
ソウデスヨネ、答えてくれませんよ、、、
「え!?知ってるの!?」
「うん、知ってる。」
「でも言わないんだよね?」
「言わないな。高梨の個人的な話だから、流石に人として言えない。」
「さいですか、、、失礼しゃした、、、」
「、、、、、、。」
何だろう、今度はより明確に、遠くを見ている
その顔に見とれていたら
「さあ、今日は解散。」
「あっ、もうそんな時間?」
「うん。また明後日来てね。」
「分かった。じゃあね。」
この日々を受け入れてしまっている自分がいる
私は帰り際、もう一度神崎くんの顔を見た
分かりやすい作り笑い
高梨さんの話をしたとたんにあの顔
帰り際のあの顔
「やっぱり何か、あったのかな、、、」
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神崎はベッドに横たわる
この前はふと、遥とのあの夜の事を思いだしてしまった
桜庭さんが遥の話を持ち出してきてから
昔の、彼の日々を思い出すようになった
夏休みは2人でプールに行って
2学期もバレないように2人で会って
幾度となく一緒に夜を過ごした
満たされていた
あのまま遥と一緒にいると思っていた
「遥。」
彼女の名前を声に出し、思い出す
「もし遥が智也に何かをしようとしてるなら、」
「僕が止めないと。」




