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あの日、僕が守れなかった君は。  作者: Miho Isaka
第二章 あの日

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Ⅰ 智也と結衣

登場人物


▼桜庭(さくらば) 結衣(ゆい)

高校3年生/生徒会副会長

相馬と校則違反の交際中。神崎に「できること」として週3日、自宅に呼ばれている。


▼相馬(そうま) 智也(ともや)

高校3年生/生徒会会長

桜庭と規則違反の交際中。第三者に交際を把握されていることは知らない。


▼神崎(かんざき) 颯(はやて)

高校3年生

桜庭と相馬の交際を知る謎の人物。「できること」として桜庭を週3日、自宅に呼んでいる。


▼???????

2025年7月24日


夏休みである


智也とのデート


今日は足を延ばしてプールに行く


もちろん、学校からは離れた、生徒がいないような場所


去年の冬以来の遠出デート


ドキドキする


智也の水着、、、


頭の中を整理しきれないまま、プールに到着した


水着に着替える


大丈夫かな、、、変な所はないかな、、、


鏡で入念に確認し、更衣室の外へ出る


そういえば去年もプールデートはしたけど


ここまで入念に身だしなみのチェックはしなかったな


神崎くんのお陰で注意深くなってるからかな


外では智也が待っていた


「お待たせ、智也。」


「うん、全然待ってないよ、じゃあ行こうか。」


遊泳エリアに向かって歩き出す


智也、かなり筋肉がついてる


なにこれ、すっごいドキドキするんですけども


「あそこ、空いてるよ。」


智也はプールサイドに空いているスペースを見つけ、手早くシートを敷く


「じゃあ、泳ぎに行こうか。」


なんだか普通のカップルみたい


カップルではあるんですけど


規則違反をして付き合ってる以外は


ひとしきり泳いだあと、シートに戻る


作ってきたお弁当を2人で食べながら、歓談


他愛のない話


最近学校であったこととか


そんな他愛のない話


「そういえばさ、」


智也が切り出す


「最近なんだか、妙に後をつけられてるんだよね、学校で。」


ん?


誰だろう


まさか神崎くん、、、


ではないか


神崎くんの尾行は多分誰にも気づかれない


多分ね


あの神崎颯がそんなヘマはしない


謎の信頼がある


「へぇ、相手は分かってるの?」


「多分、高梨さんかな。」


高梨さん


新キャラだ


たしか、高梨(たかなし) 遥(はるか)さん


1年生の時同じクラスだった


1年の秋ごろに1か月くらい学校に来てなかったあの子だ


恋敵?


「高梨さんね、1年の時同じクラスだったよ。」


「そうなんだ、その時は話したりしたの?」


「いーや全然。明るい子ではあるけど、なんというか毛色が違うというか種類が違うというか、、、機会もなかったし。それに、たまたま席替えで近くにはなったんだけど、その後1か月くらい学校に来なくてさ。戻ってきたと思ったらすぐに席替えで遠くになっちゃった。」


「そうだったんだ。1か月くらい学校に来てなかった、か。」


「ん? 何か知ってるの?」


「んー、知ってるといえば知ってる、知らないといえば知らない。」


歯切れ、悪め


押してみる


「尾行される心当たりはあるの?」


「うーーーーん、あるといえばあるし、無いといえば無い。」


砥石、お貸ししましょうか?


持ってないけど


「はっ、まさか、、、元カノとか、、、?」


「それはない、断じて。」


即答


持ってきてたのか、砥石


「うーんそうだな、颯なら何か答えてくれるんじゃないかな、、、?」


はやて


颯


神崎颯


ここでその名前が出るか


「神崎くんね。」


「結衣、話したことあったっけ?」


ありますとも、4月からこちら、週3でみっちりお話してます


とは言えないから


「同じクラスになったことが無いからそっちもね、、、」


グサリ


軽率に嘘をついた


でも何て言えばいいんだ


それこそ軽率に、週3で家に御呼ばれしてます、なんて言えるわけがない


「だよね、、、俺は結構仲が良くて、まあ親友って言うとちょっと違う気がするけど。戦友? いやそれも違うな、、、まぁでも、親友かな。」


「なにそれ笑 でも仲は良いイメージ。でもよく友達になれましたな。」


思わず出てしまった


「あぁ、雰囲気はとっつきにくいよな。圧あるし。」


智也も感じてるんだ、あの圧


「でも別に話せば普通だよ。いや、普通では、、無いか。色々頭を使わされる。」


知ってる


使わされてる、頭、週3で


「、、、悪い奴ではないから問題はないよ。」


大問題だよ


どこの架空キャラクターなんだよ


圧があって頭使わされる高校生って


「颯なら、話していい事とそうじゃない事の線引きが上手いから、機会があったら聞いてみなよ。」


「そうする。」


明日家に行くんだなこれが


でも智也からでも神崎くんはその評価なんだ


ナニモンだ、彼は


「で、心配事は高梨さんだよね? まさかここまで来てるってことは、、、?」


「それはない。気配は感じない。」


動物か何かなのか、高梨遥は


「つけられてるって言っても学校の中でだよ。」


「外とか、結衣と一緒にいるときには気配は感じない。俺たちの仲を疑ってる訳じゃない、と信じたい。」


高梨さんもナニモンだ?


昔フった女とかなのか?


「まあ私も一応後ろを気にしてみるよ。」


まあ多分大したことはないのだろう、と楽観した


--------------------


2025年7月25日


プールデートの翌日、夏休みも変わらず神崎くんの家に来ている


「高梨遥には気をつけろ」


それは神崎くんの口から放たれた


私は何の気なしに智也が高梨さんに学校内でつけられていることを話したのだ


そしたら放たれた


え、気をつけろって?


「今はまだ何も言えないけど、とにかく高梨遥につけられてたら、智也とは会うな。完全に撒いてからにして。」


あの神崎颯がここまで警鐘を鳴らす女


ナニモンなんだ、高梨遥


そう考えている時、ふと神崎くんの顔を見た


「、、、、、」


相変わらず無表情


でも分かる


4月から3か月間お話ししてるから


ほんの少し、怒ってる?


表情にわずかだけど、怒りが見えるような、、、


「それで、智也とのプールデートは楽しかったかい?」


いつも通りの口調


「うん、楽しかったよ。あぁそう、高梨さんの話の流れで智也に『颯とは話したことがあるのか?』って聞かれたよ。今までクラスも違ったしほとんどないよ、って答えたけど。」


智也とプールに行くことは夏休み前に言っていた


聞かれたワケでもなく、私から言った


「桜庭さん。」


「はい。」


あ、圧だ、明確な圧、出そうと思って出る圧


「そういう時はね、嘘はつかずに誤魔化すんだよ。」


「嘘はつかず、、、に?」


「そう。例えば、『同じクラスになったことが無いんだよね~』で留める、とか。」


「、、、ほう?」


「なんで嘘をついちゃダメなのか、って顔してるな。」


「おっしゃる通り。」


「不用意や不必要な嘘は相手との関係をこじらせる原因になるよ? ましてや彼氏なんでしょ?」


「、、、ほう。」


まだ理解できていない


「えぇ~? でも神崎くんだって嘘を、」


ここで止まった


そういえば


思い返すと神崎くんは嘘をついたことが無い


今まで、2か月くらいお話ししてるけど


『答えられない』みたいに上手く躱されてる


「僕は嘘なんかついたことはないよ。」


はっきりと言い切った


確かにそうだ


神崎颯は嘘をつかない


少しだけ、神崎颯という人物の解像度が上がった気がした


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