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あの日、僕が守れなかった君は。  作者: Miho Isaka
第四章 交差

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Ⅱ糸



学園祭初日


校内は年一番の盛り上がりを見せる


クラス・部活動・委員会と、こぞって展示物や出し物を行っている


相馬・桜庭は生徒会として運営本部に常駐


高梨は、学園祭欠席


神崎は、久方ぶりの面白いもの探しをしていた


初日は大盛況ののち、幕を閉じる


神崎の面白いもの探しの収穫は残念ながら無かったようである


そして2日目


高梨が登校した


学園祭か


アタシは嫌い


あの日を思い出すから


でも今日で終わり


今まで集めた証拠をあの2人に突きつけて、破壊してやる


一方で神崎は午前中を休みにした。


せっかくの久しぶりの趣味が不発に終わり、疲労も抜けていない


「高梨は行ってるみたいだな。悪い予感がする。」


「いや、予感じゃない、確信だ。」


「ここ1か月半、遥の動向も気にしていた。ここ1週間は大人しくなったが、恐らくは状況証拠でも集めきったんだろう。」


「4月から、週3日で桜庭は僕の家に来ている。同じだけ、智也とも過ごしている、と推測している。」


「ここ1か月は忙殺されてカップル業務どころではなかったかもしれない。」


「ただ、それでも時間のある時は僕の家に来ていたということは、同じく智也と過ごす時間を作っていたとしても不自然じゃない。」


「その中で、何かを掴まれた。或いは証拠とやらは既に集まっていて、あとは2人の空気感で確信に至ったのか。」


「どちらかだろうが、どちらかは分からない。まだ思考力は鈍っているのか。もう少し寝ておくか。」


智也と結衣は、前日から張り付いていた運営本部常駐の任を解かれた。午後から他の生徒会メンバーが応援に来た為である。


「先輩たちは最後の学園祭なんですから、たのしんできてください!」


そうやって後輩に送り出された。


とはいえ、2人で回るのも今は避けたい。


それぞれ友達グループで楽しむことにした。



夕暮れ、17時。


2日間にわたる学園祭は幕を閉じた。


神崎は、17時に来た。


寝すぎである。


疲れている。



学園祭の熱もそこそこに、生徒たちは下校していく。


生徒会メンバーも、相馬・桜庭を残し下校していった。


残るは生徒会室に2人。


本番は本番の緊張感というものがある。


2日間で疲労がたまった2人は、生徒会室で無意識に距離を縮める。


流石の相馬も判断力が鈍っていた。桜庭へ腕を伸ばす。


あと数cm。もう少しで触れ合う、その時桜庭は智也に少し違和感を覚え、一瞬ためらった。


すると次の瞬間。


「会長、副会長、お話があります。」


生徒会室に、高梨遥が突然やってきた。


「あなた達、付き合ってるよね?」


高梨の言葉に2人は動揺。


何も答えられずにいると、


「証拠だってある。2人が学校外で会ってるところを何回も見てるし、写真もある。それに今、その距離。まさに抱き合う寸前ってところかなぁ?」


何も反論できない。今のこの構図が、物語っている。


私たちは、失敗した。


「お待たせ。」


神崎くんの声。


「間に合ったみたいだな。良かった良かった。ちょっと寝すぎて遅れちゃったよ。」


「神崎くん、、、」


「さて、高梨さん、まずはあなたの持つ証拠を全て出して差し上げて。」


ん?


神崎くん?


裏切った?


「はや、神崎、どういうつもり、、?」


今高梨さん、颯って言いかけた?


「良いから出しなって。」


高梨のスマートフォンに保存された、桜庭と相馬の写真。数にして100枚以上。


「お前、暇なのか?」


思わず神崎くんがツッコんでしまう。


「うるさい。アタシはね、この相馬が平気な顔をして女と付き合ってるのが許せない!だからここまでやった!ここまで我慢した!」


「相馬智也、アンタが引き裂いたアタシたちを見てよ!もう壊れちゃってんの!アタシも!!!颯も!!!」


颯


心がズキっとする。


なんでだろう


「なのになんでアンタはそんなに、そんなに幸せを享受できるの、、、?」


「でもこれで終わり。アンタはここで別れるか、この学校を去るか、その二択よ!!!!!!」


気付けば高梨さんは泣いていた。


泣きながら叫んでいた。


「答えろよ!!!相馬!!!!!!選べよ!!!!」


神崎くんは何も言わない


「選べないなら、アタシが選んであげようか?? 別れなさいよ、、、別れてこの学校から消えて!!!!別れろ!!!!消えろ!!!!!相馬!!!!!」


「アンタがあの時颯にそそのかしたから!!!!!今こうなってんの!!!!!」


「選べよ!!!!!」


「遥」


「選べ!!!!!」


「もういい遥、、、」


「選べ!!!!!!!!」


「遥!!!!!!!!」


え


誰の声


神崎くん、、、?


「遥、落ち着け。遥!!!!!」


暴れようとする高梨さんを神崎くんが後ろから抱きかかえるようにして制する。


「離してよ!!!颯!!!離して!!!!」


「遥!!!!」


「なんでよぉ、、、何で止めるの、、、?颯、、、、、」


後ろから抱きしめ、神崎くんは高梨さんに語り掛ける。


「遥、もういい。お前はいつまで、、、いつまでそこにいるんだ、、、、もう、、、前に進んでくれ、、、、頼む、、、、遥、、、、」


「颯、コイツらは付き合ってるんだよ? 許せないよ。なんでアタシたちはダメで、コイツらは、、、相馬は、、、颯は許すの、、、?」


「遥、まず、まずな。お前が撮ったこの写真。智也と、桜庭さんの写真で間違いない。それはそうだ。この2人は学校の外で何度も会ってる。」


「そうでしょ、、、?颯はアタシの味方だよね、、、?」


ズキっとする


神崎くんは、高梨さんの味方?


じゃあ今までの、今まで神崎くんの家に通った私は、、、?


なんだったの、、、?


「そして、桜庭さん、今君は僕に対して疑念を持ってるだろう。この状況なら仕方ないが、少し聞いて欲しい。」


「うん。聞く」


「あと智也、お前はまぁ、何となく分かるだろ。今はそれでいい。後でゆっくり説明する。」


「分かった。」


「遥、桜庭さんは確かに、学校の外で智也と会ってた。事実だ。でも、桜庭さんは、他にも学校の外で会ってる男がいる。」


「は、、、?だ、だから、、、?」


「僕だ。」


一瞬の静寂


「え、、、颯が、、、、?」


「颯が、、、桜庭さんと、、、付き合ってる、、、?え、、、?」


正常な思考ができていない


これでも高梨さんは頑張っているんだと思う


「違う。桜庭さんには、、、僕の家に来てもらって、相談に乗ってもらったり、、話を聞いてもらったりしてる。」


「面倒見のいい人なんだよ。家にまで来てもらって2人きりで時間を共にしてるけど、僕は桜庭さんとは付き合ってない。だから、智也と2人きりで会ってたって、必ずしも付き合ってることにはならない。事実、2人は付き合ってない」


嘘だ


神崎くんが嘘をついた


「そんな、そんな都合のいい考え方って、、、あるわけ、、、無いでしょ、、、」


保険


これが、保険


無駄じゃなかったんだ、私のあの日々は


「じゃあ、桜庭さんが、僕と智也の2人と付き合ってるってことか? ならどうする? 3人を突き出すか?」


「そんなこと、、、できるわけないでしょ、、、だって颯は、、、辛かったんだよ? アタシだって本当は分かってるよ、、、颯がアタシの事を守るために別れたってことくらい、、、分かってる、、、」


「でも、アタシは、相馬を憎んでないと、、、あの時の颯とアタシに、、、どんな顔をすればいいの? あんなにバカ丸出しカップルだったアタシたちに、、、、」


カップル


神崎くんと高梨さんは、付き合っていた


多分、1年生の時だ


智也の言ってたあの件


この事だったんだ


「相馬だって、相馬が言ってたことだって、、、、本当は全部覚えてる、、、でも、、、でも、、、颯、、、、、」


高梨さんは神崎くんの腕の中で泣いている


智也も、全部知ってるのかな


「遥、お前の証拠では、何も証明できない。まだやるか?」


「もういい、、、颯。もう大丈夫。」


「高梨さん、あの時は俺の言葉が足りなかったかもしれない。すまなかった。」


「今更謝られたって、、、」


「桜庭さん、智也、僕は遥を家まで送ってくる。2人は、今日は帰って休んだ方が良い。明日、土曜日だけど、僕の家に来てくれるか? 智也も一緒に。」


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