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異世界を妄想する俺

 もう良いかな。まだだよ。その繰り返し。俺は遠いところにいる。じゃあ今日は妄想でもしようか。俺は異世界にいる。エフィネスト王国、国王はウミニアエグ、俺は召喚された。そこで何をやるというのか。戦うのだ。世界のために戦うのだ。どう戦うというのだ? 魔法を使うのだ。

 どんな魔法だというのか、攻撃魔法とでも言っておこう。放たれる光の矢のような、神の銃のような、そんなことで世界は変わらないよと言いたいが、世界を変えたり王国を救うのは貧者の何たらだったりするのかもな。もっと現実を見た方がいいんじゃないか? 召喚されたのは国王のいるところだった。

 そこで勇者様と言われたんだ。戦うしかないだろ。魔王を討伐するために俺を使ってくださいってね。だがあ問題はそんなに単純でもなかったようだ。召喚されたのは俺だけだったということで、他の国にも勇者はいるようだ。比較対象がいるというのはきついものだね。俺は剣を手に入れることで物語を進めようとした。

 国王はこう言った。「私はお前のことを信頼している訳ではない。だが僅かでも可能性があればと、藁にも縋る思いなんだ」だと、俺には何も変えられねえよ。知らんかったか、バーカ死ね! なんて心にも思っていないです。と口にする訳でもなかった。その場には王女様もいた。美人だった。騎士みたいな格好をしていた。

 だから俺は言ってやったんだ。「あなたは俺のために何ができる? 俺はあなたのために命も捨てる覚悟でこの世界に呼ばれたようなものだ」ってね。そう言ったら彼女こう言ったよ「私はあなたのことを守ります。私も覚悟しているんです」ってね。まあ裏切られるような展開を希望している訳ではないが、絶望の力を引き出したいんだったらそこで何か強姦されたとでも言えよと思ったが、それほど話は単純ではなかった。

 俺は魔法を使うことにしたんだ。魔法を使って世界を変えてやる。攻撃魔法。名前はライトニングレーザーと言ったところか。俺の想像以上にやばいやつだったよ。人一人殺せるレベル。だが俺は人を殺すことを望んでなどいないいのさ。本当にやりたいことは人を救うことだった。救うって何だって話だが、一般的には神の怒りからの解放だった。神は怒りの果てに人類を見捨てる。そうなる人とならない人がいる世界だったりして。

 まあ俺は決めたよ。世界に出るってね、仲間を見つけて魔法を極めて、ハーレムを作るんだ。いや、そんなものなど望んではいなかった。俺がしたかったことは、もっとラディカルなことだよ。異世界で十字架につけられるくらいにはね。だがそうもいかなかった。

 どうすればいいのかなんて全然分からなかった。俺は導かれるままに動いていくだけさ。王女様が案内してくれるとのことだった。ありがたい限りだね。彼女の名前はエンドレスというそうだ。城の中を進んでいく。色んなものがある。兵士がいた。並んでいた。こういう時、俺は興味が湧くんだよね、どういう風な人生を歩んできて、今俺と交わったのか。いや別に関係なんてなかったさ、今もこれからも。

 そこで言ってやったんだ「お前は俺に仕えるかどうかで言えばどうする?」ってな。そうしたら他の奴がざわめいたよ。別に変なことは何も言っていないんだけどな。俺たち立ち止まっていたから、エンドレス王女は「なんてこというんですか」だって頬を膨らませていたよ。そんなものか?

「難しい質問は止めてください。あなたはまだ何もしていないじゃないですか」

 そう言われてしまった。彼がいうのも当然だな。俺は「いつか俺について来い」と言って、歩き出した。格好良くはない。魔法が使えるかどうかもまだ分からないんだ。だが分かっていることがある。言葉を交わしておくと、後で役に立つ。それはそうと人生について聞いていなかったな。

 王女様が案内してくれたのは食事を摂るところまであった。長いテーブル、幾つもの椅子。その時には誰も座っていなかった。俺は王にはなれないが、貴族くらいにはなりたかった。勿論そんな柄でもなかったがな。生きている限りは立ち向かっていきたいところがあるに違いない。その程度のことだったんだ。

「エンドレス様はどうしたら俺と結婚してくれる?」

「うーん、世界を救って、私が恋したらね」

「可能性はありと、メモメモ」

 そういう仕草をして、俺は窓の外を覗いた。太陽が差し込んでいた。少し大きいか? いや直視で確認できる訳でもない。目が焼けてしまうよ。問題は俺が物語を作れるかどうかの問題なのだから、もう少し複雑な人間関係を構築しなければいけないなと思った。だが二人か三人で十分だった。

 それからというもの、俺がどうしたかというと、王女様に案内されて宿に泊まることにした。お金は用意してくれえた。感謝の極みですね。そこで宿屋の女将とも会話した。

「俺はこれから世界を変えてやる。世界を救う、まあできっこないが」

 彼女は「応援するよ」とは言っていたが、それほど本気にしている様子はなかった。まあ戦いの中で成長してやるってだけさ。そもそもどういう世界なのかが分からない。ゲーム寄りなのか、現実寄りなのか。だが俺は決めていた。ライトニングレーザーで全てを圧倒してやるってな。やりてえな、厨二病の極み。

 次の日は外に出た。王女様とも会った。そこでまず何をやるべきか聞いた。レベルでも上げますか。だがそんな感じでもなかった。そもそもゲームの世界というのは現実にルールのように入っているだけだというのか。ヒロインが欲しいな。ヒロインってなんだ? 結婚相手か? それとも性欲処理の道具か?

 もっと大切なものだったよ。俺は仲間を見つけることにした。そもそもなぜ俺は宿に泊まったんだよ。王の城に寝泊まりさせてくれよ。城下町を歩いていた。エフィネスト王国。俺も城持ちになりたいぜ。だが一つ所に留められるのも溜まったものではないな。俺はもっと冒険的なことがしたいんだ。永遠の命を巡る戦いのような。

「エンドレス様はさ、俺にどんな仲間がいた方がいいと思う?」

「戦士とか、魔法使いとか、僧侶とか」

「そう単純なものですかい」

 俺は会話を切り上げた。それで城下町の外に出た。訓練は大切だろうからな。俺は魔法を使うことにした。どういう敵がいるのかを探りを入れることにした。しかし平原が広がっているだけだった。空を飛ぶ魔法を使えればな、そう思って、ジャンプ。だがそんなに飛べない。夢も希望も無しですか。

 現実との兼ね合いをどうするかという問題の中に置かれているなあ、俺はという感じだった。現実には物語などないに等しかった。だがここでは違うかもしれない。歩いたり、走ったり、そのうち出会いがあって、人生を一変させてやりたいね。そのためには関係性が重要になってくるとは知っていた。

 俺は覚醒したかった。そのためにはイベントが必要だった。決闘を申し込まれたり、他の勇者との小競り合いがあったり一人の女を取り合ったり、そう易々と思いのままに生きていられるような人間ではない。ごめんなさい。しかし成長は少なからず必要だと知っていた。冒険者にでもなって、世界を旅するか。

 俺はどうするべきかを考えて宿に戻った。ベッドの上に寝転んで、ただ見上げていた。天井は現実味を帯びていた。俺を惑わそうとしている。俺には何かができるってね。だがそれは本来の姿を失わせていた。俺には何もできないと知って悲観的かつアンニュイとかいう表情になっているくらいが丁度よかった。

 俺は勇者のはずだよな。だがあまり期待されていない。魔法を使える剣士になれれば良かったかな。その程度にしか考えていなかった。どうにもこうにも戦うしかないのですよ。生きているだけで偉いんですから。

「エンドレス様、俺は決めましたよ、あなたと一緒に戦うってね」

「頑張りましょう」

 薄っぺらいなあとは思いつつ、俺の生き方を否定しなかったことにどこか喜びを感じてもいた。まあいいのさ、明日どうなるか分からない身で戻る場所を見つけたようなものだ。だがまず何をすれば良いのか分からない。勇者様の特権を使いたくもなる。何かこう、権力でねじ伏せるような。

 勿論冗談です。俺にできることはただ死なないように気をつけるだけだったかな。一日一日を感謝して受け取るくらいだった。今日生きられたことに感謝。神様に捧げます。王女様に聞いてみた。

「この国の宗教はなんですか?」

「ネスティア教です。全能の女神様を信じていますよ」

 なんだ、その程度か。なら俺も全能の神を信じることにした。まあ性別なんて超越した聖なる方だがね。俺の野望は彼女との結婚ということにしておこうか、いやそうも単純には行かない。魔王軍との戦いの中に全てを見出し、そこから得られるもので戦えばいいのだ。

 何か仕事がしてえって思った。生きていく糧が欲しい。そう思った。何か方法はないかと模索しようとして、彼女に聞きたかったが、この世界はそれほどゲームでもなかった。何とも言えない感じである。剣士はいるんだっけ? 戦士か? 何が違うんだ。魔法使いになれば全てが良くなると信じたいね。一級魔法使いにでもならせてくれや。

 王女様に俺の格好良いところを見せたいと思っていたが、特に話すことなどなかった。戦いで勝利を収めれば代わってくれるか? 物語とは何なのか。根本を問いたいと願っている。貴族くらいの生まれが丁度良かったのかもしれないが。

 俺はとにかく今は寝ることにした。宿に泊まっていた。しばらくそれが続いた。何か言われないかと心配していたが、特になかった。じゃあよろしいかと思った。単純過ぎる人間だね。悲しい限り。俺も本当は戦いたいよ。だが英気を養う時間も必要なのだ。その間にエンドレスが他の男を連れてきたら自殺ものだね。

 そんなに彼女のことは好きじゃないんだ、そのために死ぬのも本来的によろしくないのは知っている。俺は図書館に行った。そこには様々な人がいた。種族も様々じゃないか? そう思っておくことにする。多様性は尊いね。だけど最終的には一致しなければいけない。俺が統一してやるさ。そう心に誓った。

 何を願っているかなど俺にも分からなかった。だが俺は力が欲しかった。だから力を証明しなければいけなかった。それも再現性のあることで、だ。だから一回こっきりの魔族との戦いで偶然勝利を収めたとしてもさほど嬉しくはなかった。図書館の書物は全然読めそうになかった。魔法でどうにかならないかな。

 都合の良い世界ではなかったさ、その変わり記号的に進むこともないと信じたくてね。何も変わらない時間の中に監禁されているだけの気分だったよ。でも歴史に名を残すほどの偉業を上げたい気持ちもあった。名前が覚えられていいことなんてないのにね、結局は虚像に過ぎないんだって。

 そういう確信があった。とにかく戦いに出ていかなければという焦りはあったよ。勿論本質を損ねるほどのものではなかったがね。生き方を見直す機会にできたら良かったってものだ。俺はもっと大切な何かのために生きていたかったのさ。

 エンドレスに会った。城の中には連れて行ってもらえていない。まあそれくらいの精神的な断絶があった方が、後々解放された時のカタルシスもあるってもんだ。そう好意的に受け取っておくよ。良いものを経験しても、最後にならなければ完全には堪能できないってね。俺は旅に行きたかった。

「エンドレス様、魔族の支配を打ち破りましょうよ! 俺たちにならできますよ」

 そう発破をかけてやったが、それほどまでに乗り気ではない模様。まあ知っていますよ。人は畏れとやらに支配されているんだ。そこから連れ出すのは人間業ではない。俺はいつか世界を変えてやると信じているよ。どのようにかしてな。だがその前に力を証明しなけえればならないんだ。

「一先ず冒険者になって必要なお金を自力で稼いでいけるようになるというのはどうですか? おすすめですよ」

「冒険者ねえ、まあいいんじゃない? でも俺に必要なのは仲間だと思うね」

「きっとすぐ見つかりますよ」

 そう言って彼女は笑っていた。一応可愛いけど、可愛いだけじゃ駄目だよね。いやそんなことはない。可愛いだけでもいいんだ。それを受け入れる俺がいる限り。でも好きになんかならないよ。でも報酬はお前って決めている。どうやって世界を変えていくかやな。そう単純であれば良いのだが、魔王軍との戦いや如何に。

 冒険者になることにした。手厚い支援を受けられるかな。王女様と一緒にそういう働きをすることになった。依頼とかクエストとかそういうものではないかもしれない。だが必要なこととして、人々の脅威を除去するというものがある。そのためには俺も強くならなきゃならないな。

 出会いというのは突然にやってくるものだと信じたかった。それが来るまでは予測不能なのだ。酒場に行った。そこで野卑な感じの野郎を沢山見ていた。格好良いね。俺も仲間になりたい。そうやって女を落とすのだ。しかしある方法論で落ちた女がいれば、それでは落ちない女もいる。本当に欲しいのは何かってね。

「お前名前はなんていうんだ?」

「名前なんてないよ、救世の勇者様だ」

「ハッ、その割には弱そうだな」

「ああ弱いよ、これから強くならなきゃな。お前、仲間にならないか」

「ならねえよ、でも本当に勇者ならその心意気だ、頑張れよ!」

 結構良いやつだった。仲間にしたかったな。だが一期一会というのは縁がなかったと諦めることでもあるだろう。俺は酒を飲むことにした。未成年か? 関係ねえ、この世界での成人は十五歳くらいだってのが相場だろう。俺は酒豪になるぞー! いやなるものではなく、そうあるものなのだよ、勇者のようにね、そう自分に言い聞かせた。

 考えてみれば俺はまだ何もしていない。一回外に出ただけだ。引きこもりと変わらない。この世界のことについて何も知らない、だが分かることは、この国の常識が他の国の非常識になる可能性は大だということだ気をつけねばならないね。何をするために俺は生まれてきたんだ? 冒険だよ、って言いたくもなるが、本当の望みは幸せな暮らしなのかもしれない。自分を創造主を責めることなく生き続けるってね。

 酒は美味かった。完全に酔っ払ってしまった。隣に座っていた奴と話になった。名前はホエールというらしい。友達という感じにもならねえな。知り合いがやっとか。深い話がしたいわけではない。彼自身が大切にしているものが何か聞きたいという程度だ。それを知ることができればこの世界に来た意味もあるってものだ。

「なあホエール、あえてお前っていうが、この勇者様にお前の歴史を教えてもらえないか? どういう親の下に生まれて、どういう家に生活して、仕事して、今生きている。未来にはこんな希望があるって」

「うーん、だらだら生きてきただけだよ。本当にそれだけ、親も普通。でも良い親だよ。俺を育ててくれた。俺の仕事は剣士、魔物を倒して生きているよ。勇者くんは魔物についてどれだけ知っている? 時には魔法では倒せないから、剣で一撃で仕留めるという快感もあるものだよ。それが俺が一番輝く時。それを積み重ねて、女神様に褒められるのさ」

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