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俺は認めねぇからな!(お決まりの捨て台詞)

1〜2日休むといいながら5日も経ってしまいました(^^;;

更新遅くなりまして申し訳ありませんでした。

(貴重な読者様が離れて行ってしまっただろうか……ううT_T)

毎日更新が出来るかちょっと微妙なところではありますが、根気と体力がもつうちはなるべくマメに執筆活動を頑張りたいと思います。またよろしくお願いします!


神風はウェイターを呼びカードで会計を済ませてもらうと、店の出口まで夢姫の肩を抱きながらエスコートした。

そして店から出たところで夢姫に向かって「また後でね」と優しくハグをしてきた。

本来の夢姫なら「こんな場所でハグするなんて!」と抗議をするところだが、神風のボディタッチに慣れてきたのか洗脳されてきたのか、抵抗する事なく自然に受け止めた。


「……あの〜、俺、目の前にいるんだけど。」


大河の声にハッと我に返った夢姫は神風をベリっと剥がした。

剥がされた神風は不満気な様子だったが、夢姫はそんな神風を無視し、顔を赤らめながら「じゃ、じゃあ、のちほど!」と言い残し、足早に去って行った。

夢姫の姿が見えなくなったところで、神風が口を開いた。


「とりあえず、場所を変えるぞ」


「ああ、そうだな。」


ザッ、ザッ……。

二人は人気を避けるように、繁華街から外れた場所に歩いて行く。

しばらく歩いたところで隙間の様な小さい空間に辿り着いた。

どうやら広場になっている様だが、ビルとビルの間にあるため日は当たらず、ジトッとした空気が漂っている。

一つだけポツンとある街灯以外には何もないため、そこには人はおらず、ひっそりとした空間は夜になると物騒な空気に変わるのだろうと予想がついた。

神風はそこで足を止めると、大河もそれに続いた。


「懐かしいな。」


「悪いな、大河。この街だとここくらいしか話せる場所が思いつかなくてな。」


ここは神風が高校時代の頃、当てもなく繁華街を遊び歩いていた時によく一人で来ていた場所だった。

そして、大河に思いっきり殴られた場所でもある。


「大河。手加減はしない。」


神風はそう言うと大河の胸倉を掴んだ。

そして怒りを通り越して絶対零度の冷気を放つ凍てついた瞳で大河を睨み付けた。


「……!!」


次の瞬間、ゴッ!!という衝撃音が響く。

神風の怒りが込められた拳が容赦なく大河の頬に食い込んだのだ。


「ガッ!!?……くっ……!!」


強い衝撃を頬に受けた大河はグラリと体勢を崩したが、鍛えられた下半身でなんとか倒れずに食い止まった。


「……いっ、てぇなっ!」


大河の口の中は、錆び付いた鉄のような味がジワッと広がる。ペッと吐き出せば、血が混じっていた。

大河は拳で口元の血を拭うと体勢を持ち直しながら神風にガンを飛ばした。


「てめぇ、いきなり何しやがる!」


「それはこっちのセリフだ。ゆめきちゃんにちょっかいを出すのはもう止めろ。」


「っせえな!そんなのお前に関係ねーだろ!?」


「僕とゆめきちゃんは恋人同士だ。お前が付け入る隙はもう残っていない。諦めろ。」


「恋人同士だと?はっ、お前アイツの正体知ってんのかよ!?バツイチなクソビッチだぜ!?」


「……離婚歴のあることは知っている。」


「じゃあ、なぜ!?」


ガッ!!

大河は神風の腕を掴んだ。

ギリッと大河の指が神風の腕に食い込む。


「神風、俺は分かってるよ。お前、あの女に脅されてるんだろ?」


「……っ、脅されてる?何のことだ。」


「ああ……人に言えない様なネタを握られてるのか?大丈夫だ、俺が救ってやるよ。」


ギリリッと食い込む大河の手を神風はバッと払い除けた。そして蔑んだ目で大河を見下すと、大河に向かって冷たく言い放った。


「大河、お前は何か勘違いをしている。僕はゆめきちゃんに脅された事実はない。」


「じゃ、じゃあ!お前はあの女に騙されてるんだよ!!そうじゃなきゃ、あんな低レベルな女とお前が付き合うはずがないだろ!?」


「……低レベルな女……?」


神風は再び大河の胸倉の服を掴むとグイッと引き寄せた。


「ゆめきちゃんは初恋の相手であり、僕の心を救ってくれた大切な人だ。ぽっと出のお前に彼女の何が分かる?……誰であっても彼女を侮辱する事は許さない。」


「……っ。」


「また彼女の事を悪く言ったり、ちょっかいを出す様なら、お前とは完全に縁を切るつもりだ。……よく覚えておけ。」


神風はそう言い放つと、掴んでいた大河の服からぱっと手を離した。

大河はしばらく俯いたまま固まっていたため、話し合いは終了したと解釈した神風は身を翻してその場を去ろうとした。

しかし、その背後から大河の叫びにも似た声が響いた。


「神風!……俺は……俺はっ!お前らの関係を認めねぇからな!!」


神風は一瞬立ち止まったが、背を向けたまま再び歩き出した。


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