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時間があったので、いつもと違う時間にこっそり更新
まあ僕ら(主に姉上とヒルデ)が悪いわけじゃないのだが、『泣く子とドラゴンには勝てない』との昔の格言……あれ? そう言えばビビアンって両方じゃん!
とにかく僕らは彼女が作り、彼女の母と僕らが壊した迷宮を直すことにしたのだが。
「おろおろ? のうビビアンよ! ここはこうした方がより楽しそうではないか?」
「ああ! それ楽しいかも! ヒルデガルドさん天才!」
「おろおろ、そうじゃろすじゃろ、もっと褒めるがよい! お前は良くわかっちょる。そうじゃ! わっちの事は特別にヒルダと呼ぶことを許すぞ!」
「ありがとうございますヒルダさん!」
「あらあら? それなら、あれをもっとああした方が良いのではなくて?」
「おお! それは気が付かなかった!? シルヴァーナさんもバッチグーだよ!」
「あらあらうふふ! 私のことも特別に、シルと呼んでもよろしくてよ」
「ありがとうございますシルさん!」
なにやらほのぼのとしつつも、きな臭い雰囲気だが、
「あ! それじゃ! ここはこんな風にするのはどうかな? それに私のこともマリーって……」
自分も褒められたいのか?
マリアーナが自信満々、キラキラした目でビビアンを見るが、
「ああ……それはさすがに無いんで……あ! あまりそこらへん触らないで、大好きな魔力回復薬でも飲んでて下さいマリアーナさん」
丁寧だが物凄い冷たい声で、ビビアンが言い放つ。
「ぐふぅぅぅぅぅ! 私だって、私だって………………」
マリアーナが静かに落ち込み、膝を抱えてヤケ酒ならぬヤケ魔力回復薬をちびちびやってる。
まあ、慰めると調子に乗りそうなので……いやいや、それよりあの二人が調子に乗った方が問題だ!
「あの……」
「あらあら、それならこれはこうして……」
「それはちょっと……」
「おろおろ、ならばここはこう!」
どうやら勢いづいた二人には、僕の言葉も届かなかった…………。
そして数日後、そこには…………。
「やったやった! 前回よりさらにグレードアップした! ゴージャスデリシャスエクセレントな大迷宮の完成だ!」
ぴょんぴょんと飛び跳ねて喜ぶビビアンと、
「あらあら」
「おろおろ」
やりきった感を前面に押し出した、姉上とヒルダの雄姿があったのだった。
「おろおろ、全長、全幅数キロメートル以上の大迷宮。遂に完成したのじゃ!」
「完成したじゃないよね? 数キロメートル以上って距離じゃないよね? 以上じゃなくて異常な広さだよね?」
「あらあら、以上と異常をかけるなんて……さすが私の愛弟!」
「別に狙ってねーよ!」
いつも以上に乱暴な口調は勘弁してほしい。
だってこれって、もしかしなくても…………。
目前に広がる、広大な迷宮を見ながら姉上に問う。
「もしかしなくてもこれ、魔王城の三倍はある迷宮ですよね?」
きっと何かの間違いだと問う僕に、
「あらあらアル。そんなことありませんわ!」
にこやかな姉上の否定の言葉。
だが、ぜんぜん安心できないのは僕だけか?
「はいはいはい! 僕、この迷宮の壁を、なんと魔王城の城壁の三倍の厚みに! 強度はななんとなんと! 十倍にしたんだよ! とっても頑張ったんだから!」
「うんメイリン。君はいったい、何と張り合ってるの?」
「おろおろ、それを言うなら、わっちが魔力をふんだんに使い設置したトラップの、数々! 初見で突破できるのは、S級冒険者でも一握りじゃろうて!」
「うんヒルダ。なんでそんなに難易度上げちゃたの!?」
「あらあら、そんなの序の口ですわ! なにせこの迷宮の要所要所を守るのは、私が直に鍛え上げた竜騎兵や竜なのですから!」
この数日、姉上が楽しそうにどこかに出掛けてると思ったら…………。
「もしかしてナツミの近衛兵とも呼べる、半人半竜の竜騎兵を鍛えたの?」
僕の驚愕の表情を余所に、
「イエス! ユアマジェスタ!」
姉上の左右に並び、一糸乱れぬ動作で姉上に武器を捧げる竜騎兵たち。
「うんこの竜騎兵。もう姉上の私兵じゃね?」
王国の近衛兵になるには、一日姉上の訓練に参加して残れる者が合格基準だ。
ちなみに、我が家の兵士になる基準でもあるが。
その訓練に、人間より身体能力が上だとしても三桁の竜騎兵が残ったのは、正直凄いと思う。
だから、
「姉上? 姉上が鍛えたっていう彼らを迷宮に配置したら、一部屋を攻略できるのって、S級以上の腕前が無くちゃならないのでは?」
そんな僕の疑問に、微笑の姉上は、
「あらあら? そんなの当たり前ではないですか? だってこの迷宮は、私がプロデュースしたのですから!」
やりきった感のある、キラキラとした瞳を僕に向ける姉上。
ああ。
これ、いろんな事が、すでい手遅れなパターンだ!
後に、『勇者を鍛えるためのハイレベルダンジョン』っと呼ばれる、『古黒竜の迷宮』が、出来た瞬間であった……………………。
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