22.水着
本日の二話目です。
この間の反省を活かして今村は朝は店が開いている場所も少ないと、効率的な行動を行うために午前中に実験と製造を行い、昼過ぎになって以前鍋の食材や薬品を買った品ぞろえの良い百貨店に行った。
「……よし、ここまで来ればいいだろ。」
今村は何かに追われているようなことを言って祓を水着コーナーの前に連れて行った。そして祓だけ中に入るように言う。
「……? これが……水着? これであんな寒いところに……? 魔力でも上げる修行なんですか……?」
「……あー『黒魔の卵殻』一回消していい?」
もう説明が面倒になってきた今村はそれで解決しようとする。しかし祓にとってそれは大問題だ。
「何で急にそんな酷いことしようと思ったんですか?」
「……あ~悪かったよ。お……っと。あ、すみませーん。」
今村は説明を放棄して店員に丸投げすることにした。今村が呼んだ女性店員は営業スマイルを浮かべて二人の下にやってくる。
「はい。どうなさいましたか?」
「あーこいつに似合う水着を選んでください。」
「はい。かしこまりました……」
「じゃ、そういうことで。」
今村は逃げ出して近くの休憩室らしきところに行って紅茶を買って、椅子に腰かけ紅茶を一口飲んで溜息をついた。
「はぁ、つっかれた。」
「……こっちですか?」
「何で付いて来てんの!?」
入口に周囲を見渡しながら寄ってくる祓の姿が。今村は思わず大きな声で突っ込んだ。そんな今村に祓は自信ありげに答える。
「あんな軽装備で海に行くはずがありません。なので先生が行った先に本物の水着があると判断しました。」
「……戻ろうか。」
「? はい……」
二人は水着コーナーの前に戻った。先ほどの店員がクスクスと笑いながらこっちを見ているので今村はムカついたがさっさと水着を選ばせることにした。
「さて、選べ。」
「え?」
祓はまだわかっていない様子だ。今村は有無を言わせない口調で続ける。
「さっさと選べ。……いや、つーかイメージを覚えろ。後は呪具でどうにでもなるから……って……あっ!」
そこで今村はあることに気付いた。
(……ここまで来なくても動画か写真でも見せてりゃよかった……)
今更気づいても遅いが、今村が思い付いたのが今なのでしょうがない。二人は『幻夜の館』に帰って行った。
「……納得した?」
「……何か……すみません……」
二人は百貨店からの帰りがけに最近の雑誌を買って戻って行った。そして更に夏がイメージの歌の動画を見せて祓はようやく納得した。
「……で、『呪具招来』:ウェアーアップフレーム」
今村は祓が納得したのを見るとそう言って手元に木の板らしきものを召喚し一気にローブで組み立てて枠にする。そして祓に言った。
「気に入ったやつがあったらそれイメージしてこれを身に通せ。そうしたら着替えられるから。」
そう言い終えると今村は雑誌と一緒に買った漫画を読み始める。祓が横で色々な水着に代わっているのをガン無視して漫画に没頭する。
「……あの、変じゃないですかね?」
「あー? うんー。だいじょぶじゃねー?」
一切見ない。訊かれているのに見ない。むしろ鬱陶しそうな顔までする。こいつは美少女の水着姿を何と思ってるのだろうか。そんな様子の今村に祓は近付いて訊く。流石に至近距離に来られてまで読書はできないので今村も顔をあげた。
「……何?」
「……どうですか?」
祓が今身に着けているのは空色のスカートタイプのビキニだった。それがシミひとつない白い肌と抜群のスタイルによく映えており見る者の心を奪う。
「じゃ、それで。」
「はい。」
だが心無い人間の今村の心は奪えなかった。……しかし、一瞬目が泳いだのを確認した祓はそれでも嬉しそうにその水着で海に行くことを決めた。
ここまでありがとうございました!
変更多くて申し訳ない…




