表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Justice Origin  作者: 黒雨星狩
第一章「少年は、涙の下で。少女は、志の下で。」
PR
5/31

第一章「少年は、涙の下で。少女は、志の下で。」4話

強い。

それが、彼女を初めて見た時の感想だった。

そして、それを証明するかのような、その光景に釘付けになる。

「弱いのに、手を出すからそうなる」

彼女――鬼灯(ほおずき)絢愛(あやめ)に絡んでいた数人の男は、一瞬にして返り討ちにあっていた。

「次は容赦しない」

受け流して、そのまま力を付与して投げる。

組討格闘術にしては、あまりにも単純で、受け身に回る技。

その初歩の投げ技でさえも、彼女がこの場の雰囲気を支配するには十分なものだった。

「くそっ!?異能者(おまえたち)がこんなことして、赦されるとでも――」

「先に手を出したのは貴方。これは、正当防衛」

再び、静まり返る男たち。この正論に、何も言い返せなくなったのだ。

だが、悪魔は突如として降臨した。

「お前ら、何の騒ぎだ?――なるほどな、絢愛」

「⋯⋯何?私は、正当防衛をしただけ――」

「確かに、そうかも知れないな。だが、お前は異能者(クルスター)だ。力を使えば、どうなるか分かってるはずだ。異端者のお前は、その境界線に侵入した」

異能者(クルスター)

数十年前、突如として誕生した、人間の亜種。

普通の人間と、大した差はない。

1つあるとすれば、“ノヴァ”を扱うことが出来る、ということだけだ。

人によって、その能力は異なる。

ある人は、炎を操り、ある人は風を起こす。

ある人が雨を降らせれば、ある人は空を翔ける。

そして、共通するのは、“ノヴァ”を纏うことが出来る。所謂、身体強化が出来るのだ。

「お前達異端者は、善良な一般市民を虐げるべく、その力を振るった。この事実だけが、歴史に刻まれるんだ。分かるか、異端者」

「⋯⋯違う」

「はっ、違わねえんだよ!お前達が、人間じゃない限り、異端者なんだよ!」

これが、この世界の真理。

一般市民には出来ない、“ノヴァ”を操ることができる異能者(クルスター)

その力は計り知れず、力を持たぬ者が恐怖するのも無理はない。

そんな中、異能者1人が、その能力で犯罪を起こしてしまったら?

能力には個人差があるが、そんなことは重要ではない。異能者という集団が、異端者として吊し上げられる理由としては、十分なものだった。

「⋯⋯私は、人間(ヒト)

「なら、いつから人間(にんげん)は、破壊をもたらす力を持つようになったんだ?」

「私達に、そんな力は――」

「あるだろ?」

それ故に、異能者を批判する勢力は、少しずつ拡大するようになっていた。

「俺達にはない力が、お前達にはあるだろ?使う使わないとかいう話じゃねえんだよ!」

「前提が違う。私に、そんな力はない」

「はっ、どうだか?異端者は、悪魔と同じだからな、何を隠してるか分からん」

「⋯⋯⋯」

「おっ、図星か?」

「⋯⋯⋯」

「どうした、だんまりか?」

「――弱い犬は、吠えない方が良い」

鬼灯絢愛(ほおずきあやめ)

武術の名家、鬼灯の家の名の通り、鬼灯道場の一人娘で、近接戦闘での実力は非常に高い。

後天的な異能者にして、能力は不明。“ノヴァ”の放出量は薄いが、常時能力が展開され続けている可能性が高い。

結われた長い黒髪と、氷のように冷たい、怠惰にも見える無表情、そして、彼女の素性と能力からついた二つ名は、〈邪寂(やしゃ)〉。

正義を行使するのではなく、正義を虐げるための、夜叉(やしゃ)

どこまでも残忍で、その余韻すらも恐ろしいという意味を込められた、忌み名。

「おっと、怖い怖い。〈邪寂〉様はやっぱ、恐ろしいねぇ?」

「〈暴君(ぼうくん)〉、黙ってて。白々しい」

「反撃のつもりか?生憎、俺は結構気に入ってるんだぜ?」

そんなことよりと、今度はいつの間にか周囲を囲んでいたギャラリーに対して、言葉を続ける。

「お前らはどうだぁ?こんな危険で何するか分からない人間を、放置しておいて良いのかっ!?」

「いや、排除すべきだ!」

群衆に潜んでいたであろう、〈暴君〉の仕込みの1人が、声を上げる。

「アイツラは危険だ!」「人間じゃない!」「卑怯者!」「奴らを赦すな!」「悪魔の子を排除しろ!」「少し強いからって、図に乗りやがって!」「チート野郎!」「異端者!」

いくつかの仕込みが続いた後、堰を切ったかのように、ギャラリーから罵倒が爆発する。

「お前みたいな異端者、居ても誰も幸せにならないんだよ。この世界から消えてくれないか、なあ?」

「⋯⋯⋯」

周囲からの嘲笑う声、どこか見世物を見るかのように観衆が見守る、残酷で冷たい空気。

その中心で俯いていた人物は、突如として、その仮面に微笑を浮かべた。

「貴方達がいくら言っても、私を虐げることは不可能。だって――」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ