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Justice Origin  作者: 黒雨星狩
第二章「衝動は、その身を焦がす」
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第二章「衝動は、その身を焦がす」24話

「奪われて、失って、また奪って」

ただただ、目を奪われた。

その炎の揺らめきは、命を奪う光であり、弱者を照らす。

それでいて、慈悲の輝きでもあった。

どんなに明るく照らしても、どれだけ暖かくても、あんなにも冷たいと思っていたのに。

この光は、全てを包みこんでくれた。

でも、何故だろうか?

どうして、こんなにも悲しく、切ないのだろうか?

何故、そんなに悲しそうな表情をするのだろうか?

「それを繰り返して、何故無力だと気付かない」

神々しい光と残酷な言葉が同時に降り注ぐ中、周囲の“ノヴァ”が微かに揺らめく。

普段であれば、対して気にしない程度の変化。それ程よくある変化であり、違和感はない。

ただ、この状況下で、この違和感は道標だ。どんな状況であっても、道標を辿っていけば、道になる。

「思い出しなさい、柊凪。貴方が、何を誓ったのか」

その輝きが、ますます強くなる。

それでも、俺は動くことが出来なかった。

俺は、彼(・)女(・)を知っている。

いや、知っていたと言ったほうが正しいだろう。

「――終わりです」

彼女は、何を告げ、何を謳うのだろう。

俺には、それを知る由もない。

いや、知る権利すらもないのだろう。

彼女は、俺達には届かない存在なのだから。


「目が、覚めましたか?」

意識が戻ると、すぐ近くに誰かの気配を感じた。

恐る恐る目を開けると、まっすぐ流れる銀の滝が視界に飛び込んできた。

「貴方は」

「私の名前は、セロ。この世界の、神の1人です」

凛々しく整った顔立ちをした女性。

よく見ると、右目が紅く、オッドアイだということが分かる。

というか、整った、で済ませれるほど俺は落ちぶれていない。

どう表現するのだろう?言葉すら思いつかないが、天使だの、女神だと、そういう例え方が合っている気もするが、背中まで流れる銀髪と、彼女の雰囲気が織り成す空間は、幻想的で、儚いと例えるのが正しい気がした。

そして今。

俺は、彼女に膝枕をしてもらっていた。

彼女が今来ている服は、露出が少ない巫女服。別に、そこまで焦る状況ではない。

絹だろうか、肌触りの良い布で織りなされた袴の上からでも、彼女の体温が伝わってきた。

ほとんど全ての男性が憧れるシチュエーションには違いないのだろうが、俺は驚愕とともに恐怖した。

だが、それでも困惑のほうが勝っていた。

「神の1人って」

「正確には、世界を統べる者、という意味での神です。創造主という意味ではありませんよ」

回答を聞いてから体勢を起こし(決して、しばらくこのままいたいと思ったわけではない)、彼女から離れようとしたが、既に遅かった。

「無礼よ」

「⋯⋯当主」

言葉とともに俺の喉に突きつけられたのは、氷の剣。いつの間に錬成されたのか分からないが、恐ろしいほどの早業だった。

「私が好きでやってたんです、弥来。別に、彼は悪くありません」

「ですが!」

「それに、男の人って、ああいうことが好きでしょう?」

「⋯⋯えっと?」

突然のおちゃめな言葉に、俺達は目を丸くした。

彼女のような人が、こんな事を言うなんて。

「今思えば、彼も――」

「彼?」

「何でもありません」

何故だろうか?

少しだけ、彼女が悲しそうな目をしたような気がした。

いや、悲しみだったのかも分からない。あれは――

「さて、そろそろいいですか?私にも、行くべき場所がありますので」

「え、ええ。お気をつけて」

爆発的な“ノヴァ”が放たれ、周囲の空気を弾き飛ばす。

その中心で、彼女が炎を纏ったのが見えた。

だが、次の瞬間、赤き旋風が吹き荒れたのを最後に、その神々しい姿は見えなくなってしまった。

「⋯⋯知り合いですか?」

「ええ、まあ。私の恩師です」

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