表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Justice Origin  作者: 黒雨星狩
第二章「衝動は、その身を焦がす」
PR
21/31

第二章「衝動は、その身を焦がす」2話

「秋宮冥だ」

隙がない。

それが、彼女への第一の印象だった。

そして、その印象も、すぐに塗り替えられることとなる。

「陛下、お久しぶりでございます」

「久しぶりだな、校長」

「⋯⋯陛下?」

この国は、一応現在、王政によって成り立っている。とはいえ、そこまで権力が強いわけではない。

だが、名前ぐらいは知っている。

その中に、秋宮という名字を持つ者も、メイと名が近い者も、誰一人として存在しなかった。

「柊様、ご紹介します。こちら、“ノヴァ”の研究の第一人者であり、この学校の副校長を努められ、柊様が通う北嶺音学園の理事長を努められております、秋宮冥様です」

「⋯⋯はへぇ」

思わず、変な声が出てしまった。

聞いたことがある。

“ノヴァ”を普通の人間でも使えるようにならないか、“ノヴァ”の研究を進め、その頂へと登り詰めようとした、1人の女。

その天才的な頭脳と、“ノヴァ”の暴走者を沈めるほどの戦闘力を持っていることから、ついた異名は、女帝。

「へぇ?うちの学園の生徒だったんだ?何年生?」

どうやら、俺の名前は知っているのに、それ以外は知らないらしい。

「新入生です。お初にお目にかかります、秋宮理事長」

ここでは敢えて、学園の生徒という立場で名乗り出る。そうした方が、コネクションが作りやすいからだ。

「私の名は、どこで聞いたことがあるのでしょうか?」

「いや、何。さっきまでの会話を聞いていたからね。分かって当然だよ、当然」

自慢するでもなく、それが出来ないほうが可笑しいといった態度で、会話を進める。

「君も、普段の喋り方に戻したらどうだ?私は仮面が嫌いなんだよ」

「⋯⋯なるほどな」

恐らく、自分より遥かに上の立場の人間だ。

〈SDK〉で精鋭部隊の副隊長を務める俺より、よっぽど優秀で、世界に貢献できる存在。

そんな相手に、タメ口で話すのは抵抗があったが、こちらにしないと、恐らく会話が進まないだろう。

よって、自然体で話す。

「柊凪は、妹さんがいる。その妹さんは、異能者だ。ここまでは間違いないかい?」

「ああ、間違ってない」

「そして、無火川(むかがわ)は、異能者への対応で困っている」

「ええ、その通りです」

両者の主張を被せ、リスクとリターンを探していく。

「真正面から介入するのは、バカのやることだ。でも、人間はバカでねぇ?バカが何しても、バカには分からないんだよ」

この人、価値観がとち狂っている気がする。

どんな環境で生きたらこうなるのか。

「介入するには、大義名分が必要だ。そして、私はその2つを持っている」

どこに‘その’が掛かっているのかは不明だが⋯⋯いや、文章がよくわからないことを言っている気がする。

「1つ目は、いじめなどの対処として、容疑者を一掃する。これは、理由としては強いけど、そこまでの効力は有さない。集団にも効きにくいしね」

ついにこの人、容疑者とか言い始めちゃったよ。

「2つ目は、私が、観察対象として見張りを立たせ、実験を行っている体で、卒業まで乗り切る。こっちは、理由としても強いし、効力も結構あるはずなんだけど、ここを卒業してから、ずっと続く可能性もある」

「⋯⋯なるほど」

「両立は難しいだろうね。他に意見は?」

この場の支配者は、間違いなく彼女だ。

そして、その頭脳に対抗できるほどの人材は、この場にはいない。

「⋯⋯特にはない」

「だろうね」

正確には、他にもある。

ただし、前例付き。

それ故、結果が分かりきっている。これは、覆せない。

「どれを選ぼうと、君たち次第だ。君の妹さんに、どこまでの覚悟があるのか。それに限るね」

それともと、話を続けようとする彼女の言葉を、俺は遮る。

無論、空気が読めないとかではない。何を言うのか分かった上で、口を開いた。

「俺は、美夢が幸せであることを望みます。異能者であったとしても、普通の人間と変わりないので」

我ながら、綺麗事を言っている自覚はある。

でも、決して間違っていないはずだ。

「そんな答えはない、あるとすれば、地獄だけ、そう言ったら?」

「⋯⋯覚悟は、ずっと前から決めてます」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ