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Delusion  作者: とればぁ
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4

 ロッカーの鍵を解除できなくて結構焦っていたので、ここは素直に助けを求めようか。


「ロッカーの鍵を解除できなくて、困ってるんだ…助けてくれないかな…」


「うん、大丈夫だよ。じゃあパスワードを教えてくれる?」


 彼女にパスワードが書かれた紙を渡す。そうすると、彼女は俺が何回も失敗してたのが嘘みたいに一瞬でロッカーの鍵を解除し、ロッカーの扉を開けてみせた。なるほど…これがベテランの力か。俺めっちゃ恥ずかしいじゃん、早く慣れよ…


「あ、ありがとう…すごく助かったよ」


「どういたしまして、そういえば君転校生?今まで見たことないと思うんだけど…」


「あ、うん…そうなんだ。今日が学校転校してきたばかりででさ…」


 俺がそう言うと彼女はへぇ、そっか、とにこやかな表情のまま呟く。


「あっ、そろそろ授業に向かわないと!君次何のクラスなの?」


「次はアートのクラスだよ」


「私アートのクラスの前通るから、そこまで送っていくよ」


 それは心強い…俺一人だったら迷子になりかねない。二つ返事で了承し、共に歩みだす。スマホで時間を確認してみると、授業が始まるまで2分程しかなかった。俺を助けた所為で彼女まで授業に遅れてしまうのは申し訳ないため、いつもより早歩きで廊下を歩む。


「次のクラス近いから、そんなに急がなくて大丈夫だよ。」


 あ、俺が早歩きしていたのに気づいたんだ…なんだかちょっと恥ずかしいな…


「私はアンバー、君の名前は?」


「あぁ、俺はサムだよ」


「サム、いい名前だね。

よろしくね」


 そう言って手を差し伸べられる。あぁ、握手か…

 自分も手を差し出し、手を握る。握手だなんて律儀な子だなぁ…俺は今まで学校で握手なんかしてる奴ら見たことがないぞ…


「あ、ここがアートのクラスだよ、それじゃ、また後で話そうね!」


 手を振りながらそう言うと、彼女は次のクラスへと向かってしまった。

 なんて優しい子なんだ……世界中が彼女であふれかえっていればきっと世界は平和だろうな。

 おっと、ベルが鳴る前に教室に入らなくては。学校初日から遅れるわけには行かない。

 俺は教室のドアを開け、中を見渡す。アートのクラスはそれぞれの机に4人座れるようになっている。みんな友達や仲のいい日と一緒に座っていて、ほとんどの席はもう埋まってしまっている。俺はこういう状況が大嫌いだ…

 うるさくなさそうで、いじめてこない人の机に座りたいが…


 一番左奥の机が目に入る。席が二つ空いてるし、なんだか座ってる二人は大人しそうじゃないか、って…

 見覚えのある人物が目に入り、体が固まる…

 あの黒いフードの奴、朝のバスの不機嫌そうな奴じゃないか! 同じ学校だったなんて、知らなかったぞ…乗り換えのバスは複数あるから、別の方に乗ったのか…?

 な、なんだがあいつと同じ机に座るのは嫌だが、まあ仕方ない…我慢しよう。

 俺はゆっくり左奥の机に向かって歩き出した。フード男子の斜め反対側には何やら難しそうな本を読んでいる黒縁眼鏡の女子が座っていた。俺はその女の子の隣に座らせてもらうことにした。俺がゆっくり腰をかけると、隣の女子が一瞬横目でこちらを見たが、すぐに本に視線を戻してしまった。


 うわぁぁ…何か挨拶した方が良かったか?無言はさすがに気持ち悪いよなぁ?絶対ファーストインプレッション最悪じゃん…もう最悪だ…と思考を巡らせていたところで先生の授業を始める掛け声が聞こえたので先生の話に集中することにした。

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