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Night with a full moon Ⅰ
『この男を知っているか』
そう聞いて、何年経っただろう。
男の顔を写している1枚の写真も、以前は綺麗だったのが、何年も四つ折りに畳んでいるから、折り目に沿って所々切れていた。
わたしが探している男は、まだ幼かったわたしの目を奪った人物だ。
だが、聞く度に答えは「いいえ」だった。
それもそのはず、情報屋から聞いた話によると、写真に写っている男は、極めて交流関係が少なく、男を知っているごく少数の人も、みんな行方不明や、謎の死を遂げているからだ。
夜も更けてきた頃、わたしは大通りから抜けて、路地に入った。その路地は少し続いており、空の木箱や、酒の瓶などが無造作に転がっていた。
路地の隙間からは、満月が石畳の地面を照らしていた。
わたしはいくつかある空の木箱の1つに座り、月を眺めた。
「今日も、収穫はなかったな」
月に男の写真を翳して呟いた。
「どこにいるんだよ、父さん」
路地の奥から数人の影が出てきた。
わたしはまだ、気づかない。
Night with a full moon Ⅰ the end.
And to be continued...




