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DUST & CREDIT  作者: てきてき@tekiteki


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第21話 地下の秘密ラボ(後編)

Anneは犬型ドロイドをじっと見つめる。


赤いセンサー。

四本の脚。

機械式の関節。

そして、頭部の構造。



Anne「……」



犬型ドロイドもAnneを見ている。

数秒。


Anneは、ゆっくりとしゃがみ込んだ。



Yajii「……は?」


Kitterr「おい、何してるんだ?」



Anneは犬型ドロイドへ手を伸ばす。



Kitterr「おい、Anne!」


Anne「問題ありません」



そして、そっとその頭に触れた。


 カツン。


硬い金属の感触。


Anneは、そのままゆっくりと撫でる。



Anne「良い子ね、あなた達」



犬型ドロイドは動かない。

赤いセンサーが、二度ほど点滅した。


Anneはもう一度撫でる。



Anne「良い子」



犬型ドロイドの身体から、わずかに力が抜けた。

四本の脚がゆっくりと折れる。


そのまま、その場に座った。



Yajii「……え?」


Kitterr「……は?」



二人とも言葉を失う。

Anneは犬型ドロイドの頭を撫で続ける。



Anne「良い子ね」



犬型ドロイドが、わずかに首を傾げる。


 カクン。



Yajii「……犬だな」


Kitterr「機械だ」


Yajii「でも犬だぞ」


Kitterr「機械だって」



その間にも、別の犬型ドロイドがAnneへ近づいてくる。



Anne「あなたもですか?」



犬型ドロイドが立ち止まる。

Anneは手を伸ばす。



Anne「良い子」



頭を撫でる。

また一体。



Anne「良い子ね」



さらに一体。



Anne「良い子」


気がつけば、先ほどまで三人を取り囲んでいた犬型ドロイドたちは、Anneの周囲に集まっていた。


一体は座っている。

一体はAnneの横に伏せている。

別の一体は、頭をAnneの手元へ差し出している。



Yajii「……なんだこれ」


Kitterr「知らん」


Yajii「さっきまで殺されそうだったよな?」


Kitterr「そうだった」


Yajii「なのに……」


Anne「良い子ね」



犬型ドロイドが、Anneの手に頭を押しつける。



Yajii「完全に懐いてるじゃねえか!」


Kitterr「だから機械だって言ってるだろ!」



Anneは二人を見る。



Anne「敵性行動は停止しています」


Yajii「そういう話じゃない!」


Anne「では、何の話ですか?」


Yajii「……」



Yajiiは犬型ドロイドを見る。



Yajii「ああ、これ、売れないかな?」


Kitterr「お前はほんと、そればっかりだな!」


Yajii「だって犬型ドロイドだぞ?」


Kitterr「正体不明の警備ドロイドを売ろうとするな!」


Yajii「でもさ、結構きれいだぞ」


Kitterr「そこじゃない!」



Anneは、また一体の頭を撫でる。



Anne「良い子」



犬型ドロイドは大人しく座っている。



Anne「あなた達は、ここで何をしていたのですか?」



当然、返事はない。



Anne「警備ですか?」



一体の犬型ドロイドが、わずかに頭を動かした。



Anne「そうですか」


Yajii「会話成立してるのか?」


Kitterr「してねえよ」


Anne「もう攻撃しないでください」



犬型ドロイドたちは動かない。



Anne「お願いしますね」



しばらくして。

一体が、ほんの少し頭を下げた。



Yajii「……今、頷いたよな?」


Kitterr「たぶん」



Anneは、その犬型ドロイドを見つめる。



Anne「ほら、良い子」



再び、その頭を撫でる。



Yajii「Anneって、犬の扱い上手いんだな」


Anne「犬ではありません」


Yajii「でも犬じゃん」


Anne「機械です」


Yajii「首傾げるぞ」


Anne「機械です」


Yajii「懐いてるぞ」


Anne「機械です」


Kitterr「そこは譲らないんだな」


Anne「当然です」



Anneが立ち上がる。


すると。

犬型ドロイドたちも、一斉に立ち上がった。


 カシャ。


 カシャ。


 カシャ。



Yajii「……」


Kitterr「……」



犬型ドロイドたちは、当然のようにAnneの後ろへ並ぶ。



Yajii「Anne」


Anne「はい」


Yajii「こいつら、どうするんだ?」


Anne「同行するようです」


Yajii「なんで?」


Anne「私についてくるようです」


Yajii「いや、それは分かるけどよ」


Anne「ちょっとだけ、仲良くなりました」


Yajii「そこだけ急に普通の女の子みたいに言うな!」


Kitterr「もういいだろ」


Yajii「よくねえよ」



Anneが歩き出す。

犬型ドロイドたちも、その後ろをぞろぞろとついていく。


YajiiとKitterrは、その光景を見ながら顔を見合わせた。



Yajii「……なあ、Kitterr」


Kitterr「ん?なんだ」


Yajii「俺たち、ゴミ拾いに来たんだよな?」


Kitterr「そうだ」


Yajii「なんで犬を連れて歩いてるんだ?」


Kitterr「知らん」



Anneが振り返る。



Anne「この子達、とても良い子ですよ」



犬型ドロイドたちが、一斉にAnneを見る。


そして――

全員が同じように首を傾げた。


 カクン。



Yajii「……」


Yajii「やっぱり犬だろ、これ」


Kitterr「だから機械だって」

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