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DUST & CREDIT  作者: てきてき@tekiteki


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第15話 滑って行く(後編)

 斜面は、まだ終わらない。


 ズザザザザ――!


YajiiとKitterrは、Anneの身体を左右から支えていた。

だが、三人とも滑り続けている。



Yajii「これ、いつまで続くんだ!」


Kitterr「知るか!」


Yajii「Anne!」


Anne「はい」


Yajii「出口は!」


Anne「現在、確認できません」


Yajii「確認できねえのかよ!」


Anne「視界が安定しません」


Kitterr「そりゃそうだろ!」



三人の身体が大きく跳ねた。



Yajii「うわっ!」


Kitterr「くっ!」


Anne「……」



Anneの身体が、二人の腕の中で傾く。



Yajii「Anne!」


Yajiiが肩を抱き寄せる。


Kitterr「足、浮いてるぞ!」


Anne「……」



Anneは足を動かそうとする。

しかし一度、足を置こうとしてわずかに遅れる。


 ズルッ。


身体がさらに傾いた。



Kitterr「危ねえ!」



KitterrがAnneの腰を支えた。



Yajii「無理に立とうとするな!」


Anne「ですが……」


Yajii「今のお前、自分で立ててねえぞ!」


Anne「……確認しました」


Kitterr「確認したって顔じゃねえだろ」


Anne「顔に何か問題がありますか?」


Kitterr「いいや、そういう意味じゃねえ!」


Yajii「もうとにかく、俺たちに掴まってろ!」


Anne「分かりました」



Anneの腕が、Yajiiの肩に回る。

反対側をKitterrが支える。

三人は、ひとつの塊のようになって斜面を滑っていく。



Yajii「重くねえか?」


Kitterr「お前が聞くなよ!」


Yajii「俺は平気だ」


Kitterr「俺も平気だよ!」


Yajii「じゃあ大丈夫だな!」


Kitterr「何がだよ!」


Anne「二人とも、体力の消耗が増加しています」


Yajii「今それ言う?」


Anne「重要な情報です」


Kitterr「分かってるよ!」


Anne「……」



Anneの頭が、わずかに揺れる。



Yajii「Anne?」


Anne「……はい」


Yajii「眠いのか?」


Anne「眠気はありません」


Kitterr「じゃあ何だ?」


Anne「処理速度が低下しています」


Yajii「どれくらい?」


Anne「通常時と比較して――」



Anneが一瞬、言葉を止める。



Anne「……計算に時間が必要です」


Yajii「そこまで遅くなってんのか」


Anne「はい」


Kitterr「やっぱりエネルギーがかなり減ってるんだな」


Anne「推定では、残量低下が主因です」


Yajii「だったら、もっと俺たちに任せろ」


Anne「しかし――」


Yajii「いいから」


Anne「……」


Yajii「拾ったんだからな」


Kitterr「またそれか」


Yajii「大事だろ」


Kitterr「……まあな」


Anne「……拾った」


Yajii「そうだ」


Anne「持って帰る」


Yajii「そういうことだ」


Anne「……分かりました」



Anneは、それ以上何も言わなかった。

二人に身体を預ける。


その直後、斜面の先に、暗い空間が見えた。



Kitterr「おい!」


Yajii「何だ?」


Kitterr「先、開けてるぞ!」


Anne「……確認します」



Anneが顔を上げる。

目が淡く光る。



Anne「前方、空間が広がっています」


Yajii「止まれそうか?」


Anne「速度を考慮すると――」


Anneが斜面を見る。


Anne「止まることは困難です」


Yajii「だよな!」


Kitterr「だったら覚悟しろ!」


Yajii「何の!」


Kitterr「着地の!」


Yajii「それ、俺が一番聞きたくねえやつ!」



 ズザザザザザ――!


三人の身体が、さらに加速する。

斜面の終わりが近づく。



Anne「……」



Anneの身体が、また傾いた。

今度は自力では戻せない。



Yajii「Anne!」


Kitterr「こっちだ!」



二人が同時に支える。

Anneの身体を中央に戻す。



Yajii「あと少しだ!」


Kitterr「最後まで離すなよ!」


Anne「……はい」



そして三人は暗い空間へと飛び出した。


 ズザァァァッ!


――それでもまだ、地下の底は見えなかった。


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