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DUST & CREDIT  作者: てきてき@tekiteki


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第10話 とりあえず、雰囲気が悪い【前編】

 通路の奥から、武装した男たちが姿を現した。

YajiiとKitterrは、ようやく足を止める。


前方。

薄暗い通路の中に、複数の男たちが立っている。

その手には、明らかに作業道具ではないものが握られていた。


Yajii「……」


Kitterr「……」


二人は顔を見合わせる。


Yajii「なあ」


Kitterr「なんだ?」


Yajii「やっぱり、あれ武器だよな?」


Kitterr「たぶんな」


Yajii「じゃあ、俺たちに用があるのかな?」


Kitterr「他に誰がいるんだよ」


Yajii「Anne?」


Kitterr「三人しかいないだろ」


Yajii「そうだった」


Anneは、二人より少し前に出た。


表情は変わらない。

視線だけが、静かに動いている。


追ってくる男たち。


人数。

距離。

装備。

移動経路。

さらに、その背後。

別の通路。


そこにも人間の反応がある。


Anne「……」


Yajii「どうした?」


Anne「状況を確認しています」


Kitterr「何人いる?」


Anne「前方の武装した人間は八人です」


Kitterr「八人……」


Anne「三方向から接近しています」


Yajii「三方向?」


Anne「はい」


Yajii「八人で?」


Anne「八人です」


Yajii「俺たち三人なのになんか多くない?」


Kitterr「俺たちの人数なんか、相手には関係ないいんだよ」


Yajii「そんなもんか?」


Anne「装備も確認しました」


Kitterr「装備?何を持ってる?」


Anne「ブラスターが四丁」


Anne「電磁警棒が四本です」


Yajii「ああ……」


Kitterr「ああ……」


Yajii「ブラスターって、あの、撃つやつだよな?」


Anne「はい」


Yajii「電磁警棒って?」


Anne「接触した対象へ電磁パルスを流し、神経系または電子回路へ――」


Yajii「いや、説明はもういい」


Kitterr「まあそこは、説明しなくてもな」


Anne「分かりました」


Yajiiは前方の男たちを見る。


Yajii「しかしまあ……」


Yajii「八人か」


Kitterr「そうだな」


Yajii「Anne」


Anne「はい」


Yajii「そういえばお前、さっきからエネルギーがどうとか言ってただろ?」


Anne「はい」


Yajii「それって、どんなもんなんだ?」


Anne「私を動かすエネルギーです」


Yajii「いや、それは分かる」


Kitterr「いいや、分かってないだろ」


Yajii「へー、じゃあKitterrは分かるのか?」


Kitterr「そりゃあ、分からん」


Yajii「ほらな」


Kitterr「おい、そこで勝ち誇るな」


Yajii「いや、気になってよ」


YajiiはAnneを見る。


Yajii「エネルギーってのは、電気みたいなもんか?」


Anne「少し違います」


Yajii「じゃあ電池?」


Anne「それとも異なります」


Kitterr「違うのか?」


Anne「はい」


Yajii「じゃあ何なんだ?」


Anne「説明するには、原子から説明する必要があります」


Kitterr「原子?」


Anne「物質を構成する最小単位の一つです」


Yajii「ええ!?そこからかよ」


Anne「原子には原子核があり、その内部には陽子と中性子があります」


Kitterr「……」


Anne「原子核には結合エネルギーが存在し、その状態が変化すると――」


Yajii「待て」


Anne「はい」


Yajii「もう分からん」


Kitterr「うん、俺もだ」


Anne「……」


Anneは二人を見る。

二人とも、完全に置いていかれている。


Anne「簡単に言えば、私は通常の電力とは異なるエネルギーを使用しています」


Yajii「最初からそれでいいじゃねえか」


Kitterr「そういうことだな」


Yajii「で、それが今、少ないってことなのか?」


Anne「はい」


Yajii「あとどれくらい?」


Anne「正確な数値を提示します」


Anneの目が淡く光る。

内部の状態が確認される。


Anne「エネルギー残量、低下。残りは10%」


Kitterr「つまり?」


Anne「このまま活動を続ければ、機能停止する可能性があります」


Yajii「……」


Kitterr「……」


Yajiiは前方を見る。

それから後ろを見る。


Yajii「それ、結構まずいんじゃねえか?」


Anne「はい」


Yajii「じゃあ、もし戦ったりしたら?」


Anne「推奨しません」


Kitterr「なんで?」


Anne「エネルギーを消費します」


Yajii「どれくらい?」


Anne「状況によります」


Yajii「……」


Kitterr「……」


Yajii「なるほど」


Kitterr「分かったのか?」


Yajii「全然わからん」


Kitterr「だろうな」


Anne「ですが、今はそれ以上に問題があります」


Yajii「何だ?」


Anneは前方を見る。

武装した男たち。


そして後方。

迫ってくる追跡者。

さらに遠くには警備員の姿。


Anne「退避を推奨します」


Yajii「……」


Kitterr「……」


Yajiiはもう一度、前方を見る。

それからやっぱり後ろを見る。


Yajii「とりあえず逃げろって事だ」


Anne「はい」


Kitterr「最初からそう言えよ」


Yajii「でもよ」


YajiiはAnneを見る。


Yajii「その原子核がどうとかって話」


Anne「はい」


Yajii「ちょっと気になる」


Kitterr「お前、まだ聞くのかよ」


Yajii「だって途中で終わっただろ」


Anne「続きが必要ですか?」


Yajii「必要だ」


Yajiiは前方を──、以下略。


kiterr「まあ落ち着けよ」


Yajii「うるせえ!Anne、上手く逃げ切れたら、続きを教えてくれ!」


Anne「分かりました」


Kitterr「そうだな、逃げ切れたらな」


Yajii「よし!」


Yajiiは走り出した。


Kitterr「おい!」


Kitterrも追いかける。

Anneは二人の後ろについた。


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