24 作戦。
俺は自分から前に出た。
バンガオが構えた。その構えを見て俺は目を細めた。隙だらけに思えたのだった。
バンガオの構えは槍を持つことが前提の構えに見えた。腕は拳こそ握っているものの下がっていて、顎や顔面を守るものがなかった。脚も大きく前後に開いていて、前後への移動はしやすいかも知れないが、左右への移動はワンテンポ遅れそうに見えた。
なにより、その構えは「槍」という迎撃用のリーチがある前提だった。
やれる、と思った。
その思いのまま、俺は一歩踏み込んで、ローキックを放った。
見よう見まねだったが、アルカスの身体の運動能力は高く、さらに熱の訓練によって身体の隅々まで把握出来ていて、身体操作が著しく向上していた。
初めて放ったローキックは完璧だった。キックボクサーのように腕を大きく上げたアップライトスタイルから放たれた熱で破壊力が増したローキックが、バンガオの左脚に決まった。パンという破裂音が響いた。
「む」
同時に俺は元の位置まで下がる。
バンガオは躱す動作はまったく見せなかった。そもそも俺の攻撃が想像外のものだったようだ。
再び俺は踏み込みローキックを放った。また当たった。
バンガオが近づいてこようとすると、その脚にローキックを放ち、それから俺が下がる。
それを繰り返しているとさすがに嫌がったのか、バンガオは距離を取った。一歩踏み込めばキックが当たる位置よりも離れて立つ。
「なんだその技は」
「なんですかね?」
会話をしながら様子を探る。バンガオのズボンの布はかなり粗布で、いまその中の脚がどういう状態なのかはわからないがそれなりにダメージが蓄積されていると思われた。本来、俺の体格体重ではろくなダメージなど与えられるはずもないが、熱が込められている以上その常識は当てはまらない。たぶんあのローキック一発に込められた熱で普通の木くらいならぶち折れると思うのだ。それを何発も受けて立っていられるのが不思議と言えば不思議だが、とりあえず繰り返すしかなかった。
俺がゆっくりと近づくとバンガオが同じ距離を保ったまま下がった。
人垣からどよめきというか嘆声というかが漏れ出た。
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