12 邪魔者。
俺とマイアは抱き合ったまま固まっていた。
誰かが家の中を覗き込んでいるのはわかったが、逆光でそれが誰かまったくわからなかった。
「マイア、いるの?」
マイアがビクッと立ち上がった。脱ぎ捨てられた服を手に取ってそれで身体を隠しながら、俺を隠すように前に出る。全裸なのに。相手は声で女の子なのはわかっていたのだろう。
「セゴ?」
「うん。そうだけど、具合悪い? 大丈夫?」
マイアはぶんぶんと手を振った。
「あ、うん。ぜ、全然大丈夫」
「じゃあ、昼なのになんで寝てるの?」
「あ、えーっと、ちょっと眠くて。あ、そうだ。昨日、お祭りのことを考えて寝れなくなったの! だから寝不足なの!!」
「ふぅん」
セゴと呼ばれた少女は、興味深そうに家の中を見回した。当然、俺とも目が合って、俺は「ちっす」という感じで頭を下げた。俺の下半身辺りに視線が長時間止まったように思えたのは考えすぎだろうか。だが幸い俺の下半身は藁に埋もれていたからばれていない、はずだ。
マイアが顔を赤らめながら、
「……で、どうしたの? なにかあったの?」
「あ、そうだった。せっかくの機会だから選抜の儀前の子供達で集まって自己紹介がてら遊ぼうって」
「え? なんで? 今さら自己紹介って」
「私たちは同じ場所で作業しているからおしゃべりとかして仲良くなるけど、男の子はバラバラの場所で親と農作業だからよく知らないらしいんだよね」
「あ、そうか……そうなの?」
聞かれて俺は答えた。
「うん。あまり知らない」
俺にしてみれば村の防衛関係で大人の方が知り合いが多いくらいだ。
「わかった。ありがとう。すぐ行くよ」
「郷の東側にいるから! 待ってるよ!」
「うん」
セゴがいなくなり、戸の代わりの粗布が降ろされ、再び薄暗闇が家に戻った。
家の中には二人きりだった。
暗闇の中、俺とマイアは向きあった。親密な空気が戻った。
マイアが胸の前に服を持っていることで、脱いだ服越しに見るマイアの裸体の扇情感が増していた。下半身に血が集中してくるのがわかった。俺はつばを飲み込んだ。
その直後、突然、戸の代わりの粗布がめくられて、
「急いでね!」
セゴの再登場だった。死ぬほど驚いた。なんて奴だ。物凄い笑顔だったから完全にわかってやってる嫌がらせだった。
セゴはそれだけ言って、邪魔をするだけして今度こそ去って行った。
俺は悔しくて心の中で血の涙を流した。
だが時間はなかった。
マイアは少し照れた感じで、
「……いこっか」
「うん」
選択肢は他になかった。耐え難きを耐え、忍び難きを忍び、俺たちは服を着て、後ろ髪を引かれながら手を繋いで郷の東側に向かった。
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