走行中、軽トラ女子
今夜はカマンベールフォンデュ。
うすーくスライスしたバゲットとブロッコリー。
そしてお馴染みのシャ○エッセン。
玉ねぎのみじん切りとアンチョビペーストと黒胡椒で、ハイボールを飲んでいく。
人魚のサーデインが仲間入りした翌日。
いまだに境界線には着かない。
軽トラちゃんの車内ではナビちゃんとサンちゃん(《アタシを呼ぶなら、サンディかサンちゃんって呼んでよね!》と言われた)が、私には理解出来ない女子トークを繰り広げていた。
《やっばり、ペール系のピンクやブルーが好きかな》
《とてもよくお似合いだと思います。ですが、オフホワイトもサンディさんのイメージに合いますよ》
《えー、アタシってお姉さん系もイケる?》
《はい。ガチはまりしそうです》
………さっぱり分からん。
てか、サンちゃんはどこで地上のオサレ知識を仕入れていたんだろう?
私はひたすらふたりの会話を聞き流しながら軽トラちゃんを前に進ませている。
《戸倉様。前方1キロメートル先に敵影を確認》
「了解。このまま軽トラちゃんでダイレクトアタック、おけ?」
ブッブッブー
お、軽トラちゃんも気合い充分だね。
見えてきたのは狂暴そうな、お猿。
6匹?6体?が、ウホウホ言いながら飛び跳ねている。
《クレイ猩々です。打撃では何度も再生してくる魔物です》
《うわぁ、面倒くさそう。しかも顔がキョーアクだよぉ》
「んじゃあ、軽トラちゃんで轢いたら全速で突き抜けよう!」
パカパカブッブー
……
………
…………
《ねぇねぇ、ケーコちゃん》
「ん、何?」
《今更なんだけど、何で境界線なんかに行こうとしてるの?》
「一言で答えるなら、ロマンだからかな。」
見たこと無い物を見に行く。
誰も興味が無くでも、自分が気になったことは確かめに行く。
これをロマンと言わずして、なんと言おう。
《アタシはロマンよりロマンスが良いなぁ》
「へぇ……。サンちゃんはどんなロマンスに憧れてるの?」
ちょいちょいぶっ込んでくる健全な女子的思考に、白目状態になる。
なんだろ、中高生時代を思い出すなぁ。
あの頃からアニメ好きなみーちゃんと軽トラ好きな私は、他の女子生徒とは1枚も2枚も壁を隔てて学校生活を送っていた。
まぁ、田舎だったからか壮絶な苛めは無かったけど。
どことなく、微妙な空気はお互いに感じていたと思う。
《えぇぇぇ!アタシのタイプはぁ……普段は俺様系なんだけどぉ、時折頭をぽんぽんしてくれるようなヒトかなぁ?もー、何言わせるのケーコちゃん!!!》
「………さよか。出会えると良いね。」
《で、で。そういうケーコちゃんは、どんな男子が好きなの?》
《それは私もお聞きしたいと思っておりました。サンディさん、グッジョブです》
は?
何でこっちに被弾するの?
「えぇと、……ノーコメントで。」
《ダーメ!》
《駄目です》
サンちゃん《逃がさないよ、ケーコちゃん》
ナビちゃん《きりきり答えて下さい》
軽トラ女子「ちょ、今は運転中だからね。あんまりちょっかい掛けないで!?」
軽トラちゃん「楽しそうだなぁ。」
軽トラ女子「いや、助けて軽トラちゃん。」




