感謝される、軽トラ女子
年末調整の時期になってきました。
いまだに細かいことは理解出来ずにいる、ダメな大人です。
「それじゃ、馬車と乗ってる人たちを出して。」
《畏まりました》
ピンポーン
《馬車と馬、御者、積み荷が排出されます。ご注意下さい》
きゅるるるるるぅ
ぶよよよん
《無限収納からの排出が完了しました》
《またのご利用をお待ちしております》
なんなんだろ、またのご利用って。
運転席から降りて馬車に近づく。
馬も御者も状況が理解出来ないでいるようで、微動だにしない。
「あのぅ、怪我とかありませんか?」
「はっ!えと……あれ、え?」
「あ、ゆっくりで良いです。あなたを襲っていた魔物は私たちが排除……って言って良いのかどうなのかは微妙なんですけど、もう大丈夫なんで。」
馬車を操っていたのはおじさん。ややインテリっぽいけど、くたびれた感じの。
まぁ、魔物から逃げなから馬車を走らせていたのなら仕方ないか。
「貴女が助けて下さったのですか?」
「まぁ、一応。」
ナビちゃんと軽トラちゃんの手柄だから、ホント微妙なんだけど。
「ありがとうございました。比較的弱い魔物しか居ないこの街道で、まさか変異種に襲われるとは思いもよりませんでした。」
「あ、やっぱり変異種だったんだ。」
『主人公はね、特殊なユニーク個体とか変異種のモンスターに何故かよく出会うんだよ』
なんとなく、みーちゃんの異世界モノ談に良くない事だけ該当してる気がする。
移動途中の馬車襲撃だとか特殊個体だとか。
今度時間に余裕が出来たら、みーちゃんが言ってた事を書き出して纏めとこう。
「私は、ルーゼンの街で役人として勤めさせて頂いておりますジリアと申します。」
あ、自己紹介が始まった。
「はぁ、お役人さんですか。」
「この先の漁村に魔物が現れて村人が被害を受けているとの報告が有り、その調査に向かっていたのですが……。」
「途中で魔物に襲われた、と。」
「はい。恥ずかしながら。」
「護衛はつけなかったのですか?」
「えぇ。先程も申し上げたとおり、この辺りの魔物なら対処は可能だと判断したものですから……」
これがお役所仕事ってやつか。
安易な予想と経費削減を優先した過小な想定の結果。
どこも変わらんな。
最悪な事態は起こってからじゃないと対策をしない。
「何かお礼をさせて頂きたいのですが、そのう……積み荷は全て漁村への支援物資でして。出来ましたら、ルーゼンの街に帰還してからあらためてお礼に伺いたいのですが。」
あ、一応漁村の為に動いてたんだ。
だったら……
「お礼とかはいいです。そちらを襲っていた魔物は私が貰っちゃったので、それでチャラにして下さい。」
《戸倉様、宜しくのですか?折角、確実に現金を入手出来る機会ですのに》
「いーの、いーの。元々、お役所って苦手だからあんまり関わりたくないし。」
《元の世界で何かありましたか?》
「まぁ、ね。」
何となく居心地が良くないんだよね、役所。
田舎の方じゃ所謂鶴の一声で入った人も少なくないみたいだし、明らかに人を見下した様な態度の職員も居た。
愛想良くしろ、とは言わないけど
せめてこちらの話は最後まで聞いてから物事を進めて欲しいものだ。
軽トラちゃん「ボク、みんなにお尻向けたまんまなんだけど。」
ナビちゃん《私には前後左右関係ありませんので問題もありません》
軽トラちゃん「いーなぁ。動いちゃおっかな。」




