牡蠣料理と、軽トラ女子
キッチンカーを見掛けると、ついついそばに寄って行きたくなります。
焼き鳥、食パン、ピザ、バームクーヘン、たこ焼き。
地元のお祭りが2年間中止になってるから、屋台が恋しいのかも。
《牡蠣は生に限るって思っていたのに……》
「美味しいーーー!!!」
いくら耳を塞いだとはいえ、至近距離で声出さないでサンちゃん!
鐘5つ半頃、トリノスの食堂スペースで晩ご飯を食べ始めた。
ボスさんにお願いしていた牡蠣は、大粒のやつは生牡蠣か焼き牡蠣の選択制。
私は生でレモンも酢もかけずに素材の味を大切に。
サンちゃんは生でレモンをチョイスした。
でも私たちが驚いたのが、小粒の牡蠣。
「牡蠣のベーコン巻かぁ。久しぶりに食べたけど、昔居酒屋で食べた時より臭みが無いな。」
いや、その臭みも牡蠣ならではで好きなのは好きなんだけど。
熱を通す調理法だと、どーしても臭みが飛び抜けてて他の食材との相性が悪くなっちゃうんだよなぁ。
だからフライとキムチ鍋なんかのワンパターンになる。
でもこのベーコン巻きは牡蠣のぷりっとした食感と、牡蠣の旨味が絶妙な塩梅でベーコンに包まれている。
小さい牡蠣を丁寧にベーコンで巻き、爪楊枝で2個ずつ刺して焼いた一品。
この料理には、どんな一手間掛けているんだろ?
しかもこっちはビールにも合う!
ボスさんの料理は、どんだけ私を魅了するんだ?
《ケーコちゃん、ケーコちゃん!アタシ、ボスさんに弟子入りしたいよ!!》
「うん、私もボスさんを師匠と呼びたい。」
「じゃあ、お料理の仕方をボスさんに聞いてきますか~?」
ウェイトレスのスターシアさんが、おかわりのビールと果実水を持って来てくれた。
「え、でも今忙しい時間じゃないですか?」
「大丈夫ですよ~。ボスさんはお料理中、腕が6本くらいに増えて見えるんですよ~。本人は『……ただの錯覚だ。』とか言うんですけどね~。」
ボスさんは阿修羅か千手観音か?
ようは、それくらい素早い仕事ってことか。
「ちょぉっと待ってて下さいね~。ボスさぁぁん。」
あー、行っちゃった。
にしてもボスさんだけじゃなく、スターシアさんも謎キャラだよなぁ。
『主人公が関わる一見モブっぽいキャラクターが実は某組織の重要人物だったり、凄い過去を持ってたりするだよねぇ。だから最初はちょい役でも考察厨は全部覚えてるらしいよ。』
モブ……。
みーちゃんの説明だと、村人その1みたいな扱いなんだっけ?
でもこうやって直に顔を合わせて会話をする相手を、たとえ一回こっきりだとしてもモブとは言いたくないなぁ。
「お待たせしました~。ボスさんが言うにはぁ……。先ず牡蠣をボイルするんですけど~、そのお湯にクローブとタイムと五香粉を入れるそうなんですよ~。そうするとぉ、牡蠣の臭みが減るんですって~。後は湯切りしてベーコンで巻き巻きして爪楊枝に指して塩胡椒で焼くって言ってましたぁ~。」
「ありがとうございました、スターシアさん。」
「どういたしまして~。ケーコさんのお陰で、私も美味しい牡蠣を食べさせて貰いましたから~。」
普通にボイルするだけかと思ったら、スパイス使うんか……。
しかも五香粉なんて、普段使わない様なスパイスを。
軽トラちゃん'sキッチンのスパイスボックスになら有るかもしれないから、旅の途中にでも作ってみよう。
~晩ご飯前~
軽トラ女子「なんかアナウンスが立て続けに聞こえたんだけど!?」
軽トラちゃん「ご主人……。」
ナビちゃん《酔っ払いトナカイが急性アルコール中毒により死亡し、アイテムになりました》
軽トラ女子「まーじーかー。」
軽トラちゃん「ご主人。そんなに沢山、トナカイさんにお酒飲ませたの?」
軽トラ女子「まてまて、私は【無理な飲酒はダメ、絶対】を信条にしてるんだ。トナカイの呂律が回らなくなる前に止めたよ。」
ナビちゃん《……恐らく。戸倉様とお飲みになる前からのアルコールが残っていたのが原因でしょう》
軽トラ女子「そりゃ分からんわ!!なのに何で私にまた変な称号押し付けられんの?」




