異世界コミュニケーション、軽トラ女子
一夜干しも、みりん干しも美味しいよね。
ナビちゃんにお爺さんとの会話を任せて、私は夕食作りを再開した。
お爺さんの名前はゴローダイさんというらしい。
まぁ、私にはゴゴォガイとしか聞き取れなかったけど。
白く少し薄い(量的な意味で)頭髪、目はあんまり開いてないから何色かは分からない。
肌は皺が多いけど、色は赤褐色で老人にしては逞しくすら感じる。
ゴローダイさんはこの海岸唯一の漁師村で先祖代々元締めみたいなことをしてたそうだ。
あ、村長とは別な形の村の有力者ってやつ。
今日は天気が良いから散歩に出掛けてみたら帰り道に魔物が居て村に帰れなくなり困っていたところで私がサファ干しを焼いている煙を見て来た……とナビちゃんが通訳してくれた。
サファ干しと言えば……
「こぎゃなうみゃあほじぐお、はんぎめってぐっだばよぉ。どごぉじでこさぁてば、おずぇげぐんなばだや?」
ナビ訳(これ程美味なる干し魚は、初めて口に致しました。どのような作り方をするのか、教えて頂けませんか?)
「作り方って言われても、普通に塩を振って干しただけなんだけど。」
「んだばこぎゃんぐおば、なじじょづがっでば?」
ナビ訳(でしたらこちらのお魚は、何を使っているのでしょうか?)
「サファ肉の白身……サファギンって魔物からゲットしたアイテムの魚肉です。」
「ばふぁりん!?あげなまもぉのば、ぐえっでばが!」
ナビ訳(サファギンですって!?あのような魔物、食すことが出来るのですか!)
……なんとなく
なんとなくだけどゴローダイさんが喋ってるニュアンスと、ナビちゃんが通訳してくれた言葉の印象が違ってる気がするんだけど。
どうやらゴローダイさんの村ではサファギンに何度も漁の邪魔をされて村中が苛立っているようだ。
網を仕掛けたら網を破って魚を横取り。
釣りをしていたらバシャバシャと波しぶきをあげて嫌がらせ。
素潜りをすれば5、6匹で追いかけ回して銛をかっぱらう。
仕方なく浜辺で貝採っていたら集団で襲いかかってくる。
迷惑。
ホント迷惑だな、サファギン。
そのせいで働き盛りの男も女も村を離れ遠くの街に出稼ぎに行ってしまい、余計にサファギン達は我が物顔でこの海岸を占拠しているらしい。
《戸倉様》
「何、ナビちゃん?」
《おそらく、これは戸倉様へのクエストかと思われます》
「クエスト?」
《はい。ある一定の問題を解決すると、技術点の増加や特殊なアイテムの入手に繋がるイベントの一種かと》
「つまり、私たちがゴローダイさんの村に行ってサファギン退治をするってことか。」
困った時のみーちゃん回想
『クエストにはね、絶対失敗しちゃいけないものもあるの。結果次第ではその後のストーリーに大きく影響しちゃうから慎重に行きたいところなんだけど、受けなきゃそれも失敗扱いになるから先ずは受けてみるべし。そしてノーマルクリアよりグッドなクリアを目指そう!』
ピコン
{強制クエスト【限界集落漁村を救え】発生}
{クエストの詳細は軽トラック車内モニターでご確認下さい}
「あ、これ是非も無しなヤツだ。」
また軽トラちゃんのドリフト(血)祭り開催かぁ。
ブッブッー♪
「なじじょえ!?なじじょえ、いがのほど!」
ナビ訳(何ですか!?何なのですか、今の音は!」
そこ、喜ばない。
ゴローダイさんが驚いてるでしょ。
しかしまさか、
サファ干し
↓
サファギン
↓
サファギン退治クエスト(強制)←今ここ
とかの流れになるとは……
まぁ今日はもう遅いし、明日だ明日。
軽トラちゃん「次、出番?派手に暴れちゃう!」
軽トラ女子「すでに充分役に立ってるよ。だからあんまり派手にしないで。」
ナビちゃん《サファ肉がまた増えますね》




