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58 フロンティアにて8(備忘録9日目)

58 フロンティアにて8(備忘録9日目)


 ごはん食べたいなぁ、なんて考えながら、育児しながら朝から店番である。生まれたばかりなのにソルティアは大人しく私の膝の上で猫のように丸くなっている。なでなで。




 チリンチリンと鈴が鳴り、転生者風の連中が入ってきた。


「ほ、ホントに朧ちゃんだ。よし、この村を活動拠点にするぞ」


「りょーかいです、騎士長」


「周辺探査行ってきまーす」


「私はここでお買い物しますよ」


 何やらぞろぞろとやって来た。パーティ名は正方卓袱台騎士団(せいほうちゃぶだいきしだん)、隊長さんはナガモチさん。そして、クラン名も付いていて、卓袱台連盟というらしい。見た感じ転生者だけで構成されているみたい。このまま開拓最前線に行くつもりだろうか……。


「いらっしゃい~。騎士長さんなの?」


「は、はい。ナガモチです。宜しくお願いします……」


「……お買い物なんだね~」


「そうなんですよ」


 ソルティアがパチリと眼をあけて連中をチラリと見て、また興味なさげに首を下げて瞳を閉じた。


 なでなで。


「ヤスイヨヤスイヨー、オトクダヨー」


 なでなで。頭が覚醒してこない。




「ナガモチさん、結局隊長になったんですね」


「あ、スズカさん。バイトですか?」


「朧先生に師事している所です。そちらはユニオンを組んで探索ですか?」


「はい!やっと形になってきたんですよ。俺は騎士長とか嫌だったんですが」


 あー、掲示板にユニオンがどうのこうのって話あったね。みんなそっちで纏まってるのかな。


「これ、お会計お願いします」


 女の隊員さんがごちゃごちゃと商品を持ってきた。ふむ、なかなかお値打ち品を選んで持ってきてるね。ゲーム的に効率の良いアイテムだけでなく、生活用品などもある。ゲーム感覚だけではないようだ。でも流石に転移者だけで行くのは無謀だと思うんだけど…。ふーむ。


「隊長さん達は強いの?ここから先は凄い強い魔物が出てくるかもだよ?だめだよ~だめだよ~」

 なでなで。


「遠くには行かないので、なんとかなるかと考えてますが……その、できれば……」

 チラッチラ



 ん~?、これ、ひょっとして幼女を当てにしてんのかしら。あら、嫌だわ。こんなちっこい子持ち幼女を主戦力として連れまわす騎士様の図ですの?最強NPCをバトルフィールドに引っ張り出す。そして漁夫の利ウマウマ!みたいな事考えてるに違いない。


「騎士さん、私は道具屋さんなの……お外は怖いよぅ……ソルちゃんもいるの……ウルウル」


 ウルウルは口で表現する。ぼーとして顔の表情筋が動かねーんだもん。

 いやーソルティアちゃん柔らかで癖になる。これは良い抱き枕になる。爬虫類特有のひんやり感にかわいいまるっこいドラゴンだぞ~。ふへ~。


「そ、そこを何とか……朧先生、お願いします!」


 やっぱり当てにしてるよ~。お外怖いしか言ってないのに……。


「ママー、お散歩いきたい~」

 パタパタ


 あら、ソルティアちゃん乗り気ですねぇ。このまま卓袱台騎士団が全滅しても目覚めが悪いけど、でも道具屋で食って行きたいんですよぅ。


「日帰りで、私の採集も手伝ってくれるならいいよ。手厚い、手厚い労働環境の、なんか!アリアリで~、ならいく~」


「ありがとうございます~!」


「勘違いしないでよっ!ソルティアちゃんの散歩と採集のついでなんだからねっ!」

 びしぃっ


「ありがとうございます!ありがとうございます!」


 あ、ミスったこいつ地球出身だった。変なネタしたら通じてしまった気まずさがこみ上げる。知らない。ツンデレとか知らない。如何にもゲームの主人公という顔のナガモチ隊長が感極まった顔でこっちを見ている。ひぇ。




 さっそく準備して行くことになった。スズカも一人で店番は退屈だと言うので同伴することに。外に出るとソルティアがパタパタと飛び回る。ちなみにドラゴンは物理法則を無視して飛びます。



[朧幼女]『うーたん聞こえてる?買い出しは転移門使ってマルタに行って良いからね。何かあったら連絡よろしく、後は任したよ』


[うーたん]『うー』


「それでナガモチ隊長さん、何処に行くの?」


「はいっ、この地図を見ていただけますか?ここの丘の探索を予定しています。できれば簡易拠点も置けたら…と考えています」


 確かにまだ未開らしい丘がある。効率プレイの為の足掛かりになりそうな位置だ。

 そういえば転移者ってこの世界が舞台のゲームやって来てるんだよね。色々と便利な知識やら情報を持っていたりするのだろう。


「ここに行くとなにか良いことあったりするの?」


「はい、ここの丘から東の方角から大戸へ魔物が来るのですが、この丘を押さえて拠点化すると魔物が大戸方面へ来づらくなる、はずです。視界も通りやすくて良いんですよ」


「なるほど~」


 適当にゲーム感覚で突撃するのかと思ったが、思いのほか戦略的であった。卓袱台の軍師は有能らしい。

 いやね?べつに軍師居るのか知らないけど。


 華代さんに挨拶して出発である。進行方向は北東。


「出でよ、我が忠実なるウサギ達。我が忠実なる武具達」


 などと言いながら黄、茶のうーたんを5匹ずつ、盾を移動要塞朧ちゃんの布陣、聖剣ヒノキボルグを二本念動で浮かせる。時空魔法の防御障壁も張る。

 よし完全装備。昨日会った魔王とヴァルキリーを見てビビってます。いきなりロンキヌスの槍が飛んできたらと思うとね。用心用心。


 そういえば魔王は今どの辺に居るのだろか…と考えつつ、かなり広域な探知魔法を発動する。

 ここから北北東にある山、数十キロ以上の距離かな、そこにいらっしゃる。というか魔王軍50人以上居るよ……。

 何かと戦っている様だ。相手は……オーガと天狗の混成チームの様だ。人と戦ってないならいいか。見なかった事にしよう。がんばってくれ。




 目的の丘にはそこそこ魔物が居る。ロックワーム、オーガ、ホフゴブリン、ビッグトレント、ハンターベアー、シャドーウルフ… この丘制圧されてないか?…ピクニックに行くような丘じゃないんですけどぉ!現在の卓袱台の騎士団は8人である。強さは各員0.6~1.0ツカサくらいだろうか。卓袱台騎士団だけだったら30秒でひっくり返されるな。よわい!逆にツカサは結構強くね?


「朧先生の魔法凄いですね。テレキネシスですか?」


「念動だね。それはいいけど、行先の丘を探知してみたら、結構な強さの魔物がウジャウジャ居座ってるみたい。どうする?」


「ダンジョンになってるわけではないですよね。少しずつ引き付けて各個撃破して減らしていきましょう」


「まぁそれしかないよね…」


 門番さんが視界から消えたあたりで、


「よし、みんな、足の準備だ」


 ナガモチがそう言うと、みなさんは道具なりスキルを使う。何処からともなく【ディアトリー】という、チョコ○のようなダチョウ型の鳥が三羽、【ハンターウルフ】が二匹、【ロバ】が四頭、【ワイバーン】が一体やってきた。


『ギェー』

『ヒヒィーン』

『グルル』

『クァー』


【ディアトリー】は笛一個につき一体を呼び出せるらしい。死んでしまうと笛が砕ける。

【ハンターウルフ】と【ロバ】は召喚士の乗り物系の召喚スキルらしい。近くから乗り物さん達がタクシーよろしくやってくる様だ。


 ワイバーンは竜騎士さんの相棒である。ぷークスクス、お前まだワイバーンなのかよ、と苛められる竜騎士さんの初期の相棒だと思う。

 馬鹿野郎。竜騎士さんの最初の相棒は木の槍だけじゃよ……。ジャンプは一人でやるんじゃよ……。

 召喚士さんがニンジンと肉塊を取り出し、タクシー代わりのモンスター達に与えている。


 隊長のナガモチがハルバードっぽい物を取り出す。槍、斧、槌がくっついているアレである。なんちゃって騎士団かと思ってたけど、しっかり騎士らしい事してるんだね。他の隊員も戦支度をしている。


「私はどうしましょう……」


「スズカさんは乗馬経験とかあります?補助スキルでもいいですが……」


「ないですよ~。あと、ロバはなんかいやです」


「俺だってロバに乗るんですよ、頑張ってみましょうよ。それとも俺の後ろに乗ります?」

 指クイっ


 ナガモチがキメ顔で鞍を付けたロバに騎乗しながら親指で後ろを指し示した。駆け出しの冒険者装備にロバに乗った騎士長のキメ顔流石っす。


「い、嫌です」


「うーたん、おんぶよろしく」


「うー」


「わぁかわいい。うーたんよろしくね」


「…っふ。……ょーし!出発だ!」


 頑張れ卓袱台騎士長。貴公子様と呼ばれるその時まで……乗り物に乗ってる割にダラダラと進行開始である。

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