56 フロンティアにて6
56 フロンティアにて6
希望の神か、何しに来たんだろう。とにかく状況把握しよう。探知魔法を大きい範囲でかけてみる。…この村の周辺に変な人物は居ない。
「お嬢様、大丈夫でしょうか?」
「うん、ただちに問題は無いみたい」
…念話があったね。ダリアに念話してみよう。
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[朧幼女]「ダリア~」
[ダリア]「…はい、朧ちゃんですか。どうしました?」
[理の神]「私も混ぜてくださいな」
[朧幼女]「うん、なにか、希望の神って神様に会ったんだけど」
[ダリア]「希望の神様、ですか」
[理の神]「あ~、きーちゃんですか」
[朧幼女]「知り合い?」
[理の神]「まぁ、一応」
[朧幼女]「その反応、犬猿の仲だったりするの?」
[理の神]「個人的に嫌いじゃないですが、立場的に相性が悪いですね。私は現実を叩きつける畜生で、彼女は幻想を騙る畜生です」
[朧幼女]「え?なんか悲しいよ。まぁいいや、それでね、どうにも私の記憶と実際の状態が食い違ってるみたいなんだけど。私の記憶ではダリアが私のお店に…」
……
[ダリア]「そのような覚えはありませんね。魔王軍は近くに来ていますが」
[理の神]「朧ちゃん、惑わされてますね。ダリア、一旦私の元に来てください」
[朧幼女]「やっぱり?」
[ダリア]「っは、」
[理の神]「どうですかダリア?」
[ダリア]「はい、朧ちゃんの言った通りですね」
[理の神]「という事は朧ちゃん以外が惑わされているようですね」
[朧幼女]「私は大丈夫だったのか」
[理の神]「ちょっと待ってて下さいね」
……
[朧幼女]「あ、シエラの記憶が戻ったみたい」
[理の神]「とりあえず現実と記憶を一致させました」
[朧幼女]「理の神ってやっぱり凄いんだね」
[理の神]「私は希望の神には強いんですよ」
[朧幼女]「さっき相性悪いって言ってなかった?」
[理の神]「うーん、カードゲームの属性ってあるじゃないですか?陰陽道の五行と相克なんかでもいいですけど。あんな感じなんですよ」
[朧幼女]「へぇ~、理の神は希望の神に対してダメージ2倍とかなのか」
[理の神]「端的にはそう言うことですね」
[朧幼女]「理の神って弱点あるの?」
[理の神]「…ありますよ」
[朧幼女]「ん、何か聞かない方が良さそうだね」
[理の神]「朧ちゃん、今日は少ししおらしいですね。何か思うところでもありましたか?」
[朧幼女]「希望の神様がちょっと怖い感じだったから、神様ってやっぱり敬わないとダメかなって思いまして」
[理の神]「神はそう言う表面的な事は気にしないですよ。朧ちゃんが私に心を開いてくれないと私、悲しいです」
[朧幼女]「うん、ごめん。これからも宜しく」
[理の神]「ええ。それで私の弱点は、朧ちゃんですね」
[朧幼女]「そうなの?全然そんな気はしないんだけど」
[理の神]「簡単に言って三すくみです。理は不思議を晴らし、不思議は因果を曲げ、因果は理を縛るのです。朧ちゃんのタイプは因果ですね」
[朧幼女]「因果ねぇ……ちょっとさんすくみもうちょっと詳しく何かに例えて説明して。わからん!」
[理の神]「世にも奇妙な林檎。食べると最高の味、気分爽快。調べてみるとなんてことはない覚せい剤の入った林檎だった。
同様に確からしい、不正の無いクジ引きがありました。朧ちゃんは当たりクジを確実に引けます。
朧ちゃんは当たりクジを店主に持っていくと世にも奇妙な林檎を貰いました。朧ちゃんはうわーいとそれで満足しました。
だいたいこんな感じですね~」
[朧幼女]「ひでえ!」
……
希望の神についての情報はあまり集まらなかった。そも、神は神秘に包まれているために、お互いに深くは知らないのが普通らしい。
とにかく、希望の神が私と何か因縁がありそうな事、魔王軍を守った事、天界勢力とは不仲である事などがわかった。
[ダリア]「何かありましたら私に連絡を下さい」
[理の神]「朧ちゃんは希望の神が弱点なので気を付けて下さいね」
[朧幼女]「うん、じゃあ」
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念話を終えた。シエラに今一度さっきの出来事を聞いてみると、私の記憶と確かに一致していた。
「私は希望の神に抱っこされてから記憶が飛んでるんだけど、その時はどうだった?」
「その、お嬢様の頬をスリスリと…」
シエラは本当にもう仕分けなさそう…いや悔しそうに言う。神の強制力の様な物で一同動けなかった中、そのスリスリを魅せつけられて「ぐぬぬ」となっていたようだ。
いや、スリスリくらい近所のおばちゃんもやるでしょう。…私に敵対心は無さそうなんだよね。
その後は特に変な事も無く大戸の方で寝る事にした。
「朧先生、さっきはお店の外が光ったり音がしたりで大変でしたね。怖くなかったですか?今日は添い寝してあげましょうか?」
「…私はシエラと添い寝するからね」
そんな幼女ホイホイには引っかからないよ。スズカは清楚系美少女だし頼りたいお姉さん風で、くんずほぐれつしてみたい気もするけど、シエラがいるもん。
「…三人で寝るなら…いいよ」
正直少し怖かった。特にあの戦闘系の天使、ヴァルキリーと言ったか。希望の神とやらも全く底が知れないし、そう考えると理の神もダリアも本気出すと凄いんだろうなって思ってしまう。ノイルの気持ちが少し分かったかもしれない。
私にもどうやら神の力らしい物が潜んでいるようだが、これも人の身に余る気がしてならない。
「あぁ~朧先生、そのネグリジェ、いいですね、いいですね」
「さぁお嬢様、っとスズカさん、ランプ消しますよ」
シエラにしがみつく。そう言えばシエラを抱き枕にしたことは無かったな。
私が子供だからか、シエラの体は暑苦しくなく心地よく感じた。背中からスズカが添い寝してくれる。組み付いたりせず、しかし傍に居てくれるのが熱で分かる。この感じ、いいよね。
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「久しぶりですわね、まつりの神」
「貴様か。…希望の神、だったか」
「ええ、そう、字名ではそう名乗ってますわね。貴方は祭の神でよろしいのかしら?」
「我を呼び起こすなと言ったはずだが、事によっては貴様でも許さんぞ」
「貴方と私は相性が悪いわよ、そんな事言って、後悔するわよ?」
「ふん、我に補足される事はその者の破滅を意味する。我に仇成すことは如何なる神にも不能。負ける事は絶対にありえない」
「ふふ、私も本気を出せば無限に奇跡を作り出せるのだけど?結局、神の闘いはどちらかが飽きるまで続くのよ」
「で、我に何用か?」
「現状を把握しないと用も計画も無いでしょう。魔界に天界の軍勢が来たわ。邪神の復活を止めたみたい。あと、貴方のその隠れ身、理の神とだいぶ親しいわよ?」
「ほう、理の神は代替わりしたか?」
「いいえ、貴方が前起きた時と変わらずよ」
「そうか、ならば良い」
「あの子には優しいのね」
「理を司る神で愚物に成り下がってない者は貴重だ」
「それで、私はただの都合の良い神なのかしら…?」
「…煩わしい。既に因果は結んだ。後はただ果報を待つのみ。俗事に呼び出すでない」
「…妬ましいわ、それ。私は一体あと何万年こうして居ればいいのかしら」
「…因果とはそう言う物だ。下らん口上は要らん、望みを言え」
「強い魔族の子の魂に私を組み込んでくれないかしら?今のあなたみたいに」
「貴様もだいぶ病んでるな、いや、よかろう。その様に因果を結んでおこう。では我は眠る」
……。
「ふぅ、もう少し協力してくれてもいいのに…後はエレナちゃんにお願いしてみましょうかね」
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