54 フロンティアにて4
54 フロンティアにて4
ウキウキなリュウゲンを含んだ一行を見送った。あの怪剣【陽炎】があればだいたいの事は大丈夫だろう。ツカサも聖剣ヒノキボルグ持ってるし。
そろそろ陽が落ちる。
開拓村間の道中はモンスター見たこと無いけど、オーガとか出たら危ないよねぇ。引率先生のデルハルトも居るし、いざとなったら「ここは俺に任せて先に行け」が発動するだろう。
お店のカウンター付近でぶらぶらする。チラホラと冒険者や村人スタイル、商人スタイル、その他、色々な客がポツポツと来ている。
今まで特に気にしてなかったけど、お店には人がそこそこ来ていたのだ!ほんとだよ。客層の分布は開拓関係の地球人冒険者が多い。
売れ筋ランキング(個数)は、
一位:レーション(携行食料)、
二位:ポーション類、使い捨て魔道具類
三位:雑貨類、
四位:武器類…と言った感じである。
売上ランキングはしらーん。
「このヒノキの棒が白金貨100枚!?」
「ポーションと食料が安いわね!」
「洋服などは売っておるかのぅ…」
「流石にお魚とかは売ってないのね。大戸まで買いに行かないとダメかしら……」
「これはヤンキー御用達の鉄パイプの様な棒っ!こっちはバールの様な……バールっ!」
「ゴム製の盾とか初めて見たかも…」
「あれ朧ちゃんじゃね?」
「え?あ、お兄さんいらっしゃい……」
……。
「このパンツ買います!!」
[スズカ]「…はい、どうぞ」『ペチッ』
「ここで装備していっていいですか?ついでにパンツ売却したいんですけど、あと中古のパンツ装備って売ってます?女性の、ひっ、なんでもないです……」
変態はシエラに睨まれてどこかに行った。「中古のパンツ」と言葉に出した時に私とスズカを交互に見てた。筋金入りの変態さんも居るんだね。……。
「わざわざ運んでもらってすまんねぇ。腰が辛くてのう…」
「う~うう~」
「朧殿、これをお願いする。そうだ、これが大戸へ送る余剰の素材リストなのだが、何か欲しい物はあるだろうか?」
「おー、じゃあこの薬草とこっちの毛皮とこのお肉?と…これお願い」
大体こんな感じである。食糧とポーション類はすぐに売り切れてしまう。薬草は採集で集まるとしても、食糧は際どい。ギルドでも余剰はない様で大戸からの物流に依存している状況だ。
開拓地とはこんな物だろうか……。
「華代さん、食べ物は足りてるの?」
「足りてる…が拙者は蕎麦が食べたいでござるな」
あれ、ござるキャラだっけ華代さん。
「ござる?」
「……」
「ねぇ、ござるって言った?」
「ああ、言ったかもしれない」
「拙者も蕎麦が食べたいでござるよ。つゆに山葵を多めに溶かしてズズズと啜った時などは至福であろうなぁ……」
華代さんが買い込んだ荷物を魔道具の空間ボックスに仕舞い込んでから私を持ち上げた。脇に手を差し込んで、スッと。
「朧殿はいったい何歳なのだ?」
「え…6歳だよ?」
「6歳にしては色々と博識なようだが、蕎麦のつゆに山葵を入れて啜るなどと、今日のこの辺ではありえない話だが」
「私は6歳の幼女だよ」
「ふむ、不思議だ。最近、武士道に進んだからか、世の女子と拙者がかけ離れている気がしてな。拙者も女子なのだが」
「華代さんはそのままで良いと思うよ。そ~う……だねぇ。たぶんそのうちアカデメイア学園の男子に人気が出るんじゃないかなー」
「やけに具体的な事を言う…」
「華代さんは男が欲しいの?」
「……ちやほやされてみたい、のだ」
実際さむらい女って需要あるのかな?草食系の男子とは相性良さそうだけど、ちやほやはキャラじゃないよね。普段は勝気で可愛げが無いけど、ある時見せる女の子な一面でギャップで殺す感じじゃね?そういう路線でね?いけば?
「女子力チェック、始めます」
私は華代さんに持ち上げられたまま、そう宣言した。そろそろ両腕の感覚が無くなってきた。華代さんは私の顔と体をつぶさに観察している。女子力サーチしているようだ。
「朝食の目玉焼きの焼き加減に気を配ったことはある?」
「あるな。硬いほうが歯ごたえがあって良いと考え、何時も少し焦げるまで焼く。生焼けは腹を下しやすいし、ドロッとしていると後始末が面倒だ」
もう考え方が原人かよ。これは他のお料理で挽回できん程致命的だな。仮にお味噌汁凄い美味しくても目玉焼きがそんなんじゃあダメよ。
「0点。料理系は採点なし」
「華代さんは裁縫したことある?」
「縫物は一通り出来るな。しかし洋服はさっぱりだ」
ほつれたズボンとかぬいぬいしちゃう感じ。良いね。ただ流行とかはあんまり意識してなさそう。
「うーん、65点くらいかな。」
「異性の好みを意識して、服装や髪型に気を使ってる?使ってるなら普段どんな所に気を付けているのか教えてみて。服装には流行があるのを意識しているか、どのくらいの頻度で買い物に行ってる?」
「美しさとは、剣の真っすぐさや、背筋の通った佇まいに表れる。髪は切る頻度を考えて後ろで束ねるな。やはり清潔さは大切だ。湯治や洗濯は欠かさない。服装は常にキツく着付ける。尚且つ関節の動きは邪魔にならない、この服装だ。……──」
「もういいです。一応10点」
「自分は可愛らしいと思ったことはありますか?」
「そこそこだろうか」
「自分はそこそこ可愛いと同姓、又は異性に言ったことはありますか?その頻度はどうですか?」
「ふむ、無いな。」
「恋愛したいならどうしたらいいと思ってますか?」
「お見合いしたり、酒場に行ったり、仕事場で異性と出会うことか」
「なるほどなるほど。ではあなたのセックスアピールポイントを教えて下さい」
「?、ああ、女子らしい所か。髪と身体は常に清潔にして色の良い着物を着るようにしている。何事にも正直に明け透けに正直にする様に心がけている」
……。
「ちやほやは難しいかなー。好みのタイプも剣豪か知的な優男との事だけど。うーん、とにかくタイプの異性の側に居るようにして、機会を待つべし。その中から、少しでもこちらに興味がある素振りを見せた男が居たら積極的に話しかけてみる、みたいな~?」
……。
「逞しい御仁とねんごろになりたいでござる~」
「なかなかいいね」
「っは、っふ」
ブンッブンッ
ブルンッブルンッ
「お、いいね。今後もサラシは少なめ、ユルめで」
「拙者がそなたの刀になろう」
「いいね」
……。
なにやってんだ私達。私の前にはコミケライズされた華代さんが立っていた。
「……なるようになれ!」
「ふむ、朧殿、有難う」
「そういうセリフは結婚してからね」
外はすっかり陽が落ちている。蛙の声が大きくなっている。華代さんはギルドに戻っていった。忙しいんじゃなかったのか…それは時間帯によるのかな。
「朧先生って、地球からの転生者ですよね。しかも腐ってる感じの」
「スズカ…」
スズカが私を持ち上げようとして、失敗した。筋肉が足りないみたいだね。
「私、朧先生はとてもかわいいと思ってます」
スズカが私の顔を両手で挟んで、見つめ合う。え、愛の告白ですかね。
「えっとぉ…」
「ん~?今何を想像したんですか~?」
プニッ
「い、いぢめる?」
「ふぅ…」
スズカが私を離してくれた。
「先生、隙をみせちゃダメですよ!あ、私はそろそろマルタの女子寮に戻ろうかと思ってますが、よかったらここに泊まってもいいですか?」
「転移門と塔の私のフロアは勝手に出入りしていいよ。ここに泊まってもいいけどマルタの方が便利いいと思うよ?」
「先生はどうするんですか?」
「うーん、今日はこっちに泊まろうかな」
「じゃあ私もこちらにお邪魔させてもらいます」
スズカがなにやら図太くなってきたな。最初は大和撫子かと思ったのになぁ……。




