表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/69

39 大戸6

39 大戸6


 又郎さんとキングうーたんが、お面二枚と天狗に赤鬼が居る廃屋に突入した。こちらは彼らの奇襲後に撤退予定の為、すぐに逃げられる陣形を組む。ハーテインは廃屋に近い位置に陣取る。後方で遠距離組が攻撃準備、前衛組はその護衛の配置で待機している。


 アカデメイア学園組は廃村の入り口付近に陣取っている。前衛にツカサ、リュウゲン、デルハルトが、中衛に私とうーたんが、後衛にはカスミとエリカの配置になっている。


 ディルジールは大剣を地面に斜めに刺し、そのまま担ぐ様に構えている。なんだろう、居合の要領で力を溜めているのかな?。ランダイトは槌を持て余して待機している。オルナルドは盾をじっと構えて微動だにしない。サルヴァンはやたらギラギラしたオーラを纏う矢を(つが)えている。課金の魔法矢だな!


 ディアンヌは杖で地面に直接魔法陣を描いている。自身の立ち位置を固定して、回りながら描いている…杖の両端がそれぞれ魔法陣を描いていき、立体的な魔法陣が完成している。傍目にはそれっぽく適当にバトンしてクルクルやってる感じに見えるが、魔方陣のラインをきちんとなぞっていてこれは凄い。魔法は前方に弾幕をばら撒く系のホーリーアローのようだ。


 学園組は逃げ腰である。ここで出しゃばったら死亡フラグ。あせっちゃだめです。

 私は…と考えたあたりで気づく。朧うーたんの魔力がそろそろ枯渇しそうだ。うーたんは私本体ほど魔力効率は良くないらしい。隠蔽の探知魔法は魔力消費激しいからね~。


「うーたん、魔力貰っていい?」


「うーぅ」


《命よ巡れ――エナジーフロー》


 うーたんは魔法が使えないだろうから、余った魔力を頂戴する。朧うーの魔力が8割程に回復した。そうしていると…


『「あっ………あっ、ぼっ、あっ、ぼっ」』


 神が怒っている、という形容がピッタリな謎の思念が廃屋から駆け抜けてきた。咎人を断罪する神域…とでも言うのだろうか、厳かな空気が一瞬の間にここ一帯を日常から隔絶する。


 人間の思考に直接割り込むこれは危険だ。強制的に蛇に睨まれた蛙の様になってしまう。ゲーム的に表現するなら全域に負の効果、全ての行動に支障が発生する感じだ。


≪心は我『「あっ」』だけの物――コギト・エ『「っぼ」』ルゴ・スム≫


 …なんて妨害方法だ!詠唱が上手くできない。


 ならば地面に描いてやる。魔力線を地面に伸ばして魔法陣を作り発動する。行動阻害の効果はなんとか打ち消せた。


 そうしていると又郎さんとキングうーたんが廃屋から飛び出てきた。又郎さんは十手を左手に持っているが、柄しか残ってない。キングうーたんはハンマーと右腕が無くなっている。二人とも顔が必死の形相を通り越して少し泣きそうな感じで参っている。


 ヤバいなお面シリーズ…撤退だ。



 サルヴァンの番えた矢はスルッと放たれ、高速に捻じれてスクリューしながら、風魔法で回転して真っ直ぐ速く飛んでいく。矢尻はミスリルで螺子型になっていてギュルギュルして貫通力と命中精度に優れているのが分かる。

 ディアンヌの魔法陣が設置型だったからか詠唱を妨害されずに無事に発動したようで、一面のホーリーアローの弾幕が廃屋の奥に殺到する。


『ギューーーーーン』


『ヒュヒュヒュヒュドドドドドドドドドン』


『「あっっぼっ、ぼっ、ぼっぼっぼぼぼぼぼー」』



 課金矢と魔法矢が命中した様だが、まるで効いている様子がなく、廃屋から埴輪面が出てきた。お面が血肉で真っ赤に染まって非常にホラーだ。


 目と口の空洞がぐにょぐにょと動いている。二本の透明な腕がお面の後ろから伸びて前面に回り込んでこちらを向いている。廃屋がこちら側の攻撃と、埴輪面の腕が暴れた為に見る影もなくなる。そして、もう一本面の後ろから太い腕、というか触手が天へとゆっくり伸びていく。真理の魔眼で見る。


*********************


名前:埴輪面

種族:呪面

性別:なし

年齢:1733

職業:墓守

賞罰:大量破壊

称号:不通の腕、死の守り人


~~中略~~


状態:激高

物理耐久:B/B

精神耐久:C/C

魔力:D/D

筋力:C

精神力:A

対物理性能:SS

対魔法性能:SS

俊敏性:E

器用さ:B

知力:B

魔力運用効率:D

発動可能魔法種:古代魔法、無属性魔法、固有魔法(付喪神、呪面)


*********************


 これはまた超防御力特化だな。正面切って殴り合ったら勝てそうにない。不意打ちで一気に破壊するか、超火力で攻め切らないと倒せなさそうだ。


 ここでディルジールが、剣を抜いた反動でスタート。ランダイトが走って続く。大剣が叩きつけられた。インパクトが二重に重なる。どうやら一振り二閃の魔剣のようだ。すぐに重ねて槌が打ち込まれる。打撃面が細く変形して打突力が増している。

 が、見えない腕であっさりと弾かれる。相当なインパクトのはずだが、ディルジールとランダイトが反作用を受けて後ろにもんどりうっているのに対し、埴輪面はまったく動じていない。


 埴輪面の上方に出ていた触腕が二十メートル程の高さで円盤状に広がって伸び始めた。広がり方はゆっくりだが、あれで包まれたら閉じ込められて全滅な気がする…これ以上は危険だ。


「無理だっ!早く撤退するぞ!」


 又郎さんが声を張る。あれ、語尾があざとくない。そういえばメガネかけてないね。たぶんなんやかんやで吹き飛んだんだろう。キリッとした顔に険しい表情、しゅっと細い目が重なって正に鬼気迫ると言った感じ。

 私は行動阻害の中和で手一杯だ。早く撤退して~。


「う~」


 キングうーたんが魔法符を全て使い捨てる。風が吹き付けて、障壁が埴輪面を阻む。


≪虹の先は無く――彼の街は夢幻――シェイドパス≫


 ディアンヌが陽炎で遠方を見にくくする魔法を発動。


『ガキィーーーン、ィイーン』


 オルナルドは盾に剣を打ち付けて何かのスキルを発動。たぶん聴覚を責める系統だ。


『ビィーン、ヴヴヴーン』


 サルヴァンも弦を弾き、聴覚系のスキルを発動した様だ。これだけやれば逃げ切れるかな。全員で廃村の入り口の方へ移動する。



「っし」

『ザッザザザザザーー』


 又郎さんが地面を渦巻の様に掘削しながら土砂を巻き上げる。


『「ぼぼ、ぼぼ、ぼぼ、ぼぼーあっ」』


 埴輪面が腕をめちゃくちゃに振り回す。村が更にめちゃくちゃになる。上の方の透明な円盤も徐々に伸びている…あれに気づかずに戦ってたら全滅しそう。


 追撃はせずに予定どおりに廃村から離れた。埴輪面の移動速度は遅いので十分な距離を開けられたようだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ