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ピアレスアドベンチャー  作者: 竜夜
1章 吸血鬼討伐編
29/53

ゲリラ戦法

 少女を家に送り届けた後、ルリ達と合流しロビンが用意していた町の中の拠点に移動した。


「今更だが、あんなに派手に暴れてよかったのか?」


 いくら非人道的とはいえ教会の手動つまり神の意志のもとに行われてる実験だ。それを邪魔するというのは大罪になるとロビン自身も言っていた。僕のイメージではもっとこっそり作戦を遂行するものだと思っていた。緊急事態だったので仕方ないといえば仕方ないが。


「問題ない。最初から町に放たれてる吸血鬼は倒していくつもりだったしな。」

「何かの作戦ってことか?」


 僕の疑問にロビンは講義口調で答えた。


「そもそも吸血鬼ってのは魔法で無理やり肉体を操られ身体能力が爆発的に向上してる代わりに理性と意志がない生物兵器のことなんだがこいつらには致命的な欠点がある。」

「魔法を無効化されたら動けなくなる、っていうのは戦争じゃ致命傷にはなりえないって言ってたよな?」


 ロビンが使っていたホワイトストライクは使い手がとてつもなく希少だ。理由は単純に習得が困難だからだ。


 魔法は魔法陣に魔力を注ぐだけで発動できるものではない。その効果を厳密にイメージできなければ発動しない。


 ホワイトストライク、つまりは魔法を直接攻撃するというのは言葉にするのは簡単だが何が起きているのかを実際に想像するのは案外難しいのだ。それにわざわざ魔法を無効化しなくても魔法による攻撃を防ぐだけなら障壁魔法で防ぐか攻撃魔法で相殺したほうが手っ取り早い。


 そんなわけで魔法を無効化する魔法を使えるのはごく一部の奇特な奴だけだ。先ほどのように十数体程度ならば僕とロビンの二人で殲滅できたが、あれが千や万の軍勢で攻めてくれば少数での対処は難しい。


「その通りだ。だから俺が言ってるのは戦争で運用する上での欠点、それはずばり人間を見つけたら見境なく襲い掛かることだ。要するに誰かが戦場まで先導することができない。術者の命令に忠実な分馬鹿正直に人を襲えという命令に従おうとするんだ。だが理性を壊したせいであまり複雑な命令は理解しない。敵味方を判別したり乗り物を使わせたりといった命令はできないんだ。だから自分の足で向かってもらうことになる。そのためにどこへ向かえという命令をするんだがそれも精度があまりよろしくない。」

「その精度を高めるための研究がこの町で行われてるってわけか。」

「そうだ。そして俺たちはその実験の邪魔をする。」

「それに何の意味があるんだ?」

「滅多に実戦はしないが教会の修道士や司教は例外なく優秀な魔法師だ。それにエクソシストっていう戦闘専門のやつがいるっていう噂もある。しかも吸血鬼の実験中だ。万が一に備えて駐屯騎士の増員もしてるだろうし正面から殴り込むのは分が悪すぎる。だがどこかに邪魔をしてるやつがいるってことしかわからないととやつらも人員を細かく分散せざるを得ない。そうやって小規模な戦闘を繰り返して少しずつ敵の戦力を削っていくんだ。」

「要するにゲリラ戦法か。」


 確かに少数で多勢を相手取るには最も有効な手段だ。


「ここからは相手の出方に合わせて臨機応変に対応していく。よろしく頼むぜ、相棒。」


 いつの間にか僕を相棒に格上げしてロビンはなれなれしくこぶしを突き出してくる。ついこの間殺されそうになったのに随分ふてぶてしいやつだ。それとも冒険者にとって昨日の敵は今日の味方とういのは茶飯事なのか?こういうところは少し見習ったほうがいいかもしれない。


「ああ、こちらこそよろしくな。」


 そう思った僕は過去のことは棚に上げて図々しくこぶしを突き合わせた。



 

 

 


お読みくださりありがとうございます。楽しんでいただけたら幸いです。

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