向かった先に
ゼルクの町の遺跡は大きなドームのような形をしている。入り口は町に面している方に一つとその反対側にもう一つ。中は複雑怪奇な迷路となっており地図なしでは進むこともままならない。もっとも中心部までの道はしっかりマッピングされてるので地図さえあれば迷うことはないが。
とはいえ急いで中心部まで行きたい今、この迷路は厄介だ。壁は分厚く、破壊して真っ直ぐ進むわけにもいかない。いちいち遠回りしないといけない道を煩わしく思いつつ駆け足で中心部を目指す。
途中邪魔な魔獣を排除しながら入りくんだ道を進み、30分ほどかけてようやく中心部にたどり着いた。
中心部は体育館程度の広さの薄暗い空間だ。壁にはいくつもの魔竜の巣穴があり本来は無数の魔竜が無謀な冒険者に対して牙を剥いたことだろう。しかし現在は死屍累々といった惨状だ。
夥しいほどの数の魔竜の無惨な死体が転がり、あふれでる血液は文字通りの血の池を作っている。
「魔竜は最強の魔獣じゃなかったのかよ。」
地獄としか形容できないその空間に呑まれて呆然と呟く。それは目の前の異形に対する呼び掛けでもある。
遺跡の中心部、そのさらに中央には小屋のような建物がある。かつては無数の魔竜によって守護され強力なアーティファクトが封印されていたその小屋だが、今立っているのは一体の異形のみ。
つのがはえた目鼻のないのっぺりとした風貌。辛うじて人型といえなくもないが、胴は枯れ木のように細く四肢も枯れ枝のように頼りない。しかし、その右手には身の丈を越えるほどの大きな錫杖を持ち指を揃えた左手はそれ自体が凶器に見えるほど鋭い。相対した時の圧力は魔竜をはるかにしのぐ。
「確かに異常事態のようだな。」
呟き、静かにエクスカリバーを抜く。同時に獣を発動させ臨戦態勢をとる。
互いの闘士がぶつかり合い、刹那の後示し合わせたかのようなタイミングで同時に駆け出し先端が開かれた。
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