ルリの行方
部屋には明らかに荒らされた後があり少し出掛けてるだけとは考えにくい。
「ちょっと待って。どこに行くんだい?」
無言で部屋を出ようとする僕をロビンが慌てた様子で遮る。
「決まってるだろ。ルリを探しにいく。」
「この町は広い。なんの手がかりもなく探すつもりかい?」
「じゃあ、お前はなにか心当たりがあるのかよ!」
焦燥感から僕の口調が少し喧嘩腰になってしまう。しかしロビンは落ち着いて言葉を重ねる。
「犯人を例の人身売買組織と仮定するなら、その潜伏場所の候補を知ってる。」
「なっ!本当か!?」
予想外の情報に僕は思わずロビンに掴みかかって先を促す。ロビンは少したじろぎながらも説明を始めた。
「やつらの拠点は恐らくこの町の遺跡だ。」
「遺跡?だが、あそこは常日頃から冒険者が出入りしてるじゃないか?それに紛れて出入りするだけならともかく何人もの子供を隠して置けるのか?」
「確かにそうだけど、基本的に浅いところで鉱脈を掘るか魔獣を相手に腕試しするしかしないんだ。中心部にいくと魔竜の巣窟になっていて危険なんてものじゃないからな。一昔前までは強力なアーティファクトなんかが見つかったりしたんだがそれもあらかた取り尽くされていて危険を冒して探索するメリットはほとんどない。」
「だったら尚更そんなとこに潜伏するか?自殺行為にしか思えないんだが。」
「まあ、普通に考えたらそうなんだけど、遺跡からは出ないはずの魔竜がこの前町に現れただろ?後で調べたら俺たちと戦う前に怪我をしてたみたいなんだ。魔竜を倒せる手段を持った何者かが潜伏してる可能性が高い。」
「なるほどな。」
それが例の人身売買組織だと断定するのは尚早な気もするがなんにせよ闇雲に探すよりはましだ。
早速、出発しようとするとまたもやロビンに遮られた。
「待つんだ悠一。場所は魔竜の巣窟。しかもそこを根城してるやつは魔竜の群れ以上の戦力を持ってることになる。一人でいくのは危険だ。ギルドで何人か協力者を募ってからにしよう。」
「・・・はあ、分かったよ。さすがに無謀すぎるもんな。おとなしくここで待ってるよ。」
「冷静になってくれてよかった。すぐ仲間を集めてくるから。」
そう言い残しロビンは窓枠から飛び出し足早にギルドの方へ向かった。人間が走るにしてはあり得ないスピードは恐らく身体強化を使っているのだろう。
しかしロビンもだいぶ動揺しているようだ。救援を呼ぶなら僕も一緒にギルドへ行けばいい。僕がそうしなかったのはロビンを平和的に追い払うためだ。
つまり、僕はこれから単独で遺跡へ向かう。
「悪いけど待てないよ、ロビン。」
遠ざかる背中に向けてそう呟き、僕も同じく窓から飛び出し遺跡へと駆け出す。
「待ってろよ、ルリ。」
お読み下さりありがとうございます。
投稿がかなり遅れてしまってすいません。いろいろあって今後もペースが上がる見込みはないのですができるだけ早く投稿するようにします。今後もお付き合いしてくださると嬉しいです。




